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パーキンソン病200年 ―James Parkinsonの夢―
筆頭著者 山本 光利 (編著)
高松神経内科クリニック院長
その他の著者等 廣瀬源二郎/和田健二/坪井義夫/藤岡伸助/波田野 琢/服部信孝/下 泰司/仙石錬平/西岡健弥/高橋一司/織茂智之/渡辺宏久/勝野雅央/祖父江 元/伊藤瑞規/島田 斉/大道卓摩/徳田隆彦/下畑享良/長谷川一子/大熊泰之/前田哲也/柏原健一
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年2月3日
ページ数 426
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-498-32846-4
印刷版発行年月 2020年1月
書籍・雑誌概要
ジェームズ・パーキンソンの“An Essay on the Shaking Palsy”が刊行されてから約200年.この記念すべき節目におくる,パーキンソン病の最新ハンドブック,決定版!
目次
目 次
Part A 総論
1 パーキンソン病の200年 〈廣瀬源二郎〉
1.James Parkinson(1755—1824)以前のパーキンソン病の記載
2.James Parkinsonの“An Essay on the Shaking Palsy”とJean—Martin Charcot
3.パーキンソン病に関するその後の発展
4.なぜレビー小体は欧米ではドイツ語読みでなくルイボディと呼ばれるのか
5.日本におけるパーキンソン病の歴史
2 パーキンソン病の疫学 〈和田健二〉
1.世界におけるパーキンソン病の疫学
2.我が国におけるパーキンソン病の疫学
3.パーキンソン病の死亡率
3 パーキンソン病の環境因子 〈坪井義夫〉
1.パーキンソン病の疫学
2.パーキンソン病発症に影響を与える環境因子
4 パーキンソン病の臨床亜型 〈藤岡伸助〉
1.臨床亜型
2.遺伝子による亜型
3.パーキンソン病の臨床亜型に関する最新の研究
5 パーキンソン病の運動症状の発見とその後 〈波田野 琢 山本光利 服部信孝〉
1.振戦
2.寡動
3.筋強剛
4.姿勢保持障害と突進現象
6 パーキンソン病の非運動症状の発見とその後 〈下 泰司〉
1.非運動症状の種類
2.非運動症状の評価方法
Part B 病理・病態
1 病理からみたパーキンソン病の進展過程(Braak仮説と臨床) 〈仙石錬平〉
1.Braakステージ
2.病理学的な進展
3.Braak仮説
4.胎児脳黒質移植からの伝播
5.凝集蛋白質の細胞間伝播
2 パーキンソン病の病態生理 〈波田野 琢 服部信孝〉
1.ミトコンドリア機能障害と加齢変化
2.蛋白分解系とリソソーム機能障害
3.α—シヌクレインとプリオン仮説
4.選択的ドパミン神経細胞障害
3 パーキンソン病における神経回路 〈下 泰司〉
1.大脳皮質-基底核のループ構造
2.ネットワークからみた病態生理
3.形態学的変化について
4 パーキンソン病と関連遺伝子 〈西岡健弥 服部信孝〉
1.常染色体優性遺伝
2.常染色体劣性遺伝
Part C 診断
1 パーキンソン病の診断基準 〈高橋一司〉
1.James Parkinson(1817年)とJean—Martin Charcot(1888年)
2.英国ブレインバンク(British Brain Bank: BBB)診断基準(1988年)
3.Wardら(1990年),Calneら(1992年),Larsenら(1994年)の診断基準
4.厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究班パーキンソン病診断基準(1995年)
5.Gelbらのパーキンソン病診断基準(1999年)
6.MDS診断基準(2015年)
2 レビー小体型認知症の診断基準 〈織茂智之〉
1.DLBの臨床診断基準(2017)
2.DLBの臨床症状
3.指標的バイオマーカー
4.支持的バイオマーカー
3 Prodromal Parkinson病 〈渡辺宏久 勝野雅央 祖父江 元〉
1.Prodromal PDの概念が確立する上で重要な病変の進展様式の歴史
2.Prodromal PDの診断基準を作成する上での前提
3.MDS prodromal PD研究診断基準
4.Prodromal PD診断基準の感度・特異度
5.Prodromal PD診断基準の課題
4 パーキンソン病の神経形態画像 〈伊藤瑞規 渡辺宏久 勝野雅央〉
1.MRIの形態画像
2.神経メラニン画像
3.MRIの定量的評価: voxel—based morphometryなど
4.拡散強調画像
5.Magnetic resonance spectroscopy
6.Functional MRI
7.経頭蓋黒質超音波
5 パーキンソン病の神経機能画像 〈島田 斉〉
1.DATイメージング
2.MIBG心筋シンチグラフィ
3.脳血流SPECT
6 パーキンソン病におけるバイオマーカー 〈大道卓摩 徳田隆彦〉
1.生化学的バイオマーカーの開発
2.疾患関連蛋白などのバイオマーカー候補の検討
3.網羅的解析
4.将来有望であるバイオマーカー
7 パーキンソン病と神経変性疾患のパーキンソニズム 〈下畑享良〉
1.多系統萎縮症
2.進行性核上性麻痺
3.大脳皮質基底核変性症
Part D 歩行・姿勢・嚥下
1 パーキンソン病の歩行障害のメカニズム ―歩行発現の生理機構から考える― 〈長谷川一子〉
1.運動のカテゴリー
2.運動発現のメカニズム
3.姿勢の制御の神経機構
4.歩行運動の神経機構
5.パーキンソン病の歩行障害―生理学的機構の何が障害されているか
2 パーキンソン病におけるすくみ足と転倒 〈大熊泰之〉
1.すくみ足の機序
2.すくみ足の診察・評価
3.すくみ足の治療
4.転倒の機序
5.すくみ足・転倒の客観的評価(ウェアラブルデバイスの使用)
3 パーキンソン病におけるCamptocormia(前屈症) 〈山本光利〉
1.はじめに: パーキンソン病における姿勢異常
2.Camptocormia(前屈症,腰曲がり,bent spine syndrome,anteroflexion): 言葉とその歴史
3.疫学
4.原因
5.診断と評価
6.関連因子
7.薬剤の影響
8.Bent knee and tiptoeing
9.CamptocormiaがPDに及ぼす身体的影響
10.治療
4 パーキンソン病におけるPisa症候群 〈前田哲也〉
1.パーキンソン病の姿勢異常
2.臨床概念の確立
3.頻度
4.臨床的特徴
5.病態
6.治療
5 パーキンソン病におけるdropped head 〈柏原健一〉
1.症状
2.診断と定義
3.歴史と疫学
4.危険因子
5.発現機序
6.治療
6 パーキンソン病における嚥下障害 〈山本敏之〉
1.嚥下障害の特徴
2.嚥下障害のスクリーニング
3.パーキンソン病の嚥下障害の治療
Part E 非運動症状
[自律神経障害]
1 パーキンソン病と消化管障害 〈榊原隆次 舘野冬樹 土井啓員〉
1.消化管症状・検査
2.病態生理
3.治療
2 パーキンソン病と下部尿路機能障害(膀胱機能障害)〈内山智之 榊原隆次 桑原 聡 平田幸一〉
1.下部尿路症状(LUTS)と下部尿路機能障害(LUTD)
2.パーキンソン病におけるLUTS/LUTD
3.パーキンソン病のLUTSについて
4.パーキンソン病のLUTDについて
5.パーキンソン病のLUTSをきたす病態
6.パーキンソン病におけるLUTDの病態生理学的な機序
7.パーキンソン病のLUTDの治療
3 パーキンソン病における起立性低血圧 〈渡辺宏久 勝野雅央 祖父江 元〉
1.歴史的経緯
2.起立性低血圧の生ずる病態
3.パーキンソン病における起立性低血圧の臨床的な特徴
4.パーキンソン病における起立性低血圧と認知機能
5.起立性低血圧の非薬物療法
6.起立性低血圧の薬物療法
[認知]
4 パーキンソン病認知症とレビー小体型認知症における認知機能と軽度認知障害 〈古和久典〉
1.初期の検討
2.皮質下性認知症
3.レビー小体病
4.パーキンソン病認知症とレビー小体型認知症の臨床的特徴
5.パーキンソン病における軽度認知障害の位置づけ
5 パーキンソン病におけるアセチルコリンと認知機能・嗅覚障害 〈田中洋康 武田 篤〉
1.アセチルコリンの発見
2.中枢神経でのコリン作動性ニューロン
3.認知機能低下とコリン作動性ニューロン
4.パーキンソン病と認知機能低下
5.パーキンソン病のアセチルコリン系神経の機能低下
6.パーキンソン病の嗅覚低下とアセチルコリン
7.パーキンソン病治療とアセチルコリン系薬剤
6 パーキンソン病における運動と認知機能 〈市川 忠〉
1.パーキンソン病に合併する認知症の歴史的背景
2.運動の一般的神経保護効果
3.正常高齢における活動度・運動と認知機能の関連
4.パーキンソン病認知機能への運動介入研究
5.運動によるパーキンソン病認知症での異常蛋白蓄積抑制
[感覚]
7 パーキンソン病における痛み・感覚障害 〈出口一志〉
1.疫学
2.臨床症状
3.疼痛の評価方法
4.疼痛の経過
5.疼痛の機序
6.治療
8 パーキンソン病における視覚障害 〈栗田 正〉
1.網膜の障害
2.視覚障害と幻視
[精神]
9 パーキンソン病のうつ・アパシー・アンヘドニア 〈永山 寛〉
1.パーキンソン病の気分障害
2.パーキンソン病にみられるうつの病態生理
3.アパシーとパーキンソン病の認知機能との関連
4.パーキンソン病のうつの評価
5.パーキンソン病のうつの治療
10 パーキンソン病精神病 〈和田健二〉
1.パーキンソン病精神病とは
2.パーキンソン病精神病の頻度
3.パーキンソン病精神病の症候
4.パーキンソン病精神病の危険因子と病態
5.パーキンソン病精神病の対応
11 パーキンソン病における不安・パニック障害 〈坪井 崇 渡辺宏久 勝野雅央〉
1.不安・パニック障害の頻度
2.不安・パニック障害の評価尺度
3.パーキンソン病における不安・パニック障害の特徴
4.パーキンソン病における不安・パニック障害の病態
5.パーキンソン病における不安・パニック障害の治療
12 機能性(心因性)パーキンソニズム 〈伊藤和則〉
1.ヒステリーの歴史的背景
2.ヒステリーから機能的神経症状症(FNDs)への変遷
3.疫学
4.臨床症状と診断
5.治療
6.予後
[睡眠]
13 パーキンソン病における睡眠障害 〈野村哲志〉
1.パーキンソン病の睡眠障害の病態生理
2.パーキンソン病の睡眠障害の捉え方
3.パーキンソン病における不眠
4.パーキンソン病における日中の眠気
5.パーキンソン病におけるrestless legs syndrome/周期性四肢運動障害
6.パーキンソン病における睡眠時無呼吸症候群
7.概日リズム障害
14 パーキンソン病とレム睡眠行動障害 〈野村哲志〉
1.レム睡眠行動障害とは
2.パーキンソン病でのレム睡眠行動障害の合併
3.レム睡眠行動障害とパーキンソン病の共通性
4.パーキンソン病の診断におけるレム睡眠行動障害の意義
5.パーキンソン病におけるレム睡眠行動障害合併の影響
6.レム睡眠行動障害の治療
Part F 治療
1 パーキンソン病におけるプラセボ効果 〈秋本幸子 菊地誠志〉
1.パーキンソン病治療薬の臨床試験におけるプラセボ効果
2.プラセボ効果の機序
3.Lessebo効果
4.臨床試験からプラセボ効果を排除することは可能か
2 レボドパの歴史:その光と影 〈山本光利〉
1.ドパミン(DA)の発見
2.レボドパの歴史
3.レボドパはなぜパーキンソン病治療のゴールド・スタンダートなのか
4.Cotziasの報告以降のレボドパの歴史: 副作用・運動合併症の克服への道
5.レボドパとレボドパ代謝補助剤の配合薬
6.レボドパ新剤型の開発
7.レボドパの神経毒性に関して
8.レボドパの疾患進行修飾効果の有無
9.レボドパ治療開始時期の考え方
10.レボドパ治療時の運動合併症の治療
3 ドパミンアゴニストの歴史:その光と影 〈大山彦光 服部信孝〉
1.ドパミンアゴニストの開発の歴史
2.ドパミンアゴニストの有効性
3.ドパミンアゴニストの副作用
4 パーキンソン病治療補助薬:その功罪 〈波田野 琢 服部信孝〉
1.カテコール—O—メチル基転移酵素(COMT)阻害薬
2.モノアミン酸化酵素B(MAO—B)阻害薬
3.ゾニサミド
4.イストラデフィリン
5.抗コリン薬
6.アマンタジン
7.L—スレオドプス
5 パーキンソン病に対する脳深部刺激療法(DBS) 〈木村活生〉
1.DBSの歴史
2.DBSの機序
3.DBSの長期効果と有害事象
4.STN—DBSの長期予後
5.GPi—DBS
6.DBSの導入時期
7.ターゲット選択: STNかGPiか
8.今後のDBS治療の展望
6 パーキンソン病における行動障害 〈柏原健一〉
1.症状
2.異常行動の評価法
3.頻度
4.危険因子
5.発現機序
6.治療
7.予防
7 Levodopa—induced dyskinesia: 病態と治療 〈冨山誠彦〉
1.Levodopa—induced dyskinesiaの臨床症候
2.Levodopa—induced dyskinesiaの機序
3.Levodopa—induced dyskinesiaの治療
8 パーキンソン病のQuality of Life 〈川嶋乃里子〉
1.QOL概念の変遷
2.J. Parkinsonの原著とHRQOL
3.HRQOLの測定
4.運動症状とHRQOL
5.非運動症状とHRQOL
6.その他の因子とHRQOL
7.多職種ケアおよび薬物による介入とHRQOL
8.介護者のHRQOL
9.レスポンス・シフトについて
9 パーキンソン病の腸内細菌 〈平山正昭〉
1.パーキンソン病の消化管機能
2.消化管のα—シヌクレイン
3.消化管α—シヌクレインと中枢神経系とのつながり
4.腸内細菌叢との関係
5.腸内細菌叢の解析
6.大腸以外の消化管の細菌の問題
索 引