言語聴覚研究 16巻3号 (2019年9月)

言語聴覚研究優秀論文賞

  • 文献概要を表示

 本誌を発行する一般社団法人 日本言語聴覚士協会は,「言語聴覚研究」に掲載された原著論文のうち特段に優れた論文に対し「言語聴覚研究優秀論文賞」を授与しています.対象となる論文は過去2年間に本誌に掲載された原著論文のうち,筆頭著者が投稿時点で40歳未満の論文です.なお,以前に本賞を受賞された論文は対象とはなりません.選考は本誌編集委員会が基準を設けて厳正に実施しています.受賞論文は一般社団法人 日本言語聴覚士協会総会・日本言語聴覚学会において表彰いたします.

 「第10回言語聴覚研究優秀論文賞」は,2017年〜2018年(第14巻1号〜第15巻4号)の間に「言語聴覚研究」に掲載された対象論文20編の中から厳正な審査を経て下記の2論文が受賞しました.

  • 文献概要を表示

 これまでに児童を対象とした立方体透視図模写(NCC)の定性的採点方法(4期法)を提案したが,発達的推移を捉えることが十分ではなかった.本稿では4期法を見直し,発達的推移を評価可能な定性的採点方法(6期法)を作成して,その標準化を行った.そして,6期法による採点結果と描き下し過程の特徴に基づき,発達的推移を横断的/縦断的調査から検討した.その結果,第0期から第5期に分類する6期法は高い信頼性と妥当性を示した.NCCの発達は立方体を平面で表す段階から,奥行き表現が可能となる段階,さらに透視線を模写可能な段階を経て完遂に至ると推察された.また,NCCを完遂した児童の約92.8%は最初に面を構成したことから,立方体を面から成る集合体として認識する視覚性認知機能の発達がNCCの完遂に重要と考えられた.発達的推移を評価可能である6期法は児童を対象としたNCCの定性的採点方法として有用と考えられた.

  • 文献概要を表示

 災害時,人工内耳装用者は,停電による電池消耗や機器故障などの二次的障害により,ことばが聴取困難となる場面を多く認める.今回,熊本地震時における人工内耳装用者への対応について報告する.

 熊本大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で人工内耳装用術を施行した被災地在住の81名に対して,安否確認および人工内耳の状態の確認と人工内耳装用者に対する案内チラシを避難所に配布した.

 人工内耳装用者の対応を行った件数は24件で,電池消耗が17件,機器故障・紛失が3件,乾燥不能が2件,聴こえの低下が2件であった.

 人工内耳装用者に対して,災害時にこのような機器トラブルが発生する可能性を考え,迅速に対応する必要がある.

  • 文献概要を表示

 平成28年度の診療報酬改定を受け,医療保険施設における言語聴覚士を取り巻く状況を調査する目的で「診療報酬改定の影響に関するアンケート調査」を行った.回答施設は479施設であった.

 廃用症候群リハ料が新設され,誤嚥性肺炎後の廃用に対して介入していることが明らかとなった.また,摂食機能療法の改定により脳血管疾患以外の患者に対しても介入できるようになったことは大きな変化であった.生活期リハへの介入は微増しているが,地域差が大きく十分といえない.変則勤務など労働状況が変化している.生活面に介入しやすくなった半面,様々な業務を兼務することが求められ,業務調整に難渋していることも考えられた.

 今後の課題として,呼吸器リハへの参画,経口摂取回復促進加算の促進,在宅生活に向けた体制づくりの構築が挙げられる.また,言語聴覚士不足の問題に対し,量だけではなく言語聴覚療法の質を維持することも必須の課題であると考える.

  • 文献概要を表示

1.はじめに

 カンボジア王国(以下,カンボジア)は,インドシナ半島南部に位置する人口約1,600万人の国である1).カンボジアでは,1970年から20年以上内戦が続き,当時の人口の約1/4にあたる170万人以上が虐殺され,すべての社会システムが破壊された2).内戦終結後,政治的には一応の安定をみせ,経済的にも順調な発展を続けているものの,現在も国連の後発開発途上国に指定されており3),医療の拡充についても海外からの援助に頼る状況が続いている4)

 今回,筆者はカンボジアの首都プノンペン市において,アメリカのNPOによる摂食嚥下リハビリテーションプロジェクトの一環として,医療従事者を指導する機会を得た.本稿では,その活動概要を報告する.

学会記録

  • 文献概要を表示

会期:2019年6月28日(金)・29日(土)/会場:iichiko総合文化センター・他(大分市)

--------------------

目次

投稿誓約書

投稿規定

執筆要綱

編集後記 藤田 郁代
  • 文献概要を表示

 本年も酷暑の夏となり,地球温暖化の影響をひしひしと感じています.

 今号は,6月28・29日に大分市で開催された第20回日本言語聴覚学会(木村暢夫会長)の事後抄録特集号です.本学会は令和になって最初の学会で,多彩な分野から興味深い研究が多数発表されました.

基本情報

13495828.16.3.jpg
言語聴覚研究
16巻3号 (2019年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1349-5828 日本言語聴覚士協会

文献閲覧数ランキング(
5月18日~5月24日
)