書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。

検索

カテゴリから選ぶ

ハームリダクションとは何か

薬物問題に対する,あるひとつの社会的選択

ハームリダクションとは何か
本文を見る
  • 有料閲覧

筆頭著者 松本 俊彦 (他編著)

その他の著者等 松本俊彦/古藤吾郎/上岡陽江/樽井正義/Alex Wodak/みなみおさむ/林 神奈/鳥山絵美/牛木潤子/後藤弘子/

中外医学社

電子版ISBN

電子版発売日 2018年1月8日

ページ数 162

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-498-12994-8

印刷版発行年月 2017年8月

DOI https://doi.org/10.18886/9784498129948

書籍・雑誌概要

「薬物依存症は刑務所に入っても治らない」,必要なことは処罰ではなく支援である,という著者らが公衆衛生政策としての“ハームリダクション”とは何か?について解説.

目次

はじめに

第1章 ハームリダクションとは何か?
1 はじめてのハームリダクション:今,世界で激論中〈古藤吾郎〉
   ハームリダクションをめぐる国際的なディスカッション
   ハームリダクションとは
   はじめてのハームリダクション:NGOでの実習
   ハームリダクションをめぐる幅広い合意

2 保健問題としての薬物使用〈樽井正義〉
   HIV/AIDSとハームリダクション
   スイスの事例
   マレーシアと台湾の事例
   ハームリダクションに学ぶ

3 「危険ドラッグ・フィーバー」から考えるハームリダクション
  ―規制強化は個人とコミュニティに何をもたらしたか― 〈松本俊彦〉
   危険ドラッグ乱用の実態
   わが国における「脱法」的な薬物との戦いの歴史
   なぜ危険ドラッグ・フィーバーが発生したのか
   「包括指定」がもたらしたもの
   規制強化が引き起こした「害Harm」とは
   危険ドラッグ・フィーバーの唐突な終焉
   薬物対策の2つの柱―供給の断絶と需要の低減
   自己治療仮説―「負の強化」こそが依存症の本質である

第2章 海外にみるハームリダクションの実践
4 世界は違法薬物にどう対応することができるか?〈著:Alex Wodak/訳:古藤吾郎〉
   厳罰主義の隆起と緩やかな衰退
   厳罰主義がもたらす逆効果
   厳罰主義がオーストラリアに及ぼした悪影響
   健康と社会のための薬物政策
   健康と社会のための薬物の許認可
   健康と社会のための薬物使用センター
   新しく,そして多様なハームリダクション
   国際的な薬物政策の変革
   治療・回復に従事することと,薬物政策を変革するための活動の共通点
   アンフェアな厳罰主義

5 ハームリダクションを医療者・医療ユーザーに伝える
  ―カナダ・トロント市での実践から― 〈みなみおさむ〉
   ハームリダクション―従来の方法と何が違うのか
   なぜハームリダクションが必要なのか
   クライアントの側に立って物質使用を理解する
   自己治療に行き詰まった人に対する援助
   いま・ここにいるクライアントにハームリダクションをどう伝えるか
   ハームリダクションの応用例―「クライアントの行動を制限する」介入

6 研究者がアドボカシーを行うためにできること:バンクーバーにおける
  ハームリダクション事情と研究者の関わり〈林 神奈〉
   VANDUの設立と非公認SIF
   インサイトとその有用性
   研究者の役割

第3章 日本における取り組みと課題
7 生き延びるための居場所や関係はどこにあるのか/どうつくるのか"
  当事者も,その周りの人々にも安心・安全を〈鳥山絵美〉
   ハームリダクションでつながりを
   困っていることが言葉になる場づくり
   家は安全な場所なのか
   身体のケアでつながりを
   生き延びるための選択肢を増やす
   オーストラリアで確認した希望
   依存先を増やしていく関わり

8 「生きていなければ始まらない」―そのための居場所づくり―ダルク女性ハウスの歩み― 〈上岡陽江〉
   「やめるか,やめないか」しかないと思っていた頃
   ハームリダクションと出会って
   薬物依存は犯罪ではない
   変わっていったこと
   母と子の支援,心身のケア
   生きていくためのハームリダクション

9 刑事施設におけるハームリダクション〈牛木潤子〉
   刑事施設について
   刑事施設とハームリダクション

10 薬物使用による害を減らすために司法にできること〈後藤弘子〉
   薬物関連法規とその基本的な考え方
   規範違反としての覚せい剤事犯者
   司法における薬物使用者
   変化する司法と回復への支援

11 安心して「クスリがやめられない」といえる社会を目指して〈松本俊彦〉
   薬物依存症―誤解されている病気
   薬物戦争敗北宣言
   ポルトガルの薬物政策
   誰もが依存症になるわけではない
   「ネズミの楽園」が教えてくれること
   安心して「やめられない」といえる社会

おわりに〈上岡陽江 古藤吾郎〉

索引