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胎児発育不全
三重大学医学部産科婦人科学教授/浜松医科大学医学部産婦人科学病院長/昭和大学医学部産婦人科学講座教授
その他の著者等 田中博明/二井理文/吉田穂波/横山徹爾/板橋家頭夫/森岡一朗/前山花織/杉山 隆/草開 妙/中島彰俊/齋藤 滋/佐村 修/岡本愛光/田中佳世/瀬山貴博/中山敏男/永松 健/藤井知行/前川 亮/杉野法広/菅 幸恵/安日一郎/大平哲史/塩沢丹里/三好剛一/市川千宙/竹内 真/小口秀紀/日高庸博/加藤聖子/宮下 進/安田 俊/経塚 標/藤森敬也/小野政徳/飯塚 崇/藤原 浩/戸田 薫/上塘正人/小谷友美/味村和哉/遠藤誠之/川合健太/中村友彦/真川祥一/徳中真由美/真木晋太郎/梅川 孝/熊澤惠一/木村 正/小野良子/吉田 純/桂木真司/中田雅彦
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2018年12月24日
ページ数 196
判型 A4
印刷版ISBN 978-4-498-06090-6
印刷版発行年月 2018年7月
書籍・雑誌概要
周産期の死亡の原因となるだけでなく,生涯にわたって多くの疾患や障害に影響を与えるとされている“胎児発育
不全”.近年では予防法と治療法に関する研究が進んできており,現代の周産期医療の中で最も注目を集めるこの
分野をメインテーマとした本邦初の書籍.この一冊で胎児発育不全についての定義や医療上の問題点,実臨床の管
理法や治療や予防などに関する最新の話題まで,エビデンスに基づいた解説とともに網羅することができる.
目次
Chapter I ●定義・疫学
1 ● 胎児発育不全の定義〈田中博明,二井理文〉
定義
分類
2 ● わが国の出生体重の推移―ナショナルデータベースの解析から―〈吉田穂波,横山徹爾〉
低出生体重児の現状と国際的動向
LBW児増加要因の分析方法
分析結果
まとめ
3 ● 胎児発育不全―新生児期の問題―〈板橋家頭夫〉
SGAとは
在胎期間別出生時体格値とは
SGA児の疫学
新生児期の合併症
早産SGA児の短期予後に対する影響
4 ● 死亡率や障害などへのインパクト(乳児〜幼児)〈森岡一朗,前山花織〉
成長障害(低身長)
運動発達遅滞
神経発達症群
5 ● DOHaD(developmental origins of health and disease)〈杉山 隆〉
Barkar仮説からDOHaD仮説へ
DOHaD仮説と倹約表現型仮説
ヒトにおける疫学研究
DOHaDの分子機構:エピジェネティクス
オランダの飢饉におけるエピジェネティクスとより最近の考え方
Chapter II ●病因・病態
1 ● 胎盤形成の異常〈草開 妙,中島彰俊,齋藤 滋〉
胎盤形成とは
妊娠高血圧腎症の発症機序:“two—stage disorder”theory
Autophagyとは
胎盤形成不全の原因:オートファジー抑制
胎盤形成不全の原因:免疫機構の破綻
今後の研究課題
2 ● 胎児異常〈佐村 修,岡本愛光〉
染色体異常と胎児発育不全
18トリソミー
13トリソミー
21トリソミー
ターナー(Turner)症候群
微小重複/欠失による胎児発育不全
CPM(confined placental mosaicism)胎盤限局性モザイク
Russell Silver(ラッセル・シルバー)症候群
Smith Lemli Opitz症候群
Cornelia de Lange(コルネリア デ ランゲ)症候群
3 ● タバコ,アルコール,薬剤,栄養〈田中佳世,田中博明〉
タバコ
アルコール
薬剤
栄養
4 ● 先天感染と胎児発育不全〈瀬山貴博,中山敏男,永松 健,藤井知行〉
FGRの原因となる先天性感染症
先天性サイトメガロウイルス感染症
先天性トキソプラズマ感染症
先天性風疹感染症
先天性ヘルペス感染症
先天性梅毒
ジカウイルス感染症
5 ● 多胎妊娠と高度生殖医療〈前川 亮,杉野法広〉
多胎妊娠と胎児発育不全
高度生殖医療と胎児発育不全
6 ● 合併症妊娠と胎児発育不全〈菅 幸恵,安日一郎〉
FGRの原因となる母体合併症
妊娠高血圧症候群
自己免疫疾患
甲状腺機能異常
糖尿病合併妊娠
7 ● 凝固・線溶〈大平哲史,塩沢丹里〉
先天性血栓性素因
後天性血栓性素因
8 ● 実験動物と胎児発育不全モデル〈三好剛一〉
FGRモデル動物
母獣栄養制限モデル
子宮血流制限モデル
胎盤障害モデル
胎児奇形モデル
小動物用超音波高解像度イメージングシステム
9 ● 胎児発育不全と胎盤〈市川千宙,竹内 真〉
FGRにおける胎盤の大きさと肉眼所見
超音波所見と胎盤病理の関連
FGRの分類
Chapter III ●管理・予知
1 ● 推定体重と2つの体重曲線〈小口秀紀〉
超音波断層法による推定体重の測定
2つの胎児発育標準曲線
超音波検査によるFGRの診断
2 ● 胎児発育不全,妊娠高血圧症候群の予知法〈日高庸博,加藤聖子〉
母体生化学マーカー
母体背景因子からの評価
超音波断層法による予知
複数のパラメータの組み合わせによる予知
3 ● 超音波ドプラ法による評価と管理〈宮下 進〉
「血流速度」の生理学的意義
血流速度計測の実際
胎児発育不全(FGR)における血流速度計測と意義
血流速度波形異常と児予後
血流速度波形異常と分娩のタイミング
4 ● 胎児心拍数陣痛図〈安田 俊,経塚 標,藤森敬也〉
早発型FGRと後発型FGR,それらの急性期・慢性変化を捉えるパラメータとCTGに関して
FGR管理におけるCTG
5 ● 胎動チェック,バイオフィジカルプロファイルスコア,羊水量,その他〈小野政徳,飯塚 崇,藤原 浩〉
胎動チェック
バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)
羊水量
新技術
6 ● 胎児発育不全児のターミネーションの基準(1)〈戸田 薫,上塘正人〉
胎児循環の特徴
低酸素刺激に対する胎児循環の変化
超音波ドプラ法による血流評価
分娩時期決定のためのRCT
7 ● 胎児発育不全児のターミネーションの基準(2)〈小谷友美〉
ターミネーション基準の検討
海外の診療ガイドラインにおけるターミネーション基準について
その他のターミネーション基準について
ステロイド投与の可否
8 ● 胎児発育不全の分娩方法:経腟分娩か,帝王切開か?〈味村和哉,遠藤誠之〉
SGA児の分娩転帰
分娩前テストと分娩転帰
分娩誘発
帝王切開
9 ● 分娩時の管理〈川合健太,金山尚裕〉
各国のガイドラインについて
分娩前の評価について
分娩中の評価について
10 ● 新生児管理〈中村友彦〉
身体的特徴
神経学的所見と精神運動発達
診察上の注意点
出生後のリスクとその対応
TOPICS 胎児発育不全における画像検査〈真川祥一,二井理文〉
Chapter IV ●予防・治療
1 ● アスピリン〈徳中真由美,関沢明彦〉
アスピリン効果発現の機序
アスピリン内服開始の至適時期
アスピリンの効果的投与量
アスピリン内服の副作用
アスピリン内服を勧める対象
最近のアスピリン研究
2 ● ホスホジエステラーゼ5阻害薬〈真木晋太郎,梅川 孝,池田智明〉
PDE5阻害薬
PDE5阻害薬タダラフィルを用いたFGR治療:基礎検討
PDE5阻害薬の周産期領域での臨床応用:これまでの報告
PDE5阻害薬タダラフィルを用いたFGR治療:臨床研究
PDE5阻害薬タダラフィルを用いたHDP治療:臨床研究
多施設共同第II相試験
3 ● プラバスタチン〈熊澤惠一,木村 正〉
妊娠高血圧症候群の治療方法―治療方法開発の試み
将来の展望
4 ● メトホルミンなど〈小野良子,吉田 純,桂木真司〉
メトホルミン
メラトニン
5 ● 胎児発育不全における治療薬開発の歴史〈中田雅彦〉
母体酸素吸入の試み
母体への栄養素投与の試み
胎児へ直接栄養の可能性
L—arginine―PDE5阻害薬以外のNO産生促進の可能性
成長ホルモンやIGF—Iの可能性
付録(超音波胎児計測項目と基準値,新生児評価項目)
索引