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助産雑誌 Vol.77 No.4

特集 産む人を中心にした帝王切開

助産雑誌 Vol.77 No.4
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医学書院

電子版ISSN 1882-1421

電子版発売日 2023年7月24日

ページ数 104

判型 B5

印刷版ISSN 1347-8168

印刷版発行年月 2023年7月

書籍・雑誌概要

特集 産む人を中心にした帝王切開 -

目次

特集 産む人を中心にした帝王切開
1991年。私は緊急帝王切開分娩(以下,帝王切開)で長女を出産しました。
当時,帝王切開は20人に1人と言われ,インターネットでの情報収集も難しく,また出産関連雑誌にも帝王切開の情報はほとんど見当たらず,母親学級でも聞いた覚えはありませんでした。
心の準備ができないまま手術室に入り,手術台に上がる前に全裸になる恥ずかしさと,術後の震えに「娘を置いて死んでしまうのではないか」という恐怖を体験しました。呼吸法も陣痛も体験できなかった自分に,当時は“女性として失格”と烙印を押していました。
その後,次女,三女も帝王切開で出産しました。2回目の帝王切開で夫が覚えているのは,手術室に向かうストレッチャーの上で「ごめんね」と泣いている私の姿でした。まだ産み方にこだわっている自分がいました。そして3回目でようやく安心して帝王切開で出産し,前を向くことができたのです。
2000年から当事者として情報発信を始め,これまで帝王切開で出産した多くの女性と出会い,その声を聞いてきました。そしてモヤモヤした気持ちを抱いているのは私だけではないと知りました。

さて,私が出産してから30年以上経った今,帝王切開は,どのように変わってきたでしょう。
帝王切開と経腟分娩という,2通りしかない出産方法なのに,妊婦が出会う情報は経膣分娩のことがほとんどです。産婦人科・麻酔科・形成外科など関わる診療科も,各科からの情報提供も病院によって異なるため,傷や術後の体のケアについて知らないまま退院し,1人で悩み困っている女性の存在が,「無事に産まれた」ことで忘れ去られています。経腟分娩では当たり前のように考慮されるバースプランや立ち合い出産,早期母子接触など,出産体験の質を高める取り組みも,帝王切開では普及しているとは言えません。経腟分娩では「産む人が主役」という意識があるかもしれませんが,なぜ帝王切開では,同じように関わることができないのでしょうか。
2022年,レキップ・フェミニンさんとの出会いにより,帝王切開をキーワードに,関連する各診療科の専門家から学ぶオンライン講座を実現することができました。対象は助産師など医療者と産前産後のケアをされる専門職です。帝王切開で出産する女性を中心に据えた出産ケアのために,必須の知識が語られたこの講座を,もっと多くの方に知っていただきたいと思い,このたび特集にしてお届けします。
帝王切開で出産する女性の一番近くに,助産師というプロフェッショナルがいつもいてくださることを願っています。 [細田恭子]



産む人を中心にした帝王切開
細田恭子

[対談] 産む人を中心にした帝王切開をいかに実現するか?──よりよいチーム医療に向けたヒントと助産師に期待すること
荻田和秀/照井克生 (聞き手)細田恭子/宮下絵美/金子聖子

帝王切開の基本──プロフェッショナルとして十分なパフォーマンスを発揮するために
荻田和秀

[コラム] 私の帝王切開出産体験
フリッツ郁美

怖くも痛くもない帝王切開──麻酔で術後を穏やかに過ごすために
照井克生

[コラム] 世界で広がる「優しい帝王切開出産」
福澤利江子

帝王切開の傷あとはここまできれいになる!──肥厚性瘢痕・ケロイドの基本からケアの実践まで
小川 令

[インタビュー] 帝王切開術の傷のケアについて助産師が聞きたいことを形成外科医に全部聞く
小川 令 (聞き手)金子聖子/宮下絵美/細田恭子

痛みを予防し回復を促進する入院中の身体の使い方
平岡仁美

帝王切開出産における助産師の役割とは──妊産婦と多職種連携のコーディネートと情報提供
横手直美

■インタビュー
研究・教育活動を社会に還元するために──国を越えた学際的なネットワーキングに尽力する
新福洋子

●うまれてくる風景[4]
繁延あづさ

●妊産婦を尊重したケアのための国際宣言「ホワイトリボン憲章」を手がかりに考える──人権のはなし[4]
緊急時も! 平常時も! 十分な「インフォームドコンセント」とは?
谷口真由美/福澤利江子

●無痛分娩の超ソボクなギモンに産科麻酔科医が答える──教えて! ヒュウガ先生[3]
無痛分娩では,まったく痛みを感じないで出産することは可能なのですか?
日向俊輔/田辺けい子

●「根拠のあるケア」のための新しい考え方──母子相互影響看護論[4]
産褥期の母子相互影響の概要と母乳栄養を整える看護
河野洋子

●りれー随筆[453]
母業の10年
坂本理代