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再刊を心より願って
ついに休刊前の最終号を迎えた.私は2007年から本誌編集委員に加えていただいたと記憶しているので,10年間お世話になった.編集委員にとお声掛けいただいた当時,ベッドサイド臨床重視の編集方針であった本誌は,きらきら輝く存在であったことを鮮やかに覚えている.
思い出に残る本誌記事,論文は限りがない,というのがいつわりのない気持ちである.私の企画担当の特集では,「病理でガッテン!糖尿病」(2016年3月号:14巻3号)にお寄せいただいた論文は,皆強いインパクトがあった.だが,本誌だからこそ企画可能であったという思いの強いアーティクルが,「進み過ぎた糖尿病合併症患者を支える」(2016年9月号:14巻9号)での『新潟ロービジョン支援モデル』(新潟モデルと呼ばせていただく)についての座談会「糖尿病患者の高度視力障害を支える」である.新潟県で実践されている内科の山田幸男先生,眼科の安藤伸朗先生,そしてたくさんの情報をお持ちの,宮城県の内科医奥口文宣先生にご出席いただいた.新潟の両先生は,まだ視力の残る患者さんの治療にも当然ご熱心で,最先端の治療がなされているのはもちろんであるが,視力障害の患者さんが自由に来て,お茶を楽しむサロンを用意されている.あとは集まった患者さん同士で,先輩が後輩に社会で生き抜く術を伝えていくという,患者さん同士の屋根瓦方式とでもいうべきシステムなのである.このサロンを新潟県下の各地に立ち上げられた.自立した社会人としての障害患者さん達の姿,べったり付きすぎない自立支援システムが,これからの支援モデルであることは間違いないと思う.私は勝手に『新潟モデル』と呼ばせていただいた.両眼の視力をほぼ失ってしまったロービジョンの患者さんの社会復帰を,患者さんと共に歩むことで実現される山田先生,安藤先生の活動にならい,宮城県でもと思っている.
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