言語聴覚研究 11巻3号 (2014年9月)

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 言語障害へアプローチする視点として,脳の側からの視点すなわち損傷部位(脳の前方-後方,内側-外側)の視点,また障害メカニズムへの視点すなわち「その誤りがどこから生じているのか」という視点,そして言語運用の視点すなわちその言語の「意味カテゴリ」あるいは言語運用にあたっての「入力や出力のモダリティ」など,様々な視点でみることの重要性を述べた.

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 特別支援教育において,教育と専門職の連携が始まっているが,現状の教育と言語聴覚士(以下,ST)の連携は十分とは言い難い.本研究では通常学級を含む小学校教員を対象に,専門職であるSTとの連携について,現状における連携の実態把握と,学校の体制に由来するもの以外のSTが取り組むべき課題を探る目的で質問紙調査を行った.その結果,STの認知度の低さに加えて,教員の業務の多忙さから連携する時間がないなどの時間的な問題も連携の障壁と考えられた.さらに,児童の言語・コミュニケーション面での困難さは,行動面の問題や学習の困難に比べて気づかれにくい可能性があることが示された.以上より,今後,学校とSTの連携強化のためには,STの認知度向上とともに,児童が示す困難さの背景を言語・コミュニケーション面の視点から検討するSTの専門性が特別支援教育に活かせることを示す必要があり,連携に当たっては,時間的な問題を考慮する必要性が示された.

学会記録

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会期:2014年6月28日(土)・29日(日)/会場:大宮ソニックシティ(さいたま市)

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 本協会は平成16年11月に言語聴覚障害学領域およびその近接領域に関する学術専門誌「言語聴覚研究」を創刊しました.本誌は各種言語聴覚障害の基礎と臨床に関する学術論文を掲載することになります.

 購読会員を募集していますので,下記のとおりご案内いたします.

投稿規定

執筆要綱

投稿誓約書

編集後記 藤田 郁代
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 今年の夏は西日本では集中豪雨による被害が続出し,からりと晴れた夏らしい日が少なかったように思います.6月にさいたま市で第15回日本言語聴覚学会(半田理恵子会長)が開催されてから早や2か月が過ぎましたが,今号には同学会における一般演題の事後抄録が掲載されています.同学会の一般演題は335題に達し,60個を超えるセッションで発表と熱い討議が繰り広げられました.

 今学会のテーマは「言語聴覚士とはなにか,あるべき姿を再考する」であり,この根源的な問いを巡ってシンポジウムなどで興味深い討論が展開されました.ところで,わが国の言語聴覚士の年齢分布を見ますと20〜30歳代が75%を占めています.この年代の方々は医療福祉制度の変革が急激に進む中で言語聴覚士になり,流動的に変化する制度やシステムに対応した専門性すなわち「言語聴覚士は何をなすべきか,何ができるか」をそれぞれの現場で模索し続けてきました.新しい仕組みの中で専門性を確立するには言語聴覚士のアイデンティティーを社会・臨床状況と関連づけて明確化,具体化し,専門的介入による効果を患者さんや他の専門職に示すことが求められます.それにはリサーチマインドをもって言語聴覚療法に取り組み,客観性,再現性,科学性に裏付けられた知見を蓄積していく地道な作業が必要です.今号の事後抄録からこのような試みが幅広い分野で精力的に行われていることを知ることができます.

基本情報

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言語聴覚研究
11巻3号 (2014年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1349-5828 日本言語聴覚士協会

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