糖尿病診療マスター 15巻12号 (2017年12月)

特集 糖尿病診療 今後の展望—next decade

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POINT

・食事療法の基本は適正なエネルギー量の摂取である.

・食事療法の基本はバランスのよい食事の実践である.

・食事療法ではよい質の食品摂取を心がける.

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POINT

・患者の年齢,病態,合併症,薬剤の作用特性,禁忌事項を考慮して主治医が薬剤を選択する.

・合併症の発症・進展の阻止には統合的治療が重要である.

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POINT

・自治体・医療保険者を中心とし,地域単位で進める糖尿病性腎症重症化予防プログラムを開発した.

・プログラムの実施・普及には医療機関,糖尿病対策推進会議などとの連携が重要である.

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POINT

・糖尿病療養指導士は,糖尿病臨床において,糖尿病患者の自己管理の教育と支援に重要な役割を担っている.

・今後,さらに糖尿病療養指導士の役割と責任は大きくなっていくものと思われる.

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POINT

・「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」および「重症化予防プログラム」の役割.

・重症化予防における関係者の連携の重要性.

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POINT

・今後の超高齢社会のなかで,在宅医療の需要は増加する.

・認知症合併の腎不全患者も増加するため,在宅でのassisted PDの需要は増してくる.

・日頃の糖尿病管理〜要介護状態に至る,疾病の過程にトータルに対応するためには行政と医療がタッグを組んだ地域包括ケア体制が必要とされる.

データヘルスの展望 平井 愛山
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POINT

・国民皆保険制度の存続をかけたデータヘルス事業

・医療政策の最優先課題である糖尿病重症化予防

・NDBオープンデータを用いた糖尿病診療実態の可視化

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POINT

・日本人糖尿病へのエビデンス構築と糖尿病発症予防の重要性.

・従来の大規模臨床研究と新しいビッグデータを活用した研究への期待.

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POINT

・モバイル医療……モバイル端末を用いた医療.

・生活習慣の自己管理.

・スマートフォンのアプリケーションを用いた自己管理支援の提供.

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POINT

・診療課題解決の過程を数理モデルで表せれば人工知能を活用できる.

・診療録を標準化しAI活用に備えよう.

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・糖尿病のプレシジョンメディシンはベネフィット・リスク化を最大化するアプローチである.

・全ゲノムシーケンスによりプレシジョンメディシンに有用な遺伝子多型の同定が期待される.

Perspective◆展望

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 糖尿病治療はこの四半世紀で著明な進歩を遂げました.特に薬物治療の進歩はめざましく,1990年代になり,αGI,チアゾリジン薬,グリニド薬など新たな糖尿病薬が登場し,2009年12月には最初のDPP-4阻害薬シタグリプチンが上市されました.その後DPP-4阻害薬が次々と登場し,2014年4月には最初のSGLT2阻害薬イプラグリフロジンが発売され,現在ではWeekly製剤も含めると9成分10剤のDPP-4阻害薬と6成分7剤のSGLT2阻害薬が使用されるに至っています.注射薬もインスリンアナログ製剤の進歩に加え,GLP-1受容体作動薬が続々と登場し,治療の選択枝は大きく広がりました.この間,インスリンポンプに代表される持続インスリン注入の技術や,SMBG(self monitoring of blood glucose)やCGM(continuous glucose monitoring),FGM(flash glucose monitoring)などの血糖モニタリング技術も格段に進化してきており,糖尿病治療の質は大きく向上しています.

 このように大きな進歩を遂げてきた糖尿病診療ですが,一方でまだまだ未解決の問題も多く,われわれがこれから取り組むべき課題は山積しています.本誌100号記念座談会では,「糖尿病診療はどこに向かっているのか?—残された課題と新たな課題」と題して,糖尿病治療の進歩を振り返りながら,これまでで変わったこと(解決された課題)と変わらないこと(残された課題,新たな課題)について議論がなされました(14巻10号,2016年10月号).また,本誌15巻9号(2017年9月号)では「糖尿病診療 温故知新—こんなに変わった!昭和の常識」と題する特集が組まれ,糖尿病診療においても常識が変わるほどの変化が起こっていることが取り上げられています.このような変化を振り返り,これから先の糖尿病診療に思いを馳せた時,今から10年後にはさらに大きな変化が現れているのではないかとの期待が膨らみます.

編集委員が選ぶMy Best Article

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本誌のMy Best Article

赤井裕輝,他:糖尿病診療マスター通巻100号記念座談会「糖尿病診療はどこに向かっているのか?」(糖尿病診療マスター14:744-752,801-807,2016)

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本誌のMy Best Article

水上浩哉:2型糖尿病の膵島病理—β細胞は本当に死ぬのか?(糖尿病診療マスター:14:163-169,2016)

編集委員が選ぶMy Best Article 石井 均
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本誌のMy Best Article

石井均:河合隼雄先生(文化庁長官)に聞く —来るべき「医療学」を求めて(糖尿病診療マスター3:6-19,2005)

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本誌のMy Best Article

赤井裕輝,他:糖尿病診療マスター通巻100号記念座談会「糖尿病診療はどこに向かっているのか?」(糖尿病診療マスター14:744-752,801-807,2016)

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再刊を心より願って

 ついに休刊前の最終号を迎えた.私は2007年から本誌編集委員に加えていただいたと記憶しているので,10年間お世話になった.編集委員にとお声掛けいただいた当時,ベッドサイド臨床重視の編集方針であった本誌は,きらきら輝く存在であったことを鮮やかに覚えている.

 思い出に残る本誌記事,論文は限りがない,というのがいつわりのない気持ちである.私の企画担当の特集では,「病理でガッテン!糖尿病」(2016年3月号:14巻3号)にお寄せいただいた論文は,皆強いインパクトがあった.だが,本誌だからこそ企画可能であったという思いの強いアーティクルが,「進み過ぎた糖尿病合併症患者を支える」(2016年9月号:14巻9号)での『新潟ロービジョン支援モデル』(新潟モデルと呼ばせていただく)についての座談会「糖尿病患者の高度視力障害を支える」である.新潟県で実践されている内科の山田幸男先生,眼科の安藤伸朗先生,そしてたくさんの情報をお持ちの,宮城県の内科医奥口文宣先生にご出席いただいた.新潟の両先生は,まだ視力の残る患者さんの治療にも当然ご熱心で,最先端の治療がなされているのはもちろんであるが,視力障害の患者さんが自由に来て,お茶を楽しむサロンを用意されている.あとは集まった患者さん同士で,先輩が後輩に社会で生き抜く術を伝えていくという,患者さん同士の屋根瓦方式とでもいうべきシステムなのである.このサロンを新潟県下の各地に立ち上げられた.自立した社会人としての障害患者さん達の姿,べったり付きすぎない自立支援システムが,これからの支援モデルであることは間違いないと思う.私は勝手に『新潟モデル』と呼ばせていただいた.両眼の視力をほぼ失ってしまったロービジョンの患者さんの社会復帰を,患者さんと共に歩むことで実現される山田先生,安藤先生の活動にならい,宮城県でもと思っている.

糖尿病に効くコーチング 明日から始めてみませんか?・12【最終回】

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私がコーチングを学んで8年,スタッフが5年になります.徐々に率直で対等な双方向のコミュニケーションが取れるようになってきていると思います.目標に向かって行動が起こる,結果が出るのがコーチングの醍醐味ですが,もう一つのコーチングの機能である良好な人間関係を構築するということが職場の基盤となります.当院でコーチングを導入してどんな変化があったのか,チーム医療がどうなったのかをご紹介します.

糖尿病患者の口腔健康管理 はじめの一歩・12【最終回】

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「健口」から始める健康づくり

 口腔機能の維持向上は楽しい食事が続けられ,また介護予防や健康長寿にも役立つことにつながります.脳が関わる運動や感覚のうち,約40%が口腔に関連していますし,口腔の運動や口腔ケアは脳を活発化させ認知症の予防にも役立つことが知られています.それから,歯が健康で食事を楽しめることは,生きがいにも大いに関係します.このようなことから,歯と口からの健康づくりを始めてみるのは,高齢社会となっている本邦では必要なことであるといえます.

 糖尿病と歯周病は,どちらも初期症状は無症状であります.また,生活習慣病でもあります.そして,自己管理で予防できるという共通点もあります.さらに,高血糖が続くと歯周病も悪化しています.そして,糖尿病の人は免疫力が低下していますし,組織を元通りにする力も弱くなっていますので,炎症による組織破壊が進行しやすくなっています.歯科において口腔健康管理をしっかりと考えて歯周病治療を行うと,糖尿病患者の状態改善もみられるようであります.

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目的

 2型糖尿病の血管合併症は生命予後に関わる主要なものですが,合併症予防に有効な治療法は確立されていません.J-DOIT3試験は,2型糖尿病の大血管合併症を抑制する介入方法の検証を目的に,厚生労働省の戦略研究の一環として2006年に開始されたものです.2型糖尿病で高血圧または脂質異常症のある患者を対象に,従来の治療方法(従来療法)または,従来の治療法よりも目標をより厳しく設定した強力な治療方法(強化療法)のどちらかを行い,主要評価項目として①全死亡,②冠動脈イベント(心筋梗塞,冠動脈血行再建術),③脳血管イベント(脳卒中,脳血管血行再建術)のいずれかの発生,副次評価項目は④腎イベント(腎症の発症・進行),⑤眼イベント(網膜症の発症・進行),⑥下肢血管イベント(下肢の切断・血行再建術)の発生としています.

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糖尿病診療マスター
15巻12号 (2017年12月)
電子版ISSN:1347-8389 印刷版ISSN:1347-8176 医学書院

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