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超高齢者の緩和ケア
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98464-9
電子版発売日 2022年10月17日
ページ数 237
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-525-50471-7
印刷版発行年月 2022年10月
書籍・雑誌概要
超高齢者は,たとえ自分の思いを表出することが困難となったとしても,痛み,呼吸困難,排泄障害,睡眠障害,抑うつなど,さまざまな苦痛を抱えています.しかし,その苦痛が「病」によるものか「老い」によるものかの見極めは難しく,治療による回復が見込めなかったり治療負担が大きすぎる場合には,「老い」の先にある死を見据えてケアすることが必要となります.そのような場合,食事や排泄,清潔・整容,移動などの際に丁寧なケアを繰り返すことこそが,超高齢者にとって,苦痛を緩和し尊厳ある生活を支えるものとなります.本書では,超高齢者にとっての最善の医療,動くことの意味,ACP,症状マネジメント,家族,臨死期,組織づくりといった視点から,超高齢の緩和ケアについて解説します.ケア提供者が,日々行っている自らの実践の意義と価値に改めて気づける一冊です.
目次
1章 超高齢者における緩和ケアとは
A 超高齢者を対象にした緩和ケアの考え方
1 超高齢者への緩和ケアの必要性
2 緩和ケアの歴史
3 人生の最晩年を支える緩和ケア
4 本書における超高齢者の定義
B 超高齢者の全人的苦痛(トータルペイン)
1 身体面
2 精神面
3 社会面
4 スピリチュアル
2章 超高齢者にとって最善の医療を考える
A 虚弱期のケア
1 超高齢者の虚弱化
2 虚弱化と医療
3 余命×QOLの最大化
4 総合診療とチームケア
B 終末期のケア
1 病気と老衰
2 老衰終末期ケア
コラム1 COVID-19と高齢者ケア・緩和ケア
3章 動くことは生きること
A 超高齢者にとって「動く」こととは
1 離床の効果
2 動かないことの弊害
3 姿勢を変える効果
4 動くことによるリスクと動かないことによるリスク
5 場所を変える効果
6 心が反応すること
B 「環境」を調整することの意味と加齢変化による影響
1 超高齢者にとっての「環境」の重要性
2 超高齢者の「環境」を調整することの意味
3 加齢変化による影響と環境調整
C 超高齢者の生活における緩和ケア─日々のケアが緩和ケア─
1 一口でも味わう・楽しむ:食べる
2 自尊心に配慮する:排泄
3 身だしなみを整える:整容
4 身体をきれいにする:清潔
5 身体を動かす:更衣・姿勢・移動(転倒)
6 心地よい環境を整える:物理的環境
コラム2 あなたの最晩年,そこにロボットはいるか
4章 超高齢者にとってのアドバンス・ケア・プランニングとは
A 日々のケアがアドバンス・ケア・プランニング
1 超高齢者にとってのアドバンス・ケア・プランニング
2 超高齢者のACPを推進するための課題―果たして超高齢者の意思は保証されているか―
3 超高齢者の意思を尊重するために
4 多職種チームで実践する超高齢者のACP
5 ACP実践のために求められる医療・ケア従事者の姿勢と態度―超高齢者が「今日も生きててよかった」と感じられるように―
B 意思決定支援
1 意思決定支援とは
2 超高齢者とケア専門職のシェアード・ディシジョン・メイキングshared decision making(SDM)実践
3 医療・ケア従事者の価値観
C 医療・ケア従事者の行動規範
1 基本的態度・姿勢
2 意思を支えるコミュニケーション
3 自己の関わりを振り返る
コラム3 意思決定支援に関わるガイドライン―わが国における課題―
5章 超高齢者の症状マネジメント
A 症状マネジメントの重要な視点
1 症状マネジメントと多職種チームアプローチ
2 超高齢者の症状マネジメントで踏まえていくこと
3 症状マネジメントの目指すところ
B 非薬物療法
1 超高齢者への非薬物的対応
2 非薬物療法の概要
3 非薬物療法の目的と効果
4 アクティビティ・ケア
5 非薬物的介入のポイント
C 薬物療法
1 便秘症に対する薬物療法
2 高齢者の精神症状(不安,抑うつ,不眠,せん妄)に対する薬物療法
D 老年症候群における症状マネジメントの実際
1 痛い
2 せん妄
3 食べたくない,食べられない
4 息が苦しそう
5 便が出ない
6 心配・気が滅入る
7 皮膚の脆弱性(もろさ)
8 眠りたい,起きていたい
9 足がだるい
コラム4 もし目の前の患者さんの体の中が視えたらあなたはどんなケアをするか
6章 超高齢者の家族等の緩和ケア
A 超高齢者の家族等が体験する喪失と悲嘆
1 喪失とは
2 超高齢者の家族における喪失
3 超高齢者の死と悲嘆
4 喪失と成長
5 喪失に向き合う
B あいまいな喪失を体験している家族のアセスメントとケア
1 喪失と悲嘆
2 あいまいな喪失のなかで
3 アセスメントに影響する要因とアセスメント
4 あいまいな喪失への家族ケア
5 社会資源の導入,ピアサポート
7章 超高齢者の臨死期の緩和ケア
A 臨死期とは
1 「老衰」から死に至る「臨死期」とその課題
2 死に近づく年単位の変化から「臨死期」を推察する
3 老衰死に至る「臨死期」に現れる状態と身体の反応
4 老衰死―自然に枯れて死に至る―
B 臨死期の症状マネジメントとケア
1 この時期に必要なケア提供者の姿勢や考え方
2 各症状に対する緩和ケア
3 ケアの在り方によって引き起こされる苦痛
4 人的環境,物的環境
5 最期の時,最期の姿
6 お迎え体験
C 臨死期における家族等への緩和ケア
1 超高齢者と家族等が望む死に向けた支援
2 臨死期の家族等への支援―家族等が満足できる看取りに向けて―
3 家族等へ臨死期の超高齢者の症状を説明する―説明例―
8章 超高齢者の緩和ケアを実現するために
A 組織で取り組む超高齢者の緩和ケア
1 既存の高齢者像から新しい高齢者像へ,そして超高齢者像を描く
2 緩和ケア実践能力をケアの現場で身につける
3 チームとしての緩和ケア実践力を高める
4 スタッフの葛藤,不安,喪失感への対応
5 超高齢者に対する緩和ケアの文化を広める
B 超高齢者の緩和ケアを実現するための人材育成
1 超高齢者をみる視点を磨く
2 超高齢者から学ぶ
3 人材育成において管理者が留意すべき点
C 場の違いからみる緩和ケア
1 急性期
2 精神科医療
3 医療療養病棟
4 地域(コミュニティ)
5 訪問看護
6 高齢者施設
9章 事例を通し超高齢者の緩和ケアを考える
索 引