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慢性疼痛診療ハンドブック
筆頭著者 池本 竜則 (編著)
その他の著者等 池本竜則/牛田享宏/柴田政彦/安達友紀/石川理恵/井関雅子/北原雅樹/住谷昌彦/坂田尚子/西江宏行/内山 徹/三木健司/木村嘉之/境 徹也/小暮孝道/川崎元敬/福井 聖/山口重樹/園畑素樹/馬渡正明/矢吹省司/松原貴子/池本佳代/細越寛樹/
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2018年1月22日
ページ数 300
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-498-05610-7
印刷版発行年月 2016年11月
書籍・雑誌概要
痛みを科学的に追求し,根拠に基づいた情報を発信するNPO法人「いたみ医学研究情報センター」の医療者教育用資料を再編集し,初学者でも読みやすい内容にまとめた.
目次
1 慢性痛症候群とは 〈牛田享宏〉
1 痛みとは
2 痛みの分類
3 疼痛診療について
4 運動器疼痛における調査
5 疼痛における社会的な問題
6 心身状態によって痛みの感じ方は異なる
7 痛みの破局化とは
8 廃用とは
9 慢性痛患者の特徴〜破局化思考
10 慢性痛症候群とは何か
11 慢性痛の悪循環
12 医療者診断の問題
13 慢性痛治療の考え方
2 治療に難渋する慢性痛患者とは 〈柴田政彦 安達友紀〉
1 治療に難渋する慢性痛患者とは
2 治療に難渋する要因
3 身体的要因
4 精神心理的要因 I
5 精神心理的要因 II
6 精神心理的要因 III
7 精神心理的要因 IV
8 環境要因
9 治療要因
10 難治性疼痛の代表疾患と要因
11 線維筋痛症,慢性会陰部痛,舌痛症などの機能性疼痛
12 治療に抵抗する慢性痛を予防する対策 — 一般論
13 治療に抵抗する慢性痛を予防する対策 — 具体案
3 慢性痛では痛み以外の評価が重要 〈石川理恵 井関雅子〉
1 痛みの主観的評価
2 慢性痛患者で重要な治療目標設定
3 簡易疼痛評価 BPI(Brief Pain Inventory)
4 疼痛生活障害評価尺度(ADL評価)
PDAS(Pain Disability Assessment Scale)
5 痛みに対する破局的思考の程度
PCS(Pain Catastrophizing Scale)
6 不安・抑うつ評価
HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)
7 症例:47歳男性
8 症例:47歳男性(つづき)
9 そこでわれわれは…
10 まとめ
4 家族にも目を向けよう 〈北原雅樹〉
1 家族関係の重要さ
2 症例1:50代女性 15Xcm,50kg強
3 症例1(つづき)
4 何が一番お困りですか?
5 治療方針
6 治療経過
7 症例2:30代女性 16Xcm,50kg弱
8 症例2(つづき)
9 治療方針
10 治療経過
11 症例3:19歳女性 15Xcm,50kg半ば
12 症例3(つづき?)
13 症例3(つづき?)
14 治療方針
15 治療経過
16 家族関係についてのポイント
5 神経障害性疼痛とは 〈住谷昌彦 坂田尚子〉
1 痛みの分類・病態
2 神経障害性疼痛の診断
3 疼痛疾患の特徴
4 運動器疼痛疾患の30〜40%は神経障害性疼痛の要素を持っている
5 神経障害性疼痛の重症度評価尺度
(神経障害性疼痛の発症機序の解明に繋がると期待されている)
6 臨床的価値の重み・考え方
7 神経障害性疼痛に対する薬物療法の有効性と副作用
8 神経障害性疼痛—薬物療法アルゴニズム
9 NePの併存症
10 病的疼痛疾患の悪循環モデルFear-avoidance model
11 認知行動療法Cognitive behavioral therapy(CBT)
6 慢性痛治療薬の使い方・考え方 〈西江宏行〉
1 慢性痛における治療薬の選択
2 慢性痛の原因となりうる重要な病態:神経障害性疼痛
3 神経障害性疼痛薬物療法(抜粋)
4 神経障害性疾病の治療薬について知っておきたいこと
5 プレガバリン投与前後の疼痛スコア
6 糖尿病性神経障害に対するデュロキセチンの効果
7 NNT(number needed to treat)という考え方
8 帯状疱疹後神経痛に対するプレガバリンの研究
9 添付文書での自動車運転に関する注意
10 重大な副作用
11 慢性腰痛に対する各薬剤の推奨度
12 ベンゾジアゼピンの世界各国での処方量
13 ベンゾジアゼピン系薬剤の危険性
14 まとめ
7 エゴグラムによる性格診断 〈内山 徹〉
1 交流分析とエゴグラム
2 構造分析
3 やりとりの分析
4 心理的ゲーム
5 エゴグラム
6 自我状態の二面性
7 エゴグラムパターン
8 症例:40歳女性
9 症例:40歳女性(つづき)
10 まとめ
8 補償体系・疾病利得の評価 〈池本竜則〉
1 疾病利得の種類
2 症例:40代男性
3 身体所見 社会背景
4 精神障害者保健福祉手帳
5 障害年金
6 障害等級には様々な制度があり,それぞれ基準が異なる
7 障害年金の等級基準
8 障害年金額の算出
9 経過 症例:40代男性
10 痛みの持続(慢性化)と補償制度との関連
9 むち打ち症に対する現在の考え方と治療 〈三木健司〉
1 頚椎捻挫の定義
2 頚椎捻挫の発症機序
3 外傷性頚部症候群(むち打ち症)
4 判例から見たむち打ち
5 むち打ち損傷病型分類(ケベック分類1995)
6 カナダでの外傷性頚部症候群
7 頚椎捻挫の治療には,頚椎カラーを「痛み」がある間装着する?
8 WAD患者の受傷時年齢と治療期間
9 年齢区分からみた治療終了までの期間の累積分布
10 結果のまとめ
11 頚椎捻挫の国際研究
12 補償が行動に及ぼす影響
13 日常生活での加速度(35kmで追突は10G 程度)
14 頚椎捻挫による椎間板ヘルニアが後日発生することがある?
15 入通院の必要性,外泊外出回数
16 痛みの機序による分類:器質的疼痛と非器質的疼痛
17 IASP2009 Global against pain
18 長野地裁松本支部の判例(昭和57年3月30日)
19 医療が慢性痛をつくる?
10 慢性痛の診断書の書き方・考え方 〈木村嘉之 三木健司〉
1 診断書の書き方・考え方
2 後遺障害の定義
3 症状固定の定義
4 後遺障害
5 等級認定について
6 自賠責の計算式
7 交通事故交渉サービス業の存在
8 診断書
9 交通事故の医療費をめぐる判決
10 自賠責医療の実務
11 医療機関の損保に取るべき態度
12 損保が支払わない理由
13 医業類似行為からの紹介患者
14 医業類似行為への責任に関する判例
15 長期通院は問題となる
16 詐病対策は?
17 まとめ
11 痛みと虚偽性障害 〈境 徹也〉
1 症例
2 問題行動
3 ねつ造
4 虚偽性障害
5 虚偽性障害における身体症状
6 虚偽性障害における問題行動
7 虚偽性障害の病因
8 虚偽性障害の痛みの訴えへの対応
9 身体症状症と詐病との鑑別診断
10 虚偽性障害の罹病率
11 「治療」から「対応」,「管理」へ
12 医療者の良心と葛藤
12 神科医から見た慢性痛 〈小暮孝道 住谷昌彦〉
1 精神科医から見た慢性痛
2 症例
3 症例
4 精神疾患の安易な診断は危険
5 心を研ぎ澄まして感じる貴重な患者情報
6 診断に役立つ心モニター
7 見当識の確認だけでも…
8 症例
9 症例
10 時系列と処方
11 “痛み”とは…“精神科的な評価”とは…
13 Red flagsの評価 〈川?元敬〉
1 Red flagsの評価
2 痛みのRed flagsとYellow flags
3 腰痛におけるRed flags
4 症例1:85歳女性 腰痛
5 症例1:追加検査
6 症例2:45歳女性 背部痛
7 症例2:45歳女性 背部痛(つづき)
8 症例3:86歳男性 腰痛
9 症例3:86歳男性 腰痛(つづき)
10 症例4:84歳女性 右頚部から肩の痛み,小指のしびれ
11 症例4:84歳女性 右頚部から肩の痛み,小指のしびれ(つづき)
12 症例5:72歳男性 後頚部〜背部痛
13 状況認識における問題 診断決定の思考プロセスの問題
14 診断エラーに導かれる認知バイアス
15 慢性痛の診断の際に
14 神経ブロック治療の適応と限界 〈福井 聖〉
1 症例1:急性増悪を繰り返す慢性腰痛?
2 デイスカッションタイム
3 症例1:急性増悪を繰り返す慢性腰痛?
4 神経根ブロック
5 症例2:54歳女性 数年来の慢性腰痛?
6 Q and A
7 デイスカッションタイム
8 症例2:54歳女性 数年来の慢性腰痛?
9 慢性痛の治療:神経ブロック治療の適応と限界
10 神経ブロック治療の適応:急性痛と慢性痛
11 慢性痛患者に対する神経ブロック治療?
12 慢性痛患者での目標設定
13 慢性痛患者に対する神経ブロック治療?
14 慢性痛患者に対する神経ブロック治療?
15 “とにかく痛い!!”訴えの連続
16 インターベンショナル治療の落とし穴
17 痛みのコントロールだけに目を奪われると
18 慢性痛に対して神経ブロック治療を行う時,医師は以下のことを考えて行うべき
19 神経ブロック治療の前に
20 慢性痛 神経ブロック治療介入のカギ
21 身体の機能的な評価 理学療法士
22 慢性痛における神経ブロック治療の立場
15 非がん性慢性疼痛へのオピオイドの使い方 〈山口重樹〉
1 はじめに
2 各領域のオピオイド治療の考え方の違い
3 がん疼痛と慢性痛のオピオイド治療の違い
4 慢性痛に対するオピオイド治療の適応
5 本邦で慢性痛に使用可能なオピオイド鎮痛薬
6 オピオイド鎮痛薬の副作用
7 オピオイド鎮痛薬の眠気対策
8 オピオイド鎮痛薬の悪心・嘔吐対策
9 オピオイド鎮痛薬の便秘対策
10 各国のガイドラインにおけるオピオイド鎮痛薬投与量の上限
11 オピオイド治療開始後の経過と投与期間
12 オピオイド治療の高用量化,長期化による問題
13 オピオイド治療が高用量化,長期化する患者の特徴
14 オピオイド治療に固執する患者の特徴
15 オピオイド治療の目標設定
16 オピオイド治療中の注意点
16 人工関節手術の適応と限界 〈園畑素樹 馬渡正明〉
1 人工関節の種類
2 人工膝関節と人工股関節
3 人工関節の適応と原因疾患
4 変形性関節症の疼痛
5 変形性膝・股関節症に対する保存治療
6 関節温存手術
7 人工膝関節置換術
8 人工股関節置換術
9 人工関節置換術後のADL
10 人工関節の合併症(1)
11 人工関節の合併症(2)
12 術後遷延痛
13 術後遷延痛の対策
17 慢性痛に対する運動療法 〈矢吹省司〉
1 海外の診療ガイドライン—慢性腰痛に対する治療の勧告—
2 非特異的腰痛に対する運動療法
3 運動療法の種類で有効性に差があるか?
4 CQ8 腰痛の治療に安静は必要か
5 CQ11 腰痛に運動療法は有効か
6 CQ11 腰痛に運動療法は有効か
7 運動はやればやるほど良いのか
8 中年以降でも活動性を増やすと死亡率は減少する
9 運動は,アルツハイマー病や認知症を予防できる可能性がある
10 運動は,乳癌や前立腺癌による死亡率を減少させる
11 運動はうつ状態を改善する
12 全身運動はインフルエンザに対する防御効果を強化する
13 日常の運動量が多い人は骨折の発生率が低い
18 慢性痛患者への具体的な運動指導法 〈松原貴子〉
1 慢性痛患者の特徴? 恐怖—回避思考
2 慢性痛患者の特徴? “0か100か”の極端な思考
3 運動開始・再開時の精神心理面への対応
4 医療者は患者に寄り添うdecision-makingのサポーター
5 運動の効果と指導の工夫
6 Pacingが重要
7 具体的な運動指導法
8 具体的な運動指導の流れ
9 運動指導法(初診)
10 運動指導法(2回目以降)
11 Case study
12 Case study —運動指導法の具体例—
13 Case study —運動指導と経過の具体例—
14 まとめ
19 慢性痛患者への実践会話 〈池本佳代〉
1 医療者から言われて患者が不快だと感じた
2 基本姿勢
3 慢性痛の正しい知識を提供する
4 自分の努力ってどういうこと?
5 ほめること・認めること
6 会話の中に大事なフレーズが潜んでいる
7 50/50
8 「無理」や「できない」ではなく,「何ができるか」
9 しかし…
10 患者本人が気づく 他人と環境は変えられないが…
(現状を他人や周囲の環境のせいにしている)
11 責めない 自分を客観視することの必要性
12 一人ぼっちではない
13 安心させる 場合によっては根拠のない励ましも特効薬に
14 前医を悪く言わない 涙の意味
15 目標・理想
20 慢性痛に対する認知行動療法 〈細越寛樹〉
1 慢性痛と認知行動療法
2 認知行動療法が有効な領域
3 認知行動療法とは
4 認知行動療法の基本原則
5 認知行動モデル
6 Fear-avoidance model
7 認知行動療法の他の基本原則
8 悪循環を抜けるために
9 慢性痛患者の典型的な悪循環
10 活動と安静のバランスをとる
11 アクティビティ・ペーシング
12 行動の背景に潜む認知
13 認知再構成
14 まとめ