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エンド オブ ライフ ケア
すべての人の命とくらしのために
筆頭著者 日本エンド オブ ライフ ケア学会(監修) 平原 佐斗司・荻野 美恵子 (編)
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98454-0
電子版発売日 2022年8月29日
ページ数 474
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-525-21041-0
印刷版発行年月 2022年7月
書籍・雑誌概要
日本エンドオブライフケア学会による,本格的なエンドオブライフケア・緩和ケアのテキスト!がんでも肺炎でも認知症でも,家でも施設でも病院でも,小児でも高齢者でも,エンドオブライフ期にある人がさまざまな苦痛を抱いているという点に違いはありません.本書では,エンドオブライフ期にみられる各種症状とそれを緩和するための知識や技術,疾患軌道と予後予測,疾患や療養場所ごとの特性,症状や疾患を問わない治療やケア,適応と中止などの倫理的課題, 高齢がん患者や小児など特徴のある患者層などについて解説します.「その人が最期まで最善の生を生ききる」ことを支えるために,緩和ケアや訪問診療・看護,高齢者医療・ケアなどに従事する専門職に必要な知識が網羅された一冊です.
目次
Part 1 総 論
1.世界の緩和ケア・エンドオブライフケアの動向
A.緩和ケア・エンドオブライフケアの歴史
B.老年病,多病時代の緩和ケア・エンドオブライフケア
2.わが国の緩和ケア・エンドオブライフケアはどうあるべきか
A.これまでの日本における変遷
B.わが国の死因構成の変遷
C.非がん疾患の特徴
D.疾患に特有の症状緩和
E.困難な意思決定支援
F.緩和ケア・エンドオブライフケアの対象が高齢者になることの特徴
G.非がん疾患に対する現状―神経難病を例に―
H.今後の終末期を見据えてあるべき姿
3.緩和ケアの原則 general principles
A.緩和ケアは全ての疾患になされるべきケアであり,本人のみならず家族も対象である
B.緩和ケアは全ての人を対象とする
C.緩和ケアの提供はあらゆる場で行われる
D.緩和ケアは生活の質Quality of Life(QOL)の向上を目指すものである
E.緩和ケアは終末期だけのものではない,早期から緩和ケアを並行して行うべきである
F.緩和ケアは身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな苦痛から解放することである
G.緩和ケアを充実させることで不要に入院することを避けることができる
H.緩和ケアは多医療・介護職およびボランティアなどよりなされる
I.国は人権としての緩和ケアを保証し地域社会および地域住民の積極的な参加を奨励する
4.家族のアセスメントと支援
A.家族メンバーの喪失体験と家族全体への影響
B.慢性疾患と家族ダイナミクス
C.家族システム論的な視点
D.家族アセスメント
5.社会的苦痛
A.患者の社会的苦痛を理解することは患者を全人的包括的に理解することである
B.社会的苦痛の緩和の対象者とは
C.社会的苦痛の緩和を担当するのは誰か
D.社会的苦痛に関連する要素とは何か どのように評価するか
E.患者の社会的苦痛をケアする―2つの事例から―
F.その人にとっての社会的苦痛を理解することはその人の価値(観)について理解することから始まる
G.社会的苦痛へのアプローチ―がん・非がんでの違いなど―
H.社会的苦痛とアドバンス・ケア・プランニング
6.苦痛の評価
A.緩和ケアにおける苦痛とは
B.苦痛の総合的評価
C.体に感じる苦しみや痛み
D.心に感じる苦しみや痛み
E.緩和ケアにおいての苦痛や快適さを総合的に把握するための尺度について
7.臨床倫理の基本的考え方
A.倫理原則
B.患者医療者関係と意思決定支援
C.前もって将来を考えるということ
D.本人に代わって方針を決めること―代弁者・代諾者・代理意思決定者―
E.非がんの緩和ケアにおける倫理的配慮
8.意思表明と選択プロセスを支える支援
A.意思表明支援,アドバンス・ケア・プランニング
B.非がん疾患のACPの基本的考え方
C.「熟考」と「語り」の機会をつくる
コラム① 「意思決定支援」のガイドライン
PartⅡ 症状アセスメントとマネジメント
1.苦痛のアセスメントとマネジメント
A.呼吸困難
B.嚥下障害
C.食欲不振
D.全身倦怠感
E.疼 痛
F.終末期の褥瘡
G.便 秘
H.精神症状
2.嚥下障害,口腔の問題
A.終末期の口腔の問題
B.アセスメント法
C.苦痛と対応について
D.嚥下障害の原因と対応―飲み込めないことへの緩和ケア―
E.終末期のcomfort feeding の考え方
F.看取りにおける経口摂取の事例
G.非がん患者の終末期とは
3.カヘキシー(悪液質)とサルコペニア
A.カヘキシー(悪液質)
B.サルコペニア
C.サルコペニアの摂食嚥下障害
D.リハビリテーション栄養
E.リハビリテーション栄養介入
4.呼吸困難,咳嗽
A.呼吸困難
B.咳嗽
5.痰・分泌物への対応
A.痰・分泌物の機序
B.エンドオブライフにおける特徴:気道分泌過多(死前喘鳴)
C.気道分泌過多のアセスメント
D.気道分泌過多のマネジメント
E.気道クリアランス法
F.看護ケア
6.疼痛マネジメント
A.がん性疼痛,非がん性慢性疼痛 それぞれの特徴と違い
B.薬物治療
C.薬物療法以外のアプローチ
7.倦怠感
A.倦怠感とは
B.倦怠感の病態生理
C.倦怠感のアセスメント
D.倦怠感のマネジメント
8.食欲不振,悪心・嘔吐
A.食欲不振
B.悪心・嘔吐
9.腸管のマネジメント―便秘と下痢のコントロール―
A.便 秘
B.下 痢
10.排 尿
A.最後まで自分で排泄したいという人は多い
B.排尿障害の原因と具体的な症状
C.原因と治療・ケアの要点
D.排尿アセスメント
E.終末期の排尿症状の経過
F.がん終末期患者の排尿ケアの要点
G.非がん終末期患者の排尿ケアの要点
H.サービスの効果的な利用
11.褥瘡,創傷
A.褥瘡発生のリスク因子
B.終末期褥瘡(皮膚変化)の特徴
C.終末期における褥瘡管理
12.皮膚トラブル
A.皮膚のバリア機能
B.高齢者の皮膚の特徴
C.ドライスキン
D.かゆみ
E.浮 腫
F.スキン-テア
G.失禁関連皮膚炎
H.スキンケアの基本
13.浮 腫
A.浮腫とは
B.浮腫の要因
C.高齢者と浮腫
D.エンドオブライフ期における局所性浮腫の鑑別
E.エンドオブライフ期の浮腫に対する治療目標の設定と考え方
F.エンドオブライフ期にある浮腫ケアの実践
14.発 熱
A.発熱とは
B.発熱・発汗の機序
C.エンドオブライフにおける発熱の特徴
D.発熱のアセスメント
E.発熱のマネジメント
15.うつ病
A.悲嘆について
B.うつ病について
16.不 安
A.疫 学
B.アセスメント
C.アプローチ
17.せん妄
A.診断・鑑別
B.発 症
C.治 療
D.予 防
18.睡眠障害
A.不眠症
B.睡眠関連呼吸障害群(閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)
C.概日リズム睡眠覚醒障害群(睡眠相交代型など)
D.睡眠時随伴症群(レム睡眠行動障害など)
E.睡眠関連運動障害群(レストレスレッグス症候群など)
PartⅢ 疾患の軌道学と予後予測
1.非がん疾患の病みの軌跡
A.慢性疾患の病みの軌跡
B.終末期の軌跡―がんと非がん疾患の違い―
C.なぜ病みの軌跡が重要か?
D.非がん疾患の軌跡
2.疾患の予後予測
A.予後予測の目的
B.非がん疾患の従来の予後予測指標についてのエビデンス
C.3つの予後予測モデル
D.主観的予後予測モデル
E.包括的予後予測モデル
F.疾患別の予後予測指標
G.予後予測をシステムに組み込むための方法
H.Frailtyとmultimorbidity
コラム② 緩和ケア導入の指標
PartⅣ 疾患別特性
1.心不全
A.治療と並行して提供する心不全の緩和ケア
B.症状緩和の方法論
C.身体症状に対する対処
D.精神・心理的苦痛への対処
2.非がん性呼吸器疾患
A.終末期と最終末期(臨死期)の考え方
B.終末期の特徴
C.緩和ケアやエンドオブライフケアを実施できない理由
D.緩和ケアのポイント
E.今後の課題
3.肺 炎
A.肺炎と終末期
B.肺炎の緩和ケアはなぜ難しい
C.予 後
D.終末期の苦痛
E.診断,治療効果判定
F.治療,支持療法
G.苦痛の緩和
H.予 防
I.家族ケア
4.慢性腎不全
A.慢性腎不全・透析患者への緩和ケア
B.緩和ケアはいつから始めるべきか
C.緩和ケアの実際
D.慢性腎不全の各ステージにおける緩和ケア
E.症状コントロールの実際
5.肝不全
A.非代償性肝硬変の予後予測
B.肝不全で出現する症状と症状緩和のためのアプローチ法
6.神経難病
A.筋萎縮性側索硬化症
B.パーキンソン病
C.そのほかのパーキンソン病関連疾患
7.脳卒中
A.脳卒中の治療と診療システム
B.脳卒中患者の権利
C.脳卒中の苦痛症状の特徴
D.脳卒中の終末期の特徴
E.脳卒中における緩和ケアの進め方
コラム③ 脳卒中慢性期の症状緩和の実際
8.認知症
A.認知症の緩和ケアとエンドオブライフケア
B.予後,死亡率,死亡原因
C.認知症高齢者の苦痛
D.重度・末期認知症高齢者の苦痛への具体的なアプローチ
9.老 衰
A.老衰とは
B.老衰の終末期における症状と対処方法
10.超高齢者とmultimorbidity
A.緩和ケアニーズの変化
B.Multimorbidityとは?
C.Multimorbidityと緩和ケア
D.Frailtyについて
E.緩和ケアにおけるcomplexity
コラム④ HIV/AIDS
PartⅤ さまざまな場におけるエンドオブライフケア
1.ホームケア
A.在宅生活への移行のきっかけ
B.医療や療養場所の選択を支える
C.望む暮らし方を知る
D.症状マネジメントは必須
E.支援者間で情報と支援方針を共有する
F.日常生活動作の支援をする
G.本人と家族の相互の思いをくむ
H.血縁者・配偶者以外の「家族」や「家族同然の人」との時間を支える
I.家族だからできることを支える
J.自宅での看取りの特徴
K.看取りの準備とグリーフケア
2.コミュニティケア
A.「まち」をつくる―安心して暮らし続ける町を目指して―
B.人生100年時代を迎えて
3.施 設
A.大誠会グループの特徴
B.医療と介護の連携
C.Happy end of life care 終わりよければすべてよし
D.認知症のある方の人生の最終段階における医療とケアの選択
E.どう生きてきたかを知らなければ
F.家族への支援
G.生活の延長線上に人生の最期がある
4.救急・集中治療
A.救急現場における高齢慢性病患者に対する緩和ケアニーズの増大
B.救急部門における緩和ケア提供モデル(米国)
C.救急部門との緩和ケアの提携のバリアと両者の提携がもたらす利益
D.日本における救急と緩和ケアの協働への課題
E.ICUで必要となる緩和ケアとは?
F.ICUにおける治療差し控えや治療中止(米国)
G.日本における緩和ケアとICUの関わり
5.一般病棟など
A.一般病棟における高齢患者の特性と緩和ケア
B.リハビリテーション病棟での緩和ケア
C.療養病床における患者の尊厳とスピリチュアルペイン
D.療養病床における看護・介護スタッフの心のケア
PartⅥ Special issues in EOL care
治療・ケア関連
1.食支援
A.重度認知症/重度要介護高齢者の摂食機能
B.食べられなくなってきた時のアセスメント
C.認知症終末期の食支援のあり方―食べられなくなってきた原因へのアプローチの可能性―
D.認知症終末期の口腔ケアのあり方―Comfortな口腔へ―
E.終末期のその先を見越したアプローチ
F.最期まで口から食べるために
2.非がん疾患緩和におけるキードラッグ①オピオイド
A.非がん疾患の苦痛に対してのオピオイド使用の基本
B,呼吸困難 396
C.咳嗽・喀痰
D.疼 痛
E.オピオイドの代謝と腎不全・肝不全時の対応
F.健康保険上の取り扱い
3.非がん疾患におけるキードラッグ②向精神薬
A.抗精神病薬
B.抗うつ薬
C.抗不安薬
D.睡眠薬
倫理的諸問題 適応と中止
4.透析の非導入と中止
A.統計から見る透析中止
B.透析非導入・見合わせ,透析中止
C.慢性腎不全患者に対する意思決定支援と共同意思決定
D.事前指示,POLST,アドバンス・ケア・プランニング
E.透析導入,非導入,中止における臨床倫理的アプローチ
F.地域連携について
5.認知症を有する人への人工的水分・栄養補給のあり方
A.摂食嚥下困難に関する医学的判断の重要性
B.最終段階に人工的水分・栄養補給を行わないことは緩和ケア
C.日本老年医学会「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン―人工的水分・栄養補給の導入を中心として」の考え方
6.心不全のインターベンション
A.治療の適応と侵襲度
B.治療の導入および中止・差し控え
7.急性期における人工呼吸器の中止
A.米国での人工呼吸器中止決定までの手順
B.人工呼吸器中止の実際
C.筆者所属施設での現状
8.終末期の肺炎に対する抗菌薬治療の考え方
A.肺炎に対する抗菌薬治療は緩和ケア-非がん緩和ケアの原則-
B.肺炎に対する抗菌薬治療と倫理的ジレンマ
C.日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2017」
D.疾患終末期や老衰状態の判断のしかた
E.本人にとっての最善の考え方
F.COVID-19肺炎には特別な配慮
G.肺炎に対して抗菌薬治療を行わない選択
H.ガイドラインを支持するエビデンス
Special patient population
9.高齢がん患者に対する緩和ケア
A.高齢がん患者の特徴
B.高齢がん患者に対する緩和ケア
10.小児の緩和ケア
A.小児緩和ケアの対象となる病態
B.小児緩和ケアのニーズ
C.子どものトータルペイン
D.ショートブレイク(レスパイトケア)
E.死が避けられない子どもとのコミュニケーション
F.自然な死の受容の検討
G.死の看取り・死別後のケア
索 引