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精神科実臨床における認知機能リハビリテーションの実践
筆頭著者 久住 一郎 (編著)
北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室教授
その他の著者等 橋本直樹,賀古勇輝,豊島邦義,宮島真貴,傳田健三,三井信幸,藤井 泰,豊巻敦人,松井三枝,池淵恵美ほか,北川信樹
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2023年4月18日
ページ数 197
判型 A5判
印刷版ISBN 978-4-498-22942-6
印刷版発行年月 2023年4月
書籍・雑誌概要
統合失調症や気分障害などの認知機能障害リハビリテーションがわかる.
統合失調症や気分障害における認知機能リカバリーの意義,重要性,検査法,介入法について初学者にもわかりやすく解説する書.リカバリー概念の解説から始まり,統合失調症,大うつ病,双極性障害,発達障害,摂食障害などの評価法,改善療法の技法,NEARの初期導入法や言語セッションの進め方,VCAT-Jなどの実践例を紹介しながら,わかりやすく解説する認知機能リハビリテーションの実践書.
目次
第1章 リカバリー概念〈久住一郎〉
❶リカバリーとは
❷臨床的リカバリーとパーソナルリカバリー
1)臨床的リカバリー
2)パーソナルリカバリー
❸治療目標としてのリカバリーを目指すために
1)認知機能と社会機能の関係
2)認知機能リハビリテーション(認知機能改善療法)の重要性
3)薬物療法の影響
第2章 統合失調症における認知機能障害〈橋本直樹〉
❶神経認知機能障害の概要
❷認知機能障害の長期経過
❸認知機能障害と社会的転帰
❹認知機能障害の生物学的基盤に関する研究
❺神経認知機能障害の評価
❻神経認知機能障害の治療
❼社会認知機能の障害
第3章 大うつ病性障害の認知機能障害〈賀古勇輝〉
❶認知機能障害の特徴
1)神経認知
2)社会認知
3)Hot cognitionとcold cognition
4)Stateか?traitか?
5)他疾患との比較
❷高齢うつ病の認知機能障害
❸認知機能障害と関連する要因
1)患者背景との関連
2)症候との関連
3)社会機能との関連
4)治療との関連
❹神経基盤・脳内機構
❺認知機能障害の治療
1)薬物療法
2)非薬物療法
第4章 双極性障害の認知機能障害〈豊島邦義〉
❶双極性障害の症状寛解期における認知機能障害
❷認知機能障害と機能回復
❸北海道大学病院での検討
第5章 発達障害の認知機能障害〈宮島真貴傳田健三〉
❶注意欠如・多動症(ADHD)
1)ADHDの概要
2)成人期ADHDの認知機能障害
3)ADHDの認知機能リハビリテーション
❷自閉スペクトラム症(ASD)
1)ASDの概要
2)ASDの認知機能障害
3)ASDの認知機能リハビリテーション
第6章 摂食障害の認知機能障害〈三井信幸〉
❶神経性やせ症および神経性過食症の認知機能障害
1)概要
2)実行機能(遂行機能)
3)注意
4)システマティックレビュー
❷過食性障害の認知機能障害
❸北海道大学における自験例の提示
第7章 社交不安症の認知機能障害〈藤井泰〉
❶社交不安症の認知機能
1)神経心理学的研究
2)うつ病との併存
3)機能画像研究
4)表情認知研究
❷北海道大学病院での検討
1)対象と方法
第8章 認知機能障害の評価法〈豊巻敦人〉
❶精神疾患の認知機能障害の評価
❷前頭機能系神経心理検査
❸BACS
❹その他の検査バッテリー
❺認知機能検査の結果の用い方
❻主観的な認知機能の低下の評価
第9章 認知機能改善療法の技法〈松井三枝〉
❶認知機能改善療法の種類
❷前頭葉・実行機能プログラム(FEP)
1)FEPの概要
2)FEPの特徴
3)各モジュールの概要
❸代償的認知トレーニング(CCT)
1)CCTの概要
2)CCTの方法
3)効果について
❹リハビリテーションへの神経心理教育的アプローチ(NEAR)
1)NEARの理論と概要
2)NEARの特徴
3)効果について
❺就労プログラムのための思考スキル(TSW)およびVCAT-J
1)VCAT-Jの理論と概要
2)アプローチの特徴
3)方法
❻社会認知トレーニング(SCIT)
1)SCITの考え方・理論・開発までの経緯
2)アプローチの特徴
3)治療構造
❼メタ認知トレーニング(MCT)
1)MCTの概要
2)MCTの実施の実際
3)標的とされる認知バイアス
第10章 NEARの初期の導入,PCセッションの立ち上げ方〈豊巻敦人〉
❶ハード面の準備
1)PCの確保
2)実施するスタッフの確保
3)場所の確保
❷ソフト面の準備
❸NEARのPCセッションの立ち上げ
1)PCセッションの初期の準備
2)課題の選択について
3)PCセッションの流れ
第11章 NEARの言語セッションの進め方と実践例〈豊巻敦人〉
❶北海道大学の統合失調症のNEARプログラムについて
❷1回目セッション「認知機能を改善させる活動」の進め方
❸2回目セッション「リカバリー目標を立てよう」の進め方
❹3回目セッション「学習スタイルとピンチの切り抜け方」の進め方
❺4・5回目「問題を解決しよう」の進め方
❻6回目セッション「説得力のある主張をしよう」の進め方
❼7回目セッション「効果的に伝えよう」の進め方
❽8回目セッション「よく聞いて覚えよう」の進め方
❾応用的なブリッジングセッションについて
第12章 北海道大学におけるJCORESとともに行う言語セッションの実践例〈豊巻敦人〉
❶VCAT-Jの概要
❷1週間の振り返り.日常生活を基にしたブリッジング
❸PCセッションを基にしたブリッジング
❹神経心理ピラミッドを用いたセッション
❺問題解決場面をテーマにしたセッション
❻就労準備性ピラミッドを用いたセッション
第13章 就労支援を目標とするVCAT-J(Jcores+言語セッション+個別の就労支援)〈VCAT-J研究会〉
❶言語セッションの導入とグループの注意点について
❷PCセッションを基にしたブリッジングについて
❸神経心理ピラミッドを用いることについて
❹就労準備性ピラミッドを利用したセッションについて
第14章 認知機能改善療法と他の心理社会的介入の併用〈北川信樹〉
❶認知機能リハビリテーション(認知機能改善療法,CRT)は社会機能の改善に寄与するか?
❷社会機能の改善に寄与する因子
❸他の心理社会的介入とCRTの関係および連携の可能性
1)SST(生活技能訓練)
2)社会認知トレーニング
3)メタ認知トレーニング(MCT)
4)認知行動療法(CBT)
5)環境支援
❹実臨床で有機的に実行するための戦略はどうあるべきか
1)就労支援とCRT
2)リワークプログラムとCRT(気分障害とCRT)
3)クリニック併設の精神科デイケアでの実践例(北大通こころのクリニック)
❺今後の課題とまとめ