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歩行再建
歩行の理解とトレーニング
筆頭著者 大畑 光司 (著)
京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻
三輪書店
電子版ISBN
電子版発売日 2019年7月29日
ページ数 270
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-89590-599-2
印刷版発行年月 2017年5月
書籍・雑誌概要
臨床が変わる ! 歩行のリハビリテーション決定版 !
歩行障害のある人を目の前にしたとき、多くの場合、一番に目が向くのは機能障害だろう。
機能改善を目的に、多くは関節拘縮や筋力低下に対する関節可動域改善や筋力トレーニングを実施するだろう。
これらのトレーニングの目的は、歩行の異常を生じさせる原因を改善することにある。
しかし、これらはあくまで二次的な機能障害であり、活動制限の主体である歩行そのものを対象としている介入ではない。歩行運動を改善するためには、「どのように歩くべきか」という歩き方そのものを指導する再教育が重要になる。そのためには、歩行とは「どのような運動であるか?」を熟知していなければ、効果的なトレーニングを提示することは困難である。
本書では、歩行運動の意味やトレーニング手段を力学的背景と制御の考えに基づき、多数のビジュアルを用いて詳細に解説。さらに、歩行再建のための次世代技術として注目されているロボットを利用したトレーニングについても紹介。
歩行の疑問をすっきり解決する1冊 !
目次
緒言
第Ⅰ部 歩行の基礎知識
第1章 歩行の基本的理解
1 .歩行の基本用語
1)歩行周期とストライド
2)歩行相
2 .歩行の力学的モデル
1)歩行における倒立振子
2)歩行と走行の力学的モデルの違い
3 .歩行の神経学的基盤
1)歩行パターン発生器
2)CPGに影響を与える感覚
3)歩行と上位中枢の役割
第2章 歩行の運動学
1 .運動の基礎的理解
1)身体に加わる力の三要素
2)身体重心位置
3)圧中心位置
4)COG,COPに加わる力
5)臥位と起き上がりのCOG,COP
6)座位,立位のCOG,COP
7)静歩行と動歩行
8)COPとZMP
2 .locomotor unit,passenger unit
1)locomotor unitと倒立振子の成立条件
2)locomotor unitと遊脚振子
3)passenger unitと床反力
第3章 歩行相の運動学
1 .倒立振子に関わる運動
1)歩行の位相
2)荷重応答期(第一両脚立脚期)
3)単脚立脚期
2 .遊脚振子に関わる運動
1)前遊脚期(第二両脚立脚期)
2)遊脚期
第Ⅱ部 歩行の評価
第4章 歩行障害とその様態
1 .歩行障害の観点
1)歩行パフォーマンスと歩行パターン
2)歩行パフォーマンスの重要性
3)歩行パターンの意義
4)歩行パフォーマンスと歩行パターンの回復
2 .歩行パターンの代表的特徴
1)歩行パターンの対称性
2)歩行パターンの変動性
3 .疾患別歩行の特徴
1)脳卒中後片麻痺歩行の全体的特徴
2)パーキンソン病の歩行重症度と歩容
3)小脳性運動失調症患者の歩行重症度と歩容
4)脳性麻痺児の歩行の全体的特徴
第5章 歩行障害の評価
1 .歩行パフォーマンスと歩行パターンの評価
1)歩行能力の全体的評価
2)歩行パフォーマンスの評価─一般的歩行評価
3)歩行パターンの評価
2 .歩行パターンの定量測定
1)三次元歩行解析による定量解析
2)床反力計測による定量評価
3)筋電図解析
3 .歩行障害の関連因子の評価
1)最大筋力測定
2)バランス能力
3)歩行状態の評価
第Ⅲ部 歩行の再建
第6章 歩行再建における臨床的意思決定
1 .臨床的歩行観察のポイント
1)臨床的意思決定に求められる視点
2)臨床的意思決定と障害構造の分析
3)障害構造と問題解決手段の関係─障害構造と個人,環境因子
4)歩行分析における臨床的意思決定
5)臨床的意思決定の手順
6)原因の分析
2 .「問題の認識」と「原因の分析」のための歩行観察
1)passenger unitの観察点
2)locomotor unitの観察点
3)荷重応答期の評価ポイント
4)単脚立脚期の評価ポイント
5)前遊脚期の評価ポイント
6)遊脚期の評価ポイント
第7章 歩行再建のための基礎理論
1 .歩行再建に向けたトレーニング方策
1)運動学習の三法則
2)学習と条件付け
3)Hebbの法則と学習性変化
4)リハビリテーションと学習性再組織化
5)運動学習と記憶
6)運動学習理論と内部モデル
7)運動学習と歩行再建
2 .疾患別にみた歩行トレーニングのエビデンス
1)脳卒中後片麻痺者に対する歩行トレーニング
2)パーキンソン病患者に対する歩行トレーニング
3)小脳性運動失調症患者に対する歩行トレーニング
4)脳性麻痺児に対する歩行トレーニング
第8章 歩行再建の戦略論
1 .歩行トレーニングの目標と計画
1)歩行トレーニングにおける「目標の設定」
2)「問題回避型」介入と「目的志向型」介入
3)「問題回避型」介入の問題点
4)「目的志向型」介入の特徴
5)効果的な目標の設定
6)効果的な課題抽出
7)目標課題の実現性の見積もり
8)効果的な介入計画における戦略と戦術
9)評価,介入計画の全体像のまとめ
2 .歩行トレーニング戦略
1)高強度を目指したトレーニング戦略
2)高頻度を目指したトレーニング戦略
3)高精度を目指したトレーニング戦略
第9章 歩行再建の戦術論
1 .歩行トレーニング戦術
1)フィードバック─feedback
2)強化─rewardとpunishments
3)動機づけ─motivation
4)指導方法─instruction
2 .歩行再建におけるトレーニングの実際
1)ステップトレーニングの計画立案
2)開始姿勢と手順
3)荷重応答期のステップトレーニング
4)単脚立脚期のステップトレーニング
5)前遊脚期のステップトレーニング
6)遊脚期のステップトレーニング
第10章 歩行再建のためのリハビリテーションロボット
1 .歩行補助具による歩行再建
1)介入戦略のトリレンマ─強度,頻度および精度の関係
2)トリレンマ問題と歩行パターン改善の考え方
3)歩行パターン改善のための歩行補助具の利用
4)歩行パターン改善のための歩行補助具の選択
5)装着効果と治療効果
2 .ロボットアシスト歩行トレーニング
1)リハビリテーションロボットの枠組み
2)リハビリテーションロボットの種類
3)ロボットアシスト歩行トレーニングの理論的背景
4)ロボットアシスト歩行トレーニングの効果と問題
5)リハビリテーションロボットのAaNパラダイム
6)外骨格型装置と運動拘束のあり方
7)ロボット長下肢装具の開発
第11章 HONDA歩行アシストによる歩行再建
1 .HONDA歩行アシストの概要
1)AaNパラダイムから考える歩行再建のあり方
2)HONDA歩行アシスト
3)HONDA歩行アシストの装着効果─歩行コストの変化
4)脳卒中後片麻痺者へのHONDA歩行アシストの装着効果
5)HONDA歩行アシストの学習効果
2 .HONDA歩行アシストの使用方法
1)HONDA歩行アシストの準備の関係
2)歩行計測機能
3)追従モード
4)ステップモード
巻末資料
巻末資料1 functional gait assessment (FGA)
巻末資料2 Emory functional ambulation profile(E─FAP)
巻末資料3 gait assessment and intervention tool (G.A.I.T.)
巻末資料4 Wisconsin gait scale(WGS)
巻末資料5 Berg balance scale(BBS)
巻末資料6 activities─specific balance confidence scale(ABC)
巻末資料7 life space assessment(UAB─LSA)
あとがき