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研修医24人が選ぶ 小児科ベストクエスチョン
筆頭著者 岡本 光宏 (著)
兵庫県丹波医療センター小児科医長
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年4月13日
ページ数 272
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-498-14566-5
印刷版発行年月 2020年4月
書籍・雑誌概要
研修医へのアンケートなどによって厳選された小児科診療に関する38のクエスチョンを、実地臨床に適応しやすい形で分かりやすく解説。クエスチョンの推奨度やリスクの高低、研修医アンケートでの正答率に基づいた重要度を示し、診療において注意すべきポイントを学習できるようにした。「注射の痛みを軽減するコツ」や「非専門医のアトピー診療」、「授乳中の服薬」など、研修医の「本当に知りたい疑問」に応えた一冊。
目次
目 次
序 文
研修医アンケート
推奨またはリスクの強さと重要度
本書の見方
BEST 1 優しく抱きしめると,注射の痛みは減るか?
▶「痛い注射」は子どもの神経発達に障害を与えうる
▶まずは注射の痛みを軽減する6つのコツを習得しよう
▶さらに実践的なコツ6つ:児を尊重しつつ手早く終える秘訣
COLUMN 1 体を押さえつけるのは準備をすべて終えてから.
BEST 2 非専門医は,アトピー性皮膚炎を不適切に診療するか?
▶なぜアトピー性皮膚炎の治療を継続できないのか
▶正しい診断ができれば治療は継続できる
▶正しいスキンケア:皮膚の洗い方と保湿をマスターしよう
▶正しいステロイド療法:適量と上限を伝え保護者を安心させる
▶モチベーションを維持するためのコツ4つ
BEST 3 ロキソプロフェン投与母体の授乳継続は,児の発達を阻害するか?
▶母乳栄養は成長発達を促し肥満と好き嫌いを減らす
▶まずはLactMedで調べる習慣をつける
▶悩んだときはmedications & mothers’milkが便利
▶日本独自の薬は妊娠と薬情報センターを活用する
▶注意点:安全か危険かだけではなく利益と起こり得る副反応をアドバイスする
▶質問への答え:ロキソプロフェンで授乳を中止する必要はないが,アセトアミノフェンという選択も考慮せよ
BEST 4 1歳6カ月で歩けず言葉も出ないという要素は,発達障害のリスクを上げるか?
▶発達障害を指摘するのは難しい
▶1歳6カ月で歩けなくても異常ではないことがある
▶1歳6カ月で言葉が出なくても異常ではないことがある
▶1歳6カ月で歩けず言葉も出ないことは異常である
BEST 5 血管確保困難例に対してミダゾラムを点鼻投与すると,けいれん時間は短縮されるか?
▶抗けいれん薬投与よりもまずは気道確保と酸素投与
▶5分けいれんすれば血管確保と抗けいれん薬投与
▶血管確保ができない場合は鼻腔投与・頬粘膜投与・筋注・注腸
▶鼻腔投与時は十分な鼻吸引とインフォームドコンセントを
BEST 6 卵アレルギーは,インフルエンザ予防接種のリスクを上げるか?
▶ワクチンは小児のインフルエンザ罹患率を30%から11%に下げる
▶添付文書上はアナフィラキシー既往がなければ接種可
▶アメリカでは卵の重症アレルギー児でも普通に接種している
▶自信を持ってインフルエンザワクチンを推奨する
BEST 7 非専門医は,not doing wellを見落とすか?
▶「小児科医の第六感」は感度61.9%,特異度97.2%
▶PATも"not doing well"の検出に有用
▶3カ月未満の"not doing well"には髄液検査
BEST 8 β2刺激薬の吸入量を体重計算して投与すると,吸入効果は上がるか?
▶2012年は0.1〜0.3 mLだったが2017年から0.3 mLに変更
▶乳幼児は呼吸が浅く,口呼吸ができないため,吸入効率が低い
▶マスクフィットできないと吸入効果はない
▶啼泣すると吸入効果はない
▶母に抱っこさせビデオを見せながら吸入する
BEST 9 単純型熱性けいれん後で意識清明な児に対して血液検査を行うと,効率よく診療を行えるか?
▶単純型熱性けいれんを合併しても,重症感染症のリスクは増えない
▶30分以上意識レベルが悪いかNICEガイドラインの重症度項目を満たすか複雑型熱性けいれんであれば採血する
▶けいれんが30分以上続くか30分以上意識障害が続く場合は髄液検査と頭部CTも施行する
▶脳波検査は複雑型熱性けいれんから10日後以降
▶頭部MRIは脳炎・脳症・ADEMを疑ったとき
▶来院時の意識が清明で重症感のない単純型熱性けいれんは採血もその他検査も不要
BEST 10 インフォームドアセントを得ると,児の不安・恐怖は和らぐか?
▶子どもは人として尊ばれる
▶小児から得るのは同意ではなく賛意
▶臨床試験におけるインフォームドアセント
▶インフォームドアセントは一般小児科外来でもプレパレーションとして役立つ
▶どうしてもインフォームドアセントが得られない場合は保護者と医師とで決定する
BEST 11 手足口病に対して厳格な出席停止を行うと,感染拡大を防げるか?
▶学校保健安全法:出席停止が必要な感染症と,場合によって出席停止となる感染症がある
▶出席停止が必要な感染症
▶場合によっては出席停止となる疾患
BEST 12 風呂を禁止すると,かぜの発熱期間は短縮するか?
▶発熱と入浴の歴史:その昔,発熱時は入浴しないのが一般的だった
▶入浴の利点と欠点:清潔・爽快感vs脱水
▶発熱時であっても入浴を勧める状況:脱水がなく,水分が摂れるなら入浴したほうが良い
COLUMN 2 「お風呂に入っていいですよ」の魔法.
BEST 13 5歳のおねしょは,児のQOLを下げるか?
▶夜尿症の定義:5歳以上,月に1回以上,3カ月以上続く
▶夜尿症の頻度と自然経過:夜尿症は珍しくなく,成人まで持続する場合もある
▶治療の必要性:児にも親にも悪影響があり,放置してはいけない
▶プライマリケア医にできること:単一症候性なら検査から治療まで
BEST 14 解熱後2週間以内の予防接種は,効果が減弱するか?
▶基本はガイドラインに準じるが,柔軟な対応も必要
▶予防接種の可否の判断が必要となる状況7つ
BEST 15 1歳という要素は,診察を難しくするか?
▶診察を難しくさせる理由は,子どもの啼泣
▶子どもを泣かさないコツ6つを実践しよう
▶それでも泣いてしまったら,啼泣時の特性を利用して聴診する
BEST 16 ステロイド忌避に対して非ステロイド抗炎症軟膏を使うと,効率よくアトピー性皮膚炎診療を行えるか?
▶NSAID外用薬はアトピー性皮膚炎に効果なし
▶NSAID外用薬は接触性皮膚炎のリスクである
▶推奨されないNSAID外用薬が処方される理由:ステロイド忌避の保護者と医師
▶ステロイド忌避の保護者にはTOPICOPの ➀〜⑥ に着目し正しい知識を提供する
▶「頭では分かっていても,やはりステロイドが怖い」をアドヒアランス向上に繋げる
COLUMN 3 治らないのは親のせいではない.
BEST 17 非専門医は,細気管支炎と喘息発作を混同するか?
▶肺音は呼吸音と副雑音に分かれ,副雑音はさらにラ音と胸膜摩擦音に分かれる
▶疾患特異的な呼吸音は教科書によって記載が異なる
▶聴診所見とどう向き合うか
BEST 18 溶連菌・アデノウイルス検査陰性の白苔は,通常のかぜより長い経過となるか?
▶なぜ喉を診るのか:「普通のかぜ」か「特別な疾患」かを判断するため
▶扁桃白苔を見たときの検査前確率:溶連菌・アデノウイルス・EBウイルス感染症いずれも30%と考える
▶溶連菌・アデノウイルス迅速検査は少なくても感度90%,特異度95%
▶扁桃白苔を認め,溶連菌やアデノウイルスが陰性だった場合は,EBウイルス抗体を測る
BEST 19 発症12〜24時間のインフルエンザ迅速検査の感度は,大きく劣るか?
▶インフルエンザは迅速検査で診断する
▶インフルエンザ迅速検査の感度は発症12時間以内で35%,24時間以内で66%,48時間以内で92%
▶発症から12時間を超えて,発症24時間以内の迅速検査が陰性だった時の対応4つ
▶インフルエンザ検査の解釈は検査前確率と発症からの時間で変わる
COLUMN 4 検査を出す前に,検査前確率.
BEST 20 頭部打撲に対してルーチンで頭部CT検査をすると,効率よく診療できるか?
▶小児科医がすべきことは,頭部CTを撮影するかどうかの判断
▶PECARN:頭部CTを撮影する基準
▶PECARNとCHALICEから医学の限界を考える
▶現実的な対応:再診の目安をしっかりと説明する
BEST 21 鉄欠乏性貧血に鉄剤を投与すると,児は健やかに成長発達するか?
▶子どもが鉄欠乏性貧血になるメカニズム
▶子どもの鉄欠乏性貧血が将来に与える影響
▶鉄欠乏性貧血は治療すべきである
BEST 22 直腸拭い液によるロタウイルス検査では,感度が下がるか?
▶2012年12月3日以前,直腸拭い液によるノロウイルス迅速検査の一致率69.7%
▶直腸拭い液によるロタウイルス迅速検査は,さらに古くから報告あり
▶直腸拭い液によるウイルス迅速検査は可能である
BEST 23 4週間続く咳に対して抗菌薬を投与すると,咳は減るか?
▶咳診療の基本:咳嗽の期間から鑑別疾患をあげる
▶咳診療の例外:期間ではなく,症状による診断が有用な疾患
▶遷延性細菌性気管支炎に対する抗菌薬の有効性
COLUMN 5 かぜに抗菌薬を処方したい医師などいない.
BEST 24 非専門医は,気管支喘息発作と喘息性気管支炎を混同するか?
▶乳幼児喘息の診断基準:基本は喘鳴3エピソードとβ2刺激薬への反応
▶喘息性気管支炎:乳幼児喘息ではない呼気性喘鳴疾患
▶乳幼児の呼気性喘鳴は乳幼児喘息と喘息性気管支炎だけではない
▶「気管支炎・肺炎」と「気管支喘息発作・喘息性気管支炎」は併存可能
BEST 25 アモキシシリンで発疹が出現した溶連菌性咽頭炎児に対してペニシリンアレルギーと診断すると,効率よく診療できるか?
▶溶連菌診療の問題点3つ:診断・治療・予後のすべてに潜む罠
▶保菌があるため迅速検査の疑陽性が多い
▶経過中に生じる発疹の原因が多彩
▶リウマチ熱予防のためにと正しい診断と治療が必要
▶まとめ:溶連菌はやはり難しい
BEST 26 非専門医は,蛋白尿や血尿を不適切に診療するか?
▶学校検尿の成果
▶学校検尿の流れ:一次検尿,二次検尿,三次精密検査
▶三次精密検査後の対応
BEST 27 溶連菌の保菌に対して抗菌薬治療すると,リウマチ熱のリスクは下がるか?
▶溶連菌保菌の定義:咽頭から溶連菌が検出されるが症状はない
▶溶連菌保菌の頻度:健常児の12〜20%
▶溶連菌保菌の合併症:リウマチ熱とは関連しない
▶治療すべき保菌:溶連菌に関連した合併症がある場合は除菌を考慮
▶保菌と診断されるケースは基本的にない
BEST 28 採血時に親が付き添うと,児の不安は軽減されるか?
▶15年前は親が採血・点滴時に付き添わないのが一般的
▶親を付き添わせない理由4つ
▶親を付き添わせる理由:子どもの精神的安定
▶親を引き離さない医師になる
COLUMN 6 手技は信頼のカギ.
BEST 29 クラリスロマイシンをスポーツドリンクで飲むと,服薬成功率は上がるか?
▶小児科で処方される飲みにくい薬リスト
▶さっそく薬の味見をしてみよう
▶実際に飲んで感じてみる大切さ
COLUMN 7 薬の味を知る.
BEST 30 ステロイドを投与すると,クループは改善するか?
▶クループに対しステロイドの効果は2時間で発現し24時間続く
▶わが国ではデキサメタゾン0.15 mg/kg単回投与が基本
▶ウイルス感染症にステロイドを投与しても安全なのか?
▶ウイルス感染症に対するステロイド投与の論文3つ
▶クループへのステロイド投与は効果的で安全といえる
COLUMN 8 胸を聞き,口を診る.
BEST 31 かぜを繰り返すという要素は,免疫不全のリスクを上げるか?
▶原発性免疫不全症は意外と多いかもしれない
▶原発性免疫不全症を疑う10の徴候
▶実際に精査するタイミング
BEST 32 RSウイルス感染後の一過性喘鳴に対してモンテルカストを投与すると,呼吸機能は改善するか?
▶喘息性気管支炎について復習
▶ロイコトリエン受容体拮抗薬は喘息発作に効くのか?
▶ロイコトリエン受容体拮抗薬は喘息性気管支炎に効くのか
▶アトピー性皮膚炎を有する場合にのみ7日間処方する
COLUMN 9 薬はお土産ではない.
BEST 33 血液検査をすると,虫垂炎を除外できるか?
▶虫垂炎を疑う状況
▶虫垂炎のスコア(アルバラードスコア)に白血球数と好中球分画が含まれる
▶血液検査をするタイミング
▶腹部CTを撮影するときの注意点
BEST 34 タバコ誤飲に胃洗浄をすると,救命率は上がるか?
▶タバコ誤飲・誤食の実際と注意点
▶タバコ誤飲・誤食の症状
▶タバコ誤飲・誤食への対応
BEST 35 排便回数を確認すると,便秘症を診断できるか?
▶排便回数は便秘症の診断に有用か?
▶便秘症の診断に腹部X線検査は有用か?
▶便秘症の診断の実際
BEST 36 伝染性軟属腫の児に対してプールを禁止すると,感染拡大防止につながるか?
▶学校保健安全法による登校時の注意点
▶各学会による皮膚感染症のプール基準
▶伝染性軟属腫を治療すべきか:「伝染性」でありQOLを低下させるので積極的な治療を
▶治療における注意点
BEST 37 非専門医は,クループの重症度を不適切に評価するか?
▶クループ診療に役立つスコア:ウエストレースコア
▶ウエストレースコアと治療と入院基準
▶クループのピットフォール:喉頭蓋炎を見逃さない!
COLUMN 10 「何かあったら来てください」の「何か」とは.
BEST 38 アレルギー検査をすると,蕁麻疹を正しく診療できるか?
▶蕁麻疹の病型
▶「とりあえず特異的IgE抗体検査」には価値がない
▶特異的IgE抗体検査をスクリーニングで使うために:詳細な病歴と負荷試験のセット
▶特発性蕁麻疹の頻度と誘因と予後
▶なんでも「特発性」ではない
Keywords
イラスト●坂本浩子