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ひとと集団・場 新版

治療や援助、支援における場と集団のもちい方

ひとと集団・場 新版
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筆頭著者 山根 寛 (著)

三輪書店

電子版ISBN

電子版発売日 2021年11月1日

ページ数 270

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-89590-615-9

印刷版発行年月 2018年1月

DOI https://doi.org/10.18937/9784895906159

書籍・雑誌概要

初版の基本姿勢を踏襲しながら昨今の社会情勢に応じ、職種職域を越えて利用できる新版として生まれ変わったベストセラー

エビデンス・ベイスドにより医療の科学性、客観性とは何かが問われ、治療援助の場が入院、入所といった専門施設からひとが暮らす生活の場が中心に遷るなかで、虐待や引きこもり、うつによる就労への影響、さまざまなハラスメント、震災時の緊急支援やそれにともなって生じる精神的問題など地域コミュニテイに関するものを統合した療法や関与が必須の時代を迎えている。それにともない、集団療法も対象や関与の視点が大きく変化してきている。
こうした社会情勢に応じ新版として生まれ変わった本書では、従来の集団療法の成書ではみられなかった、個と所属集団の間、および集団間のダイナミックスなど新たなダイナミックスや、パラレルな場(トポス)と称されている成熟させるが凝集させない、並行集団の特性を活かした作業療法特有の場の利用のしかたなどについて、その理論、技法、臨床の知と技をまとめて紹介する。
10章で採りあげた、「入院医療中心から地域生活中心へ」という医療の改革にむけて、新たな治療やリハビリテーションとして転換をはかる精神科領域における作業療法がどのような問題や課題を抱え、それをどのように改変したのかを調査分析し、こうした問題や課題を解決する課程におきたダイナミックスを詳述した事例は、ひとの集まりや場で見られる現象や精神科医療改革にむけた集団のもちい方の具体的な理解のために多くの示唆を与えるだろう。
新たに加わった終章では、ひとが集団や場の影響を受けて自分に気づき自己変容する個人の経緯を、著者の小集団体験を通して紹介する。

目次

あらたに(新版プロローグ)
序章 場(トポス)と集団

1 ひとと集団
 1・1 集まり, 集める
  1・1・1 ひとはなぜ集まるのか ?
  1・1・2 ひとはなぜ集めるのか ?
 1・2 集団
 1・3 場(トポス)
  1・3・1 場とは
  1・3・2 場に生まれる力
  1・3・3 場の構造

2 ひとの集まりと社会
 2・1 群れ・家族・社会
  2・1・1 群れ―集団のはじまり
   1)群れの形
   2)群れの分類
   3)群れの成立―自然な群れを失いつつある人間
  2・1・2 家族―集団の基本単位
   1)家族の起源―どのようにして生まれたのか
   2)家族の機能―契約を超えた関係より生まれる機能
   3)家族の形態―多様化する家族の形
   4)変容する日本の家族―なぜ ? どこへ ?
   5)家族と群れ
  2・1・3 社会―集団の集合体
   1)社会の分類
   2)社会の成りたち―群れから社会へ
   3)日本人と社会・集団―世間という社会
 2・2 ライフサイクルと集団
   1)乳児期―基本的信頼対基本的不信
   2)幼児前期―自律性対恥・疑惑
   3)幼児後期―自主性対罪悪感
   4)児童期・学齢期―勤勉性対劣等感
   5)青年期―同一性対同一性拡散
   6)前成人期―親密性対孤立
   7)成人期―世代性対停滞性
   8)老年期―自己統合対絶望
  2・2・1 家族集団―ひととのかかわりの基盤
  2・2・2 遊び集団―他者との距離や自発性の基礎
  2・2・3 学習集団―社会的な役割やルールを学ぶ
  2・2・4 仲間集団―自立への一歩
  2・2・5 準拠集団―自立のよりどころ
  2・2・6 社会集団―個人を位置づける機能集団
 2・3 病い・老いと集団
  2・3・1 病いと集団―よりどころの喪失
  2・3・2 老いと集団―老いも発達

3 集団の利用
 3・1 集団と療法
  3・1・1 集団の利用
   1)結核患者学級に始まった集団の治療的利用
   2)サイコドラマから集団精神療法へ
   3)多様な広がり
   4)広義の集団療法
  3・1・2 集団療法とは
  3・1・3 集団療法の変遷
   1)普及の遅れ
   2)多様な広がり
   3)「場」という概念
   4)集団療法の変化
  3・1・4 日本における集団療法

4 ひとの発達と集団
 4・1 生活技能
  4・1・1 生活機能と生活技能
  4・1・2 生活技能の発達と集団
 4・2 対人関係技能の発達と集団
  4・2・1 一者関係の成熟
  4・2・2 二者関係の発達
  4・2・3 三者関係とその広がり
 4・3 集団参加技能と集団レベル
 4・4 発達課題と集団

5 集団をもちいる
 5・1 集団の治療的利用
  5・1・1 集団の療法としての利用
   1)結核患者学級から集団精神療法へ
   2)多様な広がり
  5・1・2 集団療法とは
 5・2 個と集団のダイナミックス
  5・2・1 参加者間の相互作用
  5・2・2 個に作用する集団の力
  5・2・3 集団に対する個の反応
  5・2・4 集団プロセス
 5・3 集団の効果
 5・4 集団の構造
  5・4・1 治療構造
  5・4・2 構造因子
 5・5 セラピストの資質
  5・5・1 基本的な資質
  5・5・2 メインセラピストの役割
  5・5・3 サブセラピストの役割
 5・6 利用のコツ
  5・6・1 セラピスト自身の集団体験
  5・6・2 集団を取りまく環境の影響
  5・6・3 失敗や問題は治療のきっかけ
  5・6・4 臨機応変は計画と構造から
  5・6・5 集団内でおきたことは集団で
  5・6・6 だれもが落ちる落とし穴

6 パラレルな場とその利用
 6・1 パラレルな場とは
  6・1・1 ひとの集まりの場
  6・1・2 パラレルな場の風景
  6・1・3 集団療法との違い
 6・2 パラレルな場の効用
 6・3 パラレルな場の利用
  6・3・1 パラレルな場の構造
  6・3・2 作業の機能
  6・3・3 スタッフの役割
  6・3・4 適応対象と適正人数
   1)適応対象
   2)適性人数
  6・3・5 導入時期と方法
  6・3・6 場の成熟と期間

7 作業をもちいる療法と集団・場
 7・1 なぜ作業をもちいる療法で集団をもちいるのか
  7・1・1 作業をもちいる療法の治療構造と集団
  7・1・2 作業をもちいる療法の効果と集団
 7・2 作業をもちいる集団の特性
  7・2・1 作業の特性
  7・2・2 作業をもちいる集団
 7・3 作業をもちいる集団の効果
 7・4 作業をもちいる療法における集団と場の利用
  7・4・1 プロセスの利用
  7・4・2 マスの利用
  7・4・3 場(トポス)の利用
 7・5 集団で作業をもちいる療法の種類
  7・5・1 課題志向集団―気づく, かかわる, まなぶ
   1)課題志向集団の目的
   2)課題志向集団の利用
  7・5・2 集団志向集団―かかわる, 癒える, やすらぐ
  7・5・3 力動的集団―癒える, 気づく, 変わる

8 集団プログラムの計画と評価
 8・1 システムという視点
 8・2 集団プログラムの構成
  8・2・1 単独プログラム
  8・2・2 週間プログラム
  8・2・3 月間プログラム
  8・2・4 年間プログラム
 8・3 プログラムの計画
   1)目標の決定
   2)対象(人数,性別・年齢構成など等質性)の選定
   3)構造(表現・交流手段, 期間・頻度・時間, 開放度, 場所, スタッフ)の決定
   4)運営予定(タイムスケジュール)
   5)評価基準の設定
 8・4 集団プログラムの評価
  8・4・1 評価項目と方法―何をどのように評価するか
   1)観察
   2)参加者の感想
   3)検査
  8・4・2 評価の種類―質的評価と量的評価
  8・4・3 集団の評価
   1)質的評価―集団の特性を知る
   2)量的評価―集団の変化を知る
  8・4・4 集団内における個人の評価
   1)質的評価―個人の特性を知る
   2)量的評価―個人の変化を知る
  8・4・5 グループセラピストの自己評価
 8・5 集団プログラムの記録

9 さまざまな集団療法と作業療法
 9・1 集団精神療法
 9・2 主な集団精神療法と基本技法
  9・2・1 集団精神療法の種類(分類)
  9・2・2 主な集団精神療法
・アイデンティティ・グループ/・精神分析的集団精神療法/・コンバインドセラピー/・プレイセラピー/・サイコセラピー(心理劇)/・生活技能訓練/・ダンス・セラピー/・ミュージックセラピー(音楽療法)/・絵画療法/・詩歌療法/・アロマセラピー(芳香療法)/・園芸療法/・乗馬療法/・ペット療法/・動物介在療法/・レクリエーション療法

10 事例検討
 10・1 精神科医療の改革に対する作業療法プログラムの整備状況と課題
  10・1・1 調査の方法
  10・1・2 分析方法
  10・1・3 調査結果
   1)施設概要と作業療法プログラムの実施状況
   2)作業療法士の認識
   3)プログラム構成の傾向と施設特性および作業療法士の認識
  10・1・4 精神科作業療法プログラムの現状と課題
  10・1・5 プログラム整備が困難な要因と今後の課題
  10・1・6 調査結果
 10・2 精神科病棟の機能分化に即した作業療法プログラムの改変における課題
  10・2・1 対象施設と方法
  10・2・2 経過と結果
   1)プログラム改変作業の経過
  10・2・3 インタビュー調査の結果
   1)プログラム改変作業を通して改善された点
   2)プログラム改変作業で困難だった点
  10・2・4 プログラム改変作業を通して明らかになった問題と課題
  10・2・5 作業療法プログラム改変にむけた今後の課題と対策
  10・2・6 改変の試みの結果
  10・2・7 調査,改変の試行の後
 10・3 10数年前は何が問題で何がおきたのか ?
  10・3・1 グループの構造について
  10・3・2 グループの経過について
  10・3・3 グループの運営について
  10・3・4 作業療法部門の総合プログラムについて
  10・3・5 職種・部署間の集団力動について
  10・3・6 施設のシステムについて

終章 自己認識と自己変容
付表
1 発達, 発達課題と集団
2 集団のレベルに応じた課題志向集団のもちい方
3 集団プログラム計画表
4 集団評価表A(記述形式)
5 集団評価表B(チェック形式)
6 集団内個人評価表A(記述形式)
7 集団内個人評価表B(チェック形式)
8 集団内個人評価表C(個別目標評価)
9 集団プログラム記録表
新版エピローグ
索引

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