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糖尿病治療はこの四半世紀で著明な進歩を遂げました.特に薬物治療の進歩はめざましく,1990年代になり,αGI,チアゾリジン薬,グリニド薬など新たな糖尿病薬が登場し,2009年12月には最初のDPP-4阻害薬シタグリプチンが上市されました.その後DPP-4阻害薬が次々と登場し,2014年4月には最初のSGLT2阻害薬イプラグリフロジンが発売され,現在ではWeekly製剤も含めると9成分10剤のDPP-4阻害薬と6成分7剤のSGLT2阻害薬が使用されるに至っています.注射薬もインスリンアナログ製剤の進歩に加え,GLP-1受容体作動薬が続々と登場し,治療の選択枝は大きく広がりました.この間,インスリンポンプに代表される持続インスリン注入の技術や,SMBG(self monitoring of blood glucose)やCGM(continuous glucose monitoring),FGM(flash glucose monitoring)などの血糖モニタリング技術も格段に進化してきており,糖尿病治療の質は大きく向上しています.
このように大きな進歩を遂げてきた糖尿病診療ですが,一方でまだまだ未解決の問題も多く,われわれがこれから取り組むべき課題は山積しています.本誌100号記念座談会では,「糖尿病診療はどこに向かっているのか?—残された課題と新たな課題」と題して,糖尿病治療の進歩を振り返りながら,これまでで変わったこと(解決された課題)と変わらないこと(残された課題,新たな課題)について議論がなされました(14巻10号,2016年10月号).また,本誌15巻9号(2017年9月号)では「糖尿病診療 温故知新—こんなに変わった!昭和の常識」と題する特集が組まれ,糖尿病診療においても常識が変わるほどの変化が起こっていることが取り上げられています.このような変化を振り返り,これから先の糖尿病診療に思いを馳せた時,今から10年後にはさらに大きな変化が現れているのではないかとの期待が膨らみます.
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