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リハビリテーション薬剤実践マニュアル
生活機能を改善させる薬剤の選び方
原土井病院薬剤部(薬剤師)/東京女子医科大学病院リハビリテーション科(医師)/公立陶生病院薬剤部(薬剤師)
その他の著者等 酒向 幸,森 直樹,浅井泰詞,小倉秀美,岡添 進,鍋谷伸子,辰巳真穂,吉田朱見,西岡心大,飯田有輝,齋藤嘉子,森 隆志
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2023年2月28日
ページ数 368
判型 A5判
印刷版ISBN 978-4-498-06740-0
印刷版発行年月 2023年2月
書籍・雑誌概要
薬剤処方のDoとDon’tがよくわかる,処方カスケード問題を解決するための必読書
リハ薬剤をマスターして,薬の影響により食事,睡眠,排泄などが緩やかに“できなくなる”負へのベクトルを予防し,正のベクトルへ.ふらつき・転倒,抑うつ,認知機能障害,せん妄,食欲低下,便秘や排尿障害などのよくある症状を改善するための,処方改善を提案.薬剤処方のDoとDon’tがよくわかる,処方カスケード・ポリファーマシー問題を解決するための必読書!
目次
I章 ポリファーマシー対策
1 リハと薬剤を一緒に考えるリハ薬剤[中村直人]
2 処方カスケードに対し,多職種による生活機能の評価の視点[酒向 幸]
3 切っても切れない腎機能を考慮した薬物療法[森 直樹]
4 日常的に常用される嗜好品との相互作用に注意[浅井泰詞]
5 高齢者で併用しやすい薬物間相互作用:アスピリンとNSAIDs[小倉秀美]
6 特に高齢者における個人差があるためTDMを検討する[岡添 進]
7 セルフメディケーションを支援するためのOTCの注意事項[鍋谷伸子]
8 正しい内服のための,正しい薬の取り扱い 特に介護者に向けて [辰巳真穂]
II章 全人的評価(ICF)に必要な多職種の視点や指標
1 リハ科医師の視点:薬剤によるIADL,AADL,QOL,生きがいの低下[若林秀隆]
2 看護師の視点:こまめな情報交換で有害事象の見過ごしを回避する[吉田朱見]
3 管理栄養士の視点:栄養評価の3つの概念を把握し,低栄養回避のために協働する[西岡心大]
4 理学療法士の視点:フレイル発症予防のために,薬による弊害を取り除き社会参加を促す[飯田有輝]
5 作業療法士の視点:処方変更前後の変化の情報共有を密に行う[齋藤嘉子]
6 言語聴覚士の視点:摂食嚥下のプロからも警鐘,薬剤性摂食嚥下障害の懸念[森 隆志]
7 歯科衛生士の視点:半数以上が口腔関連の問題を抱えていることを認識する[金久弥生]
8 医療ソーシャルワーカーの視点:背景因子を知り医療から生活へのシフトを支援する[中川美幸]
III章 全人的評価(ICF)に必要な薬剤師の視点
1 ケアステージ:外来[野口時恵]
2 ケアステージ:急性期病院[篠永 浩]
3 ケアステージ:地域包括ケア病棟[飯田純一]
4 ケアステージ:回復期リハ病棟[田中絵里子 藤原久登]
5 ケアステージ:施設[林田 諭]
IV章 症状
【A.ふらつき・転倒】
1 心不全患者でβ遮断薬がふらつき・転倒の被疑薬となる場合も可能な限り継続する[茂木孝裕]
2 ベンゾジアゼピン系抗不安薬は長期投与をできるだけ避ける[牧 宏樹]
3 薬剤性パーキンソニズムへの抗パーキンソン病薬の効果は限定的である[横山敏紀]
4 過活動膀胱への抗コリン薬投与はQOLを重視する[宮崎 徹]
5 フレイル高齢者へのSGLT2阻害薬は年齢,BMI,併用薬によっては中止を検討する[水谷一寿]
6 ビタミンDは欠乏しないように補充を心がける[野口時恵]
7 ビタミンC不足は筋肉減少のリスクとなるが,高用量の補充は推奨しない[中道真理子]
8 フレイル高齢者へのスタチン投与はスタチン関連筋症状が懸念される[藤原久登]
9 低ナトリウムの原因に多くの薬剤が関連して転倒のリスクとなる[林 宏行]
【B.抑うつ】
1 高齢者抑うつへの抗うつ薬は効果より副作用のリスクが懸念される[菊池幸助]
2 抑うつへのドパミン作動薬は実用化に至っていない[中道真理子]
3 BPSD・抑うつに漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
【C.認知機能障害】
1 睡眠障害や不安には非薬物療法を優先する[飯田純一]
2 抗精神病薬や抗うつ薬は可能な限り減量・中止する[末松文博]
3 副腎皮質ステロイドは治療期を見極め,減量シフトを支援する[辰巳真穂]
【D.せん妄】
1 パーキンソン病は副作用によるアドヒアランスの喪失を少なくし薬物療法の継続を推奨する[宮崎 徹]
2 せん妄に対して,ジゴキシンは減量・中止し,β遮断薬は高血圧患者では他の薬剤へ変更する[茂木孝裕]
3 疼痛マネジメントによりNSAIDsの使用は可能な限り短時間にする[武藤浩司]
4 抗菌薬によるせん妄リスクを理解し,早期介入で症状改善は可能[篠永 浩]
5 準備因子と促進因子の解除とスイッチングにより,オピオイドの使用を制限しない[坂本岳志]
6 H2ブロッカーは腎機能低下,高齢者ではハイリスクとなる[牧 宏樹]
【E.食欲低下】
1 高齢者の半数以上が口腔乾燥を意識し,薬剤服用者で頻度が高くなる[岡添 進]
2 腸管蠕動の抑制・促進のいずれにも食欲を低下させる要因がある[林 宏行]
3 味覚の変化をいち早くとらえ,薬剤性と併せて複合的な要因に対処する[武藤浩司]
4 抗精神病薬,抗てんかん薬,アルツハイマー治療薬は摂食嚥下障害の原因となり得る[竹村有美]
5 錐体外路症状起因とする運動機能障害を適切に対処して食欲低下を予防する[菊池幸助]
6 食欲不振に漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
【F.便秘】
1 術後の排便コントロールや抗炎症効果に大建中湯,感染徴候に十全大補湯[坂元隆一 竹下 力]
2 基本的にマグネシウム製剤を用いるが,無症状の高マグネシウム血症に注意する[瀧 祐介]
3 便秘に漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
【G.排尿障害・尿失禁】
1 総合感冒薬は排尿障害のリスクがあることを認識する[菊池幸助]
2 抗アレルギー薬など日常的に使用される医薬品ほど添付文書のアップデートを行う[中村直人]
3 排尿障害に禁忌の抗不整脈薬に注意するが,前立腺肥大=抗コリン薬禁忌ではない[鈴木慶介]
4 抗精神病薬による尿失禁ではQOL向上のアプローチが必要[林田 諭]
5 頻度は高くないが,中枢性筋弛緩薬は排尿に影響する可能性がある[藤原久登]
6 泌尿器関連症状に漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
7 泌尿器科薬による副作用に漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
V章 疾患
【A.脳血管障害】
1 Ca拮抗薬による浮腫は,服用初期ではなく長期経過後に出現する[牧 宏樹]
2 抗てんかん薬は明らかな副作用の場合に中止・減薬を検討する[瀧 祐介]
3 抗血小板薬と抗凝固薬のサルコペニア,フレイルに対するリスクは明確ではない[東 敬一朗]
4 脳卒中患者では貧血をきたす薬剤に注意[中道真理子]
5 釣藤散による脳血管性認知症への有効性の可能性[坂元隆一 竹下 力]
【B.整形疾患】
1 慢性腰痛に適応のある抗うつ薬はデュロキセチンのみだが,その使用は確立していない[長谷川裕矢]
2 骨折リスクの高い場合はPPIの処方を可能な限り避ける[酒向 幸]
3 NSAIDsとの併用で注意するべき相互作用の例[鈴木慶介]
4 漢方薬は,NSAIDsや神経障害性疼痛緩和薬と比較して副作用が少ない[坂元隆一 竹下 力]
【C.肺炎】
1 誤嚥性肺炎の患者には不必要な禁食の回避と入院早期からの栄養介入が望ましい[長谷川裕矢]
2 誤嚥性肺炎・高血圧例には禁忌事項を確認してACE阻害薬を推奨する[水谷一寿]
3 高齢者で欠乏しやすいビタミンDは補充を検討する[武藤浩司]
4 誤嚥性肺炎に漢方薬という選択肢[坂元隆一 竹下 力]
【D.がん】
1 がん悪液質の食欲不振に対して承認された初めての薬[江口真由]
2 亜鉛補充は,放射線および化学放射線療法による口腔粘膜炎に有効な例もある[竹村有美]
3 痛みゼロを目指すのではなく,QOLを維持するオピオイドの使用に心がける[坂本岳志]
4 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)への薬物療法の効果は限定的[茂木孝裕]
5 化学療法の副作用の補助役として漢方薬という選択肢[浅井泰詞]
VI章 ケーススタディ
1 食思不振にフォーカスした薬剤調整[鈴木慶介]
2 拒食にフォーカスした薬剤調整[鍋谷伸子]
3 覚醒不良にフォーカスした薬剤調整[竹村有美]
4 意欲低下にフォーカスした薬剤調整[江口真由]
5 昼夜逆転のある認知症にフォーカスした薬剤調整[森 直樹]
6 摂食嚥下障害にフォーカスした薬剤調整[東 敬一朗]