書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
行動変容を導く!
上肢機能回復アプローチ
脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略
筆頭著者 道免 和久 (監)
その他の著者等 竹林 崇
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-62414-5
電子版発売日 2017年11月6日
ページ数 304
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-260-02414-3
印刷版発行年月 2017年10月
書籍・雑誌概要
脳卒中後の麻痺手の回復は難しいものと従来は考えられていたが、2000年代に入りCI療法が台頭してからは、麻痺手を実生活で使用することは当たり前のことになりつつある。本書は、CI療法を中心に、ニューロサイエンス、行動心理学といった、行動変容を導く戦略の根幹となる学問をベースとした上肢機能回復アプローチについて、その学術的背景、基礎知識、メカニズムやコンセプト、実際の治療法を凝縮した内容となっている。
目次
監修の序
序
(1)行動変容を導く上肢機能回復アプローチ
A 上肢機能回復アプローチにおける行動変容とは?
1 「行動」とは
2 アウトカムメジャーの歴史からみる「行動」
3 「機能」と「行動」からみる行動変容の重要性
B 行動変容を導く上肢機能回復アプローチ(CI療法)の3要素
1 行動変容することの意味
2 行動変容を導く3つの要素
3 療法士の介入者・管理者といった役割
C CI療法におけるエビデンス
1 脳卒中後の上肢機能へのアプローチ
2 CI療法のエビデンス
3 mCI療法のエビデンス
4 重度例に対するCI療法のエビデンス
5 CI療法の副次的な効果
6 CI療法に対するガイドラインの評価
D CI療法がもたらす脳の可塑性(メカニズム)
1 脳の可塑性変化とは?
E 脳卒中後の麻痺手の機能予後とアプローチ
1 脳卒中後上肢麻痺の予後
2 回復過程における麻痺手に対するアプローチのストラテジー
(2)麻痺手に対する課題指向型アプローチ
A 麻痺手に対する課題指向型アプローチの重要性
1 非麻痺手の拘束について
2 非麻痺手の拘束の臨床的な効果
3 非麻痺手の拘束以上に麻痺手へのアプローチが重要?
B 麻痺手の練習と半球間抑制
1 半球間抑制と上肢機能の関係
2 麻痺手の単独使用による脳卒中後の半球間抑制の是正
3 両手動作と半球間抑制
C 課題指向型アプローチの概要と理論的背景
1 課題指向型アプローチとは何か?
2 課題指向型アプローチの理論が拠りどころとする知見
3 課題指向型アプローチのエビデンス
4 課題指向型アプローチの実際
D 課題指向型アプローチにおける目標設定の意義と効果
1 上肢機能回復アプローチにおける目標設定の意義
2 目標設定に関する理論
3 目標設定とは
4 リハビリテーションにおける目標設定の効果
5 目標設定に関する意思決定
6 shared decision makingとは?
7 shared decision makingの障壁
8 ADOC・ADOC for handの紹介
E 課題指向型アプローチにおける目標設定と報酬の関連性
1 課題指向型アプローチにおける目標設定とは?
2 報酬とは?
3 行動学習と報酬の関連性
4 報酬はパフォーマンスや行動を変えるのか
5 報酬の種類によってパフォーマンスや行動変容に差があるか
6 外発的動機づけと内発的動機づけのどちらがよいか?
7 目標設定の難易度
8 目標設定と報酬の解釈に関する限界
F 課題指向型アプローチにおける麻痺手を用いた目標の設定方法
1 対象者に漫然と聞いただけで,麻痺手の目標は決まるのか?
2 麻痺手における練習目標の設定方法
3 目標設定の実際
4 補助ツールを使用してみる
G 課題指向型アプローチにおける物品使用や操作にかかわる神経機構
1 物品を知覚する(視覚刺激の認知)
2 物品に手を伸ばす・つかむ(到達運動と把握運動の制御)
3 到達運動の神経機構
4 把握運動の神経機構
5 状況に応じた到達運動・把握運動の選択
6 物品を離す(リリース)
7 両手動作
8 まとめ
H 課題指向型アプローチにおける具体的な練習課題の設定方法
1 課題指向型アプローチの種類
2 shapingとtask practice
3 練習課題を作成するための評価
4 shapingの実際
5 task practiceの実際
I 練習課題における難易度調整
1 課題指向型アプローチにおける難易度調整
2 空間的な拡張性とは?
3 空間的な拡張性における難易度調整
4 練習に用いる物品のもつ文脈による難易度調整
5 練習に用いる物品と周辺環境との相互作用による難易度調整
6 shaping,task practiceにおける難易度調整の実例
J 課題指向型アプローチにおける療法士と対象者のかかわり(相互作用)
1 環境適応における内因性の文脈の影響
2 相互作用とは?
3 課題指向型アプローチにおいて用いられる4つの相互作用
4 各相互作用は何に働きかけているのか?
5 練習中の相互作用を与える頻度
6 練習後の過程を見据えた相互作用の頻度
K 課題指向型アプローチにおける課題の運営方法
1 課題運営と練習環境の重要性
2 練習時間における課題の提示・運営方法
3 実際の練習場面における課題の運用
4 実際の練習頻度への応用
5 練習環境が練習効率に与える影響
L 課題指向型アプローチにおける練習量(時間)と麻痺手の回復
1 手の使用量と発達
2 必要な練習時間
3 1日の練習時間
M 適応と適応外に対する工夫
1 課題指向型アプローチの適応
2 重度上肢麻痺の問題点
3 課題指向型アプローチを進めていくための工夫
4 おわりに
(3)練習効果を生活に転移させるための方略
A 行動変容の重要性
1 手における「機能回復」だけでなく「行動変容」は必要か?
2 脳卒中後に生じる上肢麻痺に対する行動変容プログラムの現在
3 学習性不使用と行動変容
4 麻痺手の不使用による脳の変化
5 脳卒中後の麻痺手における負の行動変容を予防するための行動戦略
B 行動変容に必要な行動心理学
1 self-regulatory理論:「やりたいこと」が「できると思える」と人は行動する
2 locus of control理論:「やらされるリハビリ」から「やるリハビリ」へ
3 社会的学習理論を理解し,行動変容を促すアプローチ戦略を
C 行動変容戦略としてのtransfer package
1 transfer packageとは
2 transfer packageの効果
3 transfer packageの神経基盤
4 UABと筆者らのtransfer packageの違い
5 transfer packageの3つのコンポーネント
D 麻痺手に関する行動への同意取得
1 麻痺手に関する行動への同意取得とは?
2 インフォームドコンセント,shared decision making
3 動機づけ
4 麻痺手に関する行動への同意の取りかた
5 介護者および家族との麻痺手に関する行動への同意
6 同意後の説明
7 実生活における麻痺手の使用場面の設定
E モニタリングの促進
1 モニタリングの促進とは?
2 モニタリングの具体的な手法
3 記録したMALや行動日記
F 麻痺手を生活で用いるための問題解決技法の指導
1 問題解決技法の心理的背景
2 問題解決技法の指導とは
3 問題解決技法の具体的な指導方法
4 問題解決技法の指導による代償動作
5 作成した書類の活用
(4)上肢機能の推移をとらえるアウトカムメジャー
1 “機能評価”とは何か?
2 なぜ評価が重要なのか?
3 機能評価の目的
4 使用する評価手段において検討されるべき重要な特性
(key psychometric property)
5 考慮されるべき付加的因子
6 脳卒中後の上肢麻痺に対する評価手段の紹介
7 機能評価における今後の方向性
8 本報告の限界(limitation)
9 以上のことから,どのような勧告ができるのか?
(5)行動変容を導く症例紹介
A 感覚障害による失調症状を認めた症例
1 はじめに
2 症例紹介
3 上肢機能評価(CI療法前)
4 本症例のニーズ
5 統合と解釈
6 目標
7 経過
8 最終評価
9 考察
B A型ボツリヌス毒素製剤との併用療法を行った症例
1 はじめに
2 症例紹介
3 使用した上肢評価アウトカム
4 A型ボツリヌス毒素製剤施注前評価
5 A型ボツリヌス毒素製剤施注
6 CI療法前評価(A型ボツリヌス毒素製剤施注後評価)
7 CI療法経過
8 CI療法後評価
9 CI療法3か月後評価
10 考察
11 類似した事例にA型ボツリヌス毒素製剤治療と集中練習を併用する際のポイント
12 おわりに
C 重度上肢麻痺を呈した適応外の症例
1 はじめに
2 症例紹介
3 上肢機能評価(CI療法実施前)
4 練習
5 最終評価
6 考察
7 おわりに
D 視神経脊髄炎を呈した症例
1 はじめに
2 症例紹介
3 CI療法前評価
4 課題指向型アプローチ
5 練習効果を生活に転移させるための方略
6 経過
7 CI療法後評価
8 考察
9 本研究の限界と課題
10 類似疾患に対してアプローチする際のポイント
(6)課題指向型アプローチの実際例
1 上肢機能評価
2 課題紹介
3 活動(作業)の手段的練習課題(shaping)
4 活動(作業)の目的的練習課題(task practice)
索引