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図解よくわかる整形外科MRI診断実践マニュアル
筆頭著者 伊藤 博元 (編)
全日本病院出版会
電子版ISBN 978-4-86519-269-8
電子版発売日 2019年10月21日
ページ数 314
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-88117-033-5
印刷版発行年月 2007年3月
書籍・雑誌概要
整形外科МRI診断の決定版!
目次
整形外科領域MRIの到達点と将来像 福田国彦・関谷 透・市場文功・丸毛啓史
整形外科領域のMRI診断には必要な断層面が適正なシーケンスで撮像されていることが必要で,そのためには整形外科医と画像診断医との緊密な連携が不可欠である.
A.脊椎・脊髄
頚椎症性脊髄症,頚椎症性神経根症のMRI診断 宮本雅史
頚椎症性脊髄症のMRIではT1強調における脊髄の形態やT2強調における髄内輝度に注目する.髄内高輝度病変は責任病巣を示すが,重症度や予後を反映しないとされる.
頚椎後縦靱帯骨化症のMRI診断 松本不二夫・田中靖久・佐藤哲朗
頚椎後縦靱帯骨化症の画像診断には,骨化巣の形態と脊髄の圧迫状態を的確に把握することが重要である.MRIで,責任病巣の診断のみならず,予後予測が可能になりつつある.
中心性頚髄損傷のMRI診断 山崎正志・高橋和久
(1)中心性頚髄損傷のMRIによる髄内信号強度の変化は一部の例外を除き,T1等信号/T2等信号,T1等信号/T2高信号,T1低信号/T2高信号に分類できる.(2)麻痺の予後はT1等信号/T2等信号が良好で,T1低信号/T2高信号では一般に不良である.(3)髄内信号強度は経時的に変化するので評価に注意を要する.(4)受傷後48時間以内にT2高信号が広範囲に出現する場合は予後不良である.(5)受傷後1か月以降に大きなT1低信号域が出現する場合は予後不良である.
脊髄血管病変・変性性疾患のMRI診断 嶋村 正・村上秀樹・曽根美雪
脊髄血管病変,変性性疾患のMRI診断が少しずつ可能になってきているが,その特異性はいまだ高いものとはいえない.したがって,本稿では当該疾患の臨床症状・経過,補助診断法についても言及し,MRI所見による鑑別診断の一助とした.
脊髄損傷および予後診断 小川 潤・相川大介・里見和彦・皆川邦朋
脊髄損傷のMRIでは,損傷脊髄の病理学的変化が経時的に変化することを考え,受傷後を4つの時期に分けて複数回撮影する必要がある.その中で受傷後1週間前後に現れるT2強調像のいくつかの所見が現在のところ予後予測に有用と考えられる.
胸椎黄色靱帯骨化症のMRI診断 進藤重雄
OLFは胸部脊髄症をきたす重要な疾患である.胸髄圧迫性病変の有無をとらえるのにMRIはスクリーニング検査として非常に価値が高いが,黄色靱帯骨化の確定にはCT,Myelographyの併用も必要である.
腰椎椎間板ヘルニアのMRI診断 白土 修
腰椎椎間板ヘルニアの診断で,MRIは最も優れた検査法である.しかし,問診,理学的・神経学的診断法を凌駕するものでは決してない.無症候性のヘルニアの存在には,特に注意が必要である.
腰部脊柱管狭窄のMRI診断 紺野愼一
腰部脊柱管狭窄の病態とMRI所見との対比,臨床症状とMRI所見との関連について述べた.
脊椎腫瘍の画像診断 川原範夫・富田勝郎
原発性脊椎腫瘍および腫瘍類似病変の画像所見,特に特徴的なMRI画像を中心に鑑別診断のポイントを述べた.
脊髄腫瘍の画像診断 川原範夫・上田康博・富田勝郎
脊髄腫瘍のMRI像からの診断のポイントを挙げた.脊髄腫瘍は術前生検のしにくいところであるが,MRIにより組織診断もある程度可能になった.
転移性脊椎腫瘍のMRI診断 徳橋泰明・網代泰充
転移性脊椎腫瘍のMRI診断のポイントは,疑いがあれば躊躇せずに撮像することとT1強調画像で転移病巣の低信号病変,椎弓根の病変,硬膜外腫瘤形成を見逃さないことが大切である.
化膿性脊椎炎・椎間板炎,結核性脊椎炎のMRI診断 中嶋秀明・内田研造・小林 茂・馬場久敏
脊椎感染症においてMRIは,X線やCTで描出困難な病巣をとらえ,臨床的病勢,病巣の活動性や周囲組織への広がりを調べることができ,治療方針決定や治療効果判定に役立つ.
骨粗鬆症のMRI診断 森 諭史
椎体骨折後,椎体のMRI信号は経時的に多彩な変化を示す.高齢者の腰痛診断においてMRIは新鮮椎体骨折の同定,骨折以外の疾患との鑑別に有用で,X線写真と臨床所見と併せて診断を進めることが重要である.
B.肩関節
肩関節の正常像と外傷性不安定症のMRI診断(造影含む) 山本宣幸・皆川洋至・井樋栄二
外傷性前方不安定症の検査としてはMRI検査が有用であり,関節唇-下関節上腕靱帯複合体の関節窩からの剥離,すなわちバンカート損傷がみられる.合併病変として,関節窩の骨欠損,Hill Sachs損傷,関節包断裂,腱板損傷,SLAP損傷などがある.
肩腱板断裂のMRI診断 熊谷 純・佐藤克巳・小松田辰郎
MRIは現在腱板疾患の画像診断の第一選択で,不全断裂,完全断裂と上腕二頭筋長頭腱,関節唇などの随伴病変,回旋筋群の変性,石灰性腱炎における石灰の局在,術後の再建腱板の評価などに用いられている.
スポーツ障害肩のMRI診断 井手淳二
スポーツ障害肩,特に投球障害肩に多いのは,腱板関節面不全断裂と上方関節唇損傷(SLAP lesion)である.通常のMRIより,MR関節造影の方がこれらの損傷をより明瞭に描出できる.
C.肘・手
離断性骨軟骨炎,肘靱帯損傷,上顆炎のMRI診断 高原政利
脂肪抑制T2強調画像が肘関節のMRI診断に有用である.離断性骨軟骨炎では矢状断,上顆炎や側副靱帯損傷では冠状断にて高信号の介入を認めるとより重症である.
TFCC損傷のMRI診断 中村俊康
TFCC損傷の描出にMRIは有用で,特にTFCC内部の損傷や変性像の診断能力が高い.一方,slit損傷の描出能は若干劣る.TFCC立体構造を加味すると診断精度が高まる.
手舟状骨骨折・骨壊死のMRI 澤泉卓哉・伊藤博元
初診時に受傷機転や臨床所見から舟状骨骨折が疑われる場合には,単純X線で骨折が認められなくてもMRIでの早期診断が望ましい.また偽関節や無腐性壊死などの病期診断にもMRIは極めて有用である.
月状骨壊死・キーンベック病のMRI診断 重松浩司・矢島弘嗣
MRIは単純Xpで描出されない早期 Kienböck 病の診断に有用であり,T1強調像で月状骨全体の低信号を呈する.その他の鑑別疾患とともにその特徴について概説する.
D.股関節
大腿骨頭壊死症・一過性大腿骨頭骨萎縮症のMRI診断 藤岡幹浩・久保俊一
大腿骨頭壊死症のMRIの初期異常像は,T1強調像で帯状低信号のband像である.圧潰に伴って骨髄浮腫が観察されるが,必ずband像を伴うことが鑑別ポイントである.
変形性股関節症のMRI診断 帖佐悦男
股関節痛などの臨床症状・所見と単純X線所見に差異を認める場合,関節軟骨・関節唇・骨髄などの異常の描出に優れているMRIが有用である.
小児股関節疾患におけるMRI診断 吉田 宏・坂巻豊教
単純性股関節炎,ペルテス病,大腿骨頭すべり症の早期診断・鑑別にMRI診断は有用であり,特にペルテス病においては早期診断に最も有力な診断法で,予後の予測が可能である.
E.膝関節
膝関節正常MRI像と膝靱帯損傷のMRI診断 森 淳
スクリーニング検査としての膝関節MRIで望まれる画像,そのための実践的・実際的な撮像方法による膝関節正常MRI像と膝靱帯損傷のMRI診断について概説する.
膝半月板損傷のMRI診断 八木正義・吉矢晋一
半月板損傷のMRI診断の際に必要な解剖学的特徴や代表的なMRI所見を説明した.半月板手術を行ったあとに続く疼痛に対してMRIを用いる場合は,通常に比べて診断率は低いことを理解したうえで注意して読影を行う必要がある.
膝関節周辺,下腿のスポーツ障害のMRI 桜庭景植
ジャンパー膝,オスグット病などではMRIの信号変化がみられるが,臨床症状との相関ははっきりしない.疲労骨折のMRI像は部位により信号変化が異なるが,症例によっては早期診断に有用である.シンスプリントではMRI信号変化はほとんどみられない.
変形性膝関節症のMRI診断 草山 毅
変形性膝関節症におけるMRIは単純X線像にてとらえることのできない半月板の変性断裂,軟骨下骨の低輝度領域や関節軟骨の変性,磨耗,欠損などを把握することができ,それらの所見は臨床症状とも相関する.
膝の軟骨損傷と再生のMRI診断 渡辺淳也・和田佑一
膝の軟骨損傷の診断,および再生軟骨の質的評価を目的として3D-SPGR MRIおよび遅延相軟骨造影MRIによる評価を行い,その有用性について検討した.
F.足
足根骨骨折,骨壊死のMRI診断 大関 覚
単純X線写真では判読が困難な距骨滑車の骨軟骨病変や足根骨壊死症が,MRIの普及により早期診断できるようになった.定期的検査により,治療後の修復過程の観察が可能となった.
アキレス腱断裂のMRI診断 安田稔人・木下光雄
MRIによりアキレス腱の病態を推測することは,診断のみならず適切に治療を進めるうえでも重要である.陳旧性アキレス腱断裂の場合,MRIは必須の検査といえる.
G.腫瘍・炎症など
四肢骨腫瘍のMRI診断 坂本昭夫・岩本幸英
骨腫瘍の診断にMRIは不可欠になりつつあるが,基本となる検査はX線である.臨床(年齢,部位),MRI,X線の総合的な情報により,ある程度良悪性を含めた質的診断に至ることができる.
四肢軟部腫瘍のMRI診断 岡田恭司・石山公一・永澤博幸・高橋 周・井樋栄二
軟部腫瘍のMRI所見は大部分が非特異的である.しかし,一部の腫瘍は比較的特徴のある所見を呈するので,これらを把握しておくと診断に役立つ.
化膿性関節炎のMRI診断 北村亜以・佐藤 徹
化膿性関節炎における関節破壊は極めて急速であり,早期診断,速やかな治療開始が肝要である.MRI検査は早期からの関節腔内の変化および近接した骨・軟部組織への炎症の波及が描出され,早期診断に有用である.
骨髄炎のMRI診断 原澤有美・松下 隆
骨髄炎のMRI所見は必ずしも特異的ではないが,病変の早期検出や進展範囲の診断には他の画像検査より鋭敏に情報を提供する.臨床所見や他の検査結果と併せて検討するとともに脂肪抑制法を通常の撮像法に付加することによって診断能が向上すると考えられる.
RAのMRIによる早期診断,および病態診断 勝呂 徹・窪田綾子・中村卓司・宮崎芳安・高亀克典・原田 孝・高橋 寛
RAの早期滑膜炎を的確に捉えるために撮像法などの工夫にて可能である.特に骨髄内輝度変化は,予後判定に有用である.