助産雑誌 72巻4号 (2018年4月)

特集 産科混合病棟の中で助産師にできること

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少子化を背景に,産科病棟の混合化が進行しています。日本看護協会が2016年に行なった調査では,8割近い施設が産科混合病棟であるという結果が示されました。産科混合病棟の何よりの問題点は,安全で安心な出産環境の確保が難しくなることでしょう。助産師が他科患者を受け持つことで,妊産褥婦へのケア提供に専念できない状況があります。

本特集では,産科混合病棟の現状について,最新のデータを示しながらその問題点や課題を解説していただきます。また,実際に産科混合病棟で働く管理者の方々に,自施設の現状や課題,それらとどう向き合い乗り越えてきたのかについてご紹介いただくことで,日常臨床における課題を解決するためのヒントを得たいと思います。

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産科混合病棟における母子ケアの現状について,日本看護協会が2016年に行なった調査結果のデータを用いながら解説していただきました。日本看護協会は産科混合病棟の管理体制としてユニットマネジメントを推奨する一方,地域包括ケア病棟の仕組みを活用した「母子のための地域包括ケアシステム」を提案しています。

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産科混合病棟における患者死亡時のケアと分娩時のケアの重複について,自身の研究データを示しながら解説していただきました。死亡と分娩へのケアの重複は決して稀ではなく,妊産褥婦へのケアの質の低下が懸念されることがわかります。

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婦人科,小児科,呼吸器外科,整形外科,循環器内科等の混合病棟である綾部市立病院での取り組みを紹介していただきました。よりよい助産ケアを妊産褥婦に届けたいと願う助産師のモチベーションを維持するためには,活き活きと働くことができる仕掛けづくりが有用です。

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内科・小児科との混合病棟である姫路赤十字病院での取り組みを紹介していただきました。妊娠・出産が女性の一生に大きな影響を与えるという重要性を,病棟内のスタッフと他病棟のスタッフに伝えていくことも大切です。

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混合病棟は出産後の褥婦へのアンケートでも不評でした。そこで中津川市民病院では,病棟内に産科専用の区域をつくるために“プチユニットマネジメント”計画を立てたそうです。院内の他職種に理解してもらえるような議案提案書をつくり,わかってもらうための努力の過程を報告していただきました。

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はじめに

 2016年4月から,加古川刑務所の非常勤助産師として,女子受刑者の子育てに関する相談業務をしています。その間,大勢の子どもをもつ女子受刑者に出会う中で,彼女たちが抱える子育ての課題がみえてきました。

 その課題と対応策を考えるために,法務省矯正局,加古川刑務所,大手前大学倫理委員会の承認,および女子受刑者の同意を得て,2017年8月より「子どもをもつ女子受刑者の子育て養育能力向上に向けた支援教育プログラム開発」〔平成29年度科研費〈挑戦的研究(萌芽)〉(課題番号:17K19854)〕(以下,本研究)の調査を開始しました。

 以下に,本研究に至った背景,日本における女子受刑者の実態と子育てへの課題,およびオーストラリア・アデレード州立女性刑務所の管理・運営方針等を概観し,母子保健向上に取り組む専門職の助産師として一体何ができるのかを考察したいと思います。

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確かなことを知る

 妊娠や出産のケアの方針を,妊産婦さんや医療従事者が相談して決める時,ときどき方針が決まらず困ることがあります。それぞれの医療従事者によって意見が異なる時。また,妊産婦さんが別の情報源から得て考えた方針が,医療従事者にとって受け入れにくい時。それぞれの妊産婦さんによって考え方も異なれば,それぞれの医療従事者でも考え方が異なります。

 でも,考え方が一致していなくても,お互いに納得できる方針で,妊娠や出産のケアを進めたいものです。

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 前回(本誌2017年12月号)紹介したように,「出産ケア政策会議」は,女性を大切にする出産ケアを実践するためには,一個人や一施設の努力では限界があり,制度・政策から変革する必要がある,という問題意識から開始した研修会です。

 研修生は,助産師16名(助産所自営7名,病院勤務3名,教員2名,診療所勤務1名,訪問看護ステーション非常勤勤務1名,大学院生1名,フリー1名)とお母さんへの支援活動を行なっている女性1名です。研修生は,講師の話を聴いて学ぶだけではなく,変革のために行動することを課題としています。

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【MBコラボ】の活動

 助産師としての経験を重ねる中で,「最近の○○は……」と心の中や同僚との会話で愚痴をこぼしたことはありませんか? 「○○」にはママ,学生,新人,学校,助産師教育,臨床,地域とさまざまな言葉が入ると思います。

 私たちは病棟勤務を経て,保健指導,育児指導を主たる業務として10年以上が経過しました。日々の業務の中で,年々「え? こんなことも知らないの?」ということを指導する必要や,保育者(以下,ママ)の育児技術の低下を実感することが多くなりました。

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地域の診療所として成長する

 医療法人社団東壽会東峯婦人クリニック(以下,クリニック)は1980年に東京都江東区木場に開院し,今年で38年を迎えます。開設者の松峯寿美院長は,現在も診療と分娩,手術にあたり,今では出産に来られる妊婦さんや,婦人科手術に来た患者さんのご子息の中に,「自分はここで生まれました」と話される方も増えてきました。思春期相談,月経不順,不妊治療,妊娠,出産,更年期,老年期と女性のライフサイクルを支えられるよう,地域の診療所として歩んできました。

 2014年からは,診療所と助産所,そして保育所の機能を備えた複合型施設「産前産後ケアセンター東峯サライ」(以下,サライ)を開設し,妊娠中のケアや出産の準備,出産後の母親や新生児,乳児の診療とケア,保育等を行なっています。診療所の位置する江東区は,都内23区内で出生率の増加している区の 1つであり,2016年の合計特殊出生率は1.39です。近隣には,豊洲や東雲といった若い世代の世帯が多く見られる地域があります。妊娠・出産の安全と快適性を追求すると同時に,その後の育児を支援していくことも妊娠・出産を扱う私たち助産師の課題と認識しています。サライでは,子育て中のご家族の方が誰でも利用できるよう努めています。

連載 宝物,教えてください・27

大先輩からの教訓 岡本 登美子
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 離島の産婦人科医院から助産師専門学校へ進学したのは33歳の時でした。当時,専門学校の実習先でもあった大学病院で病棟師長を務めていた Hさんは,いつも明るく優しく対応してくださり,その姿に,いつか自分もそうなりたいと憧れていました。助産師学生の頃,H師長に「卒業したら大学病院に就職するんでしょ」と投げかけられましたが,「離島へ帰ります」と即,返答しました。大学病院より離島の診療所のほうが分娩が多く,助産師の力を発揮できると思ったからです。

 しかし,諸事情で都会の病院へ勤務。1992年に開業することを決意し,出張分娩を始めました。今では保育園,有床助産所,産後ケア事業と展開しています。

連載 ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート・4

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はじめに

 産婦人科医師が両親学級の全部または一部を担当する例は珍しくありませんが,長野県佐久市の佐久医療センターには,小児科医師がファシリテーターを務めるという父親学級があります。産科領域のマタニティ家族に対して小児科医師がレクチャーをするようになったきっかけやプログラム内容と,どのような効果が得られているのかを取材させてもらいました。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・36

県立広島大学助産学専攻科
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地域に根ざした信頼される大学

 2005年,3つの県立大学の統合により,新しい県立広島大学が誕生しました。「地域に根ざした,県民から信頼される大学」を新大学の基本理念として掲げ,3大学で培ってきた強みを融合し,知(地)の創造拠点の確立を目指して歩みを開始し,10年が過ぎました。その中で,助産学専攻科(以下,当専攻科)は,三原城の城下町を起源とする三原市のキャンパスに2009年に開設され,2017年度に9期生を迎えて,約100名の助産師を輩出しました。

 当専攻科のある三原キャンパスは,「坂の街」「文学の街」「映画の街」として全国的に有名である尾道市に隣接しています。知性あふれる豊かな地域で助産学を学び,高度な専門知識と実践力を身につけ,女性の生涯にわたる健康をサポートする助産師の育成を目指しています。

連載 りれー随筆・399

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 子どもの健康のためにと,妊娠・出産を機にオーガニックや無添加食品などを選択するようになった友人をたくさんみてきたけれど,最近はそれ以外の友人にも,ヴィーガン(絶対菜食主義者)などの自然・天然志向派が増えてきている。

 私はオーストラリアで助産師をしているのだが,そうした自然志向はお産の管理にも反映されている。ヒプノバース(催眠出産)や水中分娩は,日本より一般的だ。学生の時にオーガズミックバース(オーガズム出産)の指導ビデオを患者さんに貸し出しているのを目撃して,ちょっとした衝撃を受けたものだ。

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助産雑誌
72巻4号 (2018年4月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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