日本がん看護学会誌 26巻1号 (2012年5月)

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要旨

 治療に取り組んでいる多くのがん患者は,心身の安定を得るためにさまざまなセルフケアの継続が求められている.その継続にはセルフケアの基盤となるセルフケア能力の獲得と活用が重要と考える.本研究の目的は,がん治療を受ける際に必要となるセルフケア能力を明らかにすることであった.同意が得られた治療中のがん患者20人にインタビューを実施し,結果の信頼性を高めるため,論理をもとに推論できるKrippendorffの内容分析を行った.がん患者のセルフケア能力は看護師やその他の医療従事者の関与あるいは患者自身が体験から獲得した能力であった.そして【体調の変化をとらえる能力】,【自主的に判断し保健行動を形成する能力】,【がんの存在にとらわれないよう思考を和らげ進む能力】,【人とのつながりを保ち社会生活を調整する能力】,【生き方を見つめ自己の発達を促す能力】の5つの大表題と11の表題より表された.このセルフケア能力はセルフケアを促すための総合的な能力であることが明らかになった.

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要旨

 本研究の目的は,喉頭摘出者の術前から退院後1年間の他者とのコミュニケーションを通したコミュニケーション方法の再構築過程を明らかにし,その過程を支援する看護実践への示唆を得ることである.対象は喉頭全摘術を受ける頭頸部がん患者12名で,術前から退院後1年間にわたって参加観察および半構成的面接を行い修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

 その結果,喉頭摘出者の他者とのコミュニケーションを通したコミュニケーション方法の再構築過程は,『伝わらないことによって膨張化した欲求不満状態からの脱却化』を図る過程であった.この過程は,失声の予告が引き起こした〈声を失うことのイメージ化〉および【命と声の引き換え】の覚悟を持ち【喉頭発声機能喪失下での伝達の再適正化・再円滑化・効率化】を目指すことから始まり,術後の【相手を見て・合わせて・ひたすら伝える】ことを起点に生じた3つのサイクル,すなわちさらなる【喉頭発声機能喪失下での伝達の再適正化・再円滑化・効率化】を図るサイクル,【伝わらない伝えられない・話せない話さないことへの欲求不満の膨張化】を引き起こすサイクル,〈人とのコミュニケーションを楽しむ〉および【極限までに縮小化されたコミュニケーションからのわずかな拡充化】を図るサイクル,および【伝わらない伝えられない・話せない話さないことへの欲求不満の膨張化】を起点に【命と声の引き換え】の覚悟を想起するサイクル,の計4つのサイクルが相互に連動して循環するなかで患者は〈欲を出す〉ようになり,その欲を原動力としてさらなる【極限までに縮小化されたコミュニケーションからのわずかな拡充化】を図り,それがまた4つのサイクルを動かしていくという循環型の過程であった.患者自身が自然に〈欲を出す〉まで待ち続けその時の到来を見逃さないこと,〈欲を出す〉までに患者および周囲の人が体験する苦悩を緩和すること,という看護実践の必要性が示唆された.

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要旨

 本研究の目的は,食道切除術後の回復過程において補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程を明らかにし,看護実践への示唆を得ることである.対象は,食道がん治療目的で食道切除術を受け退院後6カ月以上経過し,術後補助療法が終了している外来通院中の患者22名である.外来受診時に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.

 その結果,食道切除術後の回復過程において術後補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程は《生活圏の狭小化》および《命と引き替えに生活圏の狭小化を受け入れ自分流の暮らし方を獲得する》をコアカテゴリーとする過程として説明できた.この過程は,【予想をはるかに超えて苦痛と化した摂食・嚥下行動】が引き起こす『元には戻りそうにない実感』から始まっていた.この実感を『食べられなくなるのは当たり前』と捉える患者がいる一方で,『食道の手術を受けたことの意義を自問する』ことと『誰にでも起こることかどうか思い迷う』気持ちが交錯するが『食事にまつわる症状を他患と比べる』ことで納得する患者もいた.前者・後者ともにこの段階で『命と引き替え』と言い聞かせ,『今まで通り暮らしていくことの難しさ』に直面しながらも『周囲の期待を回復への糧にする』気持ちで『食べる量を増やすための試行錯誤を重ねる』試みを続けていた.しかし,この試みは術後補助療法により長期化し,これが『失職に伴う経済的困窮への懸念』および【活動可能範囲の狭まり】をもたらしていた.しかし,患者は,『命と引き替え』と言い聞かせたことを想起し自分の身体状況を客観視することで『時間の経過に伴う回復の実感』および『摂取可能量増加に伴う回復への期待』が生まれ,『これまでの生活を改め,健康に留意した生活を送る』という新たな価値観を身につけ,『慣れる努力をしつつ自分流の暮らし方を探す』ことで最終的に生活の再構築に至っていた.また,術後に生じた【転移・再発・新たな部位へのがん発症への怯え】が常に患者の心の根幹に存在していた.

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要旨

 近年,がん患者・家族の交流の場としてがんサロン(以下,サロン)が設けられてきている.本研究は,がん患者や家族がボランティアとして看護師と協働でサロンを運営している場合において,ボランティアのサロンにおける体験を明らかにすることを目的とした.ボランティア8名に半構造化面接を行い,サロンに対する思いについての語りを抽出した.分析は質的帰納的方法で行った.結果,ボランティアの体験は,【がんで悩む人の元気回復への願い】,【サロンの必要性を実感】,【自己の存在意味の強化】,【対応の困難感】,【メンバーへの信頼】,【自分自身への癒し】の6コアカテゴリーに分類された.ボランティアは,がんで悩む人の力になりたい,元気を取り戻して欲しいという,【がんで悩む人の元気回復への願い】があり,そのためには気持ちを話すことが大切であり,実際共感しあえるなど,【サロンの必要性を実感】した.また,自分の人生を生かしたい,訪問者の役に立てたと実感するという,【自己の存在意味の強化】を体験した.一方,自己嫌悪におちいったり,訪問者の深刻な話に戸惑い,【対応の困難感】を感じた.対応の困難感は,【メンバーへの信頼】を深めることで対処できた.そして,サロンの体験がボランティア自身の気持ちの安定につながり,他者の生き方が学びとなる,自分自身の生かし方がみえてくるなど,【自分自身への癒し】となった.この癒しの体験は,がんサバイバーとして,新たながんに対するコントロール感覚の獲得を意味していると考えられる.医療者は,ボランティアの葛藤やニーズを理解し,共にいることの支援を継続していくことが重要と考える.

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要旨

 本研究の目的は,ターミナル期がん患者の看護実践経験を積んできた看護師が患者の自己決定支援に関して持ち合わせている価値観を明らかにし,患者の自己決定支援への示唆を得ることである.ターミナル期にある成人がん患者の看護実践経験が4年以上の看護師16名を対象に,半構成的面接を行い質的帰納的に分析した.分析の結果,【患者が最期まで自分の意思で決定する】,【患者が決定したことを何としても実現させるためにチームに働きかける】,【患者が希望すれば残りの時間を自宅で過ごせるよう支援する】,【家族が患者の意思を尊重して最期の治療・処置に関する代理決定ができるよう支援する】,【患者の自己決定への揺らぎを共有し,何度でも自己決定をやり直せるよう支援する】,【残りの時間を考慮して患者の自己決定を尊重できるようケアを工夫する】,【患者の自己決定内容の実現が及ぼす負の影響を考慮してケアを実践する】の7つの価値観が明らかとなった.患者の自己決定支援への示唆として,患者が正しい病状認識のもとで最期まで自己決定できることを重視し,代理決定や医療チームへの働きかけを含めた多様な方法で自己決定を尊重すること,患者が自宅での療養を希望した場合には,在宅療養を可能にするための要である家族に対して社会資源と医療者のサポート体制について十分な情報提供を行うこと,さらに,患者の自己決定内容の実現が及ぼす負の影響を考慮し,患者の安全を保証するケアを提供したうえで患者の自己決定内容実現を支援すること,が得られた.

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要旨

 本研究の目的は,日本におけるがん化学療法を受ける血液・造血器疾患患者への看護師による口腔ケアの実態を明らかにすることである.日本血液学会研修施設の当該病棟看護師長と病棟看護師を対象に郵送による横断的・自記式質問紙調査をした.対象看護師長には,施設の概要・標準的口腔ケアなどについて,対象看護師には,看護師の属性・実施している口腔ケアについて調査した.

 対象施設497施設中172施設の協力が得られ1,746部の質問紙が回収できた(回収率30.4%).そのうち,有効回答は1,735件(99.4%)であった.氷片の含嗽は化学療法による口腔粘膜炎発生予防に効果的だが,実施しているとの回答は13.0%で,効果のないイソジン含嗽は78.6%と非常に高い割合だった.予防目的でのイソジン含嗽使用の割合は,施設内にがん看護専門看護師がいる場合は,いない場合より有意に低かった(χ2=15.698,df=1,p<.05).口腔内観察開始を口腔粘膜炎発生後に開始すると回答した割合は,院内にがん看護専門看護師,あるいはがん看護領域の認定看護師がいる場合は,いない場合より有意に低かった(χ2=24.274,df=1,p<.05).

 今回の調査で明らかになった口腔ケア実施状況での問題は,豊富な知識や熟練の技術を必要とするものではなく,まずは,口腔ケアに関する最新の基礎知識を得ることだけでも,大きく改善すると思われる内容であると考える.さらに結果は,口腔ケアの向上を図るうえで,がん看護の専門性の高い看護師の役割が重要であることを示唆していた.

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Ⅰ.はじめに

 終末期の生存期間を予測する指標を用いることによって,医療従事者はがん患者の予後を把握し,有効なケアを行うことが可能になる1)2).また,患者と家族は残された時間の有効利用ならびに死の準備を行うことができる3).そのため,1980年代の後半にスコアリングシステムからなる終末期がん患者用予後予測指標が開発され,各国で検証されてきた.しかし,既存の予後予測指標は,構成項目として採血を要する項目や医療従事者の直観に基づく項目を含んでいるだけでなく,陰性的中率が低いことが指摘されている3)4).そこで,終末期患者に対して侵襲がなく,正確で簡便に使用できる予後予測指標の開発が不可欠と考える.

 終末期在宅療養時期は大別して在宅療養開始時,平均3〜4カ月の安定期,最期の7〜10日間,最期の約3日間に分けられる.これらの各時期に応じて患者やその家族に関わっていくことが医療従事者には求められる5)6).特に,医療行為によって症状を軽減することが難しい最期の約1週間には,医療従事者が家族に対して意識的に介入することが重要である7).そして,家族が臨終の場を患者の側で過ごせるようなケアが必要である.これらのケアは,患者の療養の場所に関係なく医療従事者に求められる.

 看護師も,患者と家族の生活の質を高めるケアを提供するうえで主体的に予後を予測することが必要不可欠であると考える.Glaserら8)も,看護師が予後を予測することによって患者や家族との関係性やケアの方向性などに影響を及ぼすことから,看護師の予後予測の必要性を指摘している.近年,看護師の視点から予後予測項目が明らかにされつつある9)10).山田ら10)は,看護師が患者の予後を推定する際の症状とその期間について検討し,ある看護師が予後予測項目として適切だと考えた症状や徴候を,ほかの看護師は適切ではないと考えたり,特定の症状や徴候から予測した予後が異なることを報告している.

 現在,最期の10日と3日を正確に判断する指標は確立されていないので,まず指標の構成項目を明らかにすることが課題であると考える.そこで本研究では,看護師が終末期肺・胃・直腸結腸がん患者の予後10日と3日を予測するうえで有用な項目(症状や徴候)を明らかにすることを目的とした.その際,血液検査などの身体侵襲を伴う処置を必要としない項目を抽出した.

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Ⅰ.はじめに

 厚生労働省による「専門分野(がん・糖尿病)における質の高い看護師育成事業」に基づいて,臨床実務研修が全国で実施されてきた1)

 がん患者に質の高いケアを提供するために,看護師は,がんが患者の生活に与える影響・看護師が行う介入の効果・介入時に起こりうるリスクなど,多岐にわたって予測する必要がある.また看護師は,患者が生活するさまざまな場所(病院・在宅など)におけるケアの方向性を考えるうえで,終末期がん患者に残された時間である「予後」も予測する必要があると考える.これまでにGlaserら2)は,「死のアウェアネス理論と看護」の中で,看護師も患者の予後を予測する必要があることを述べている.

 終末期がん患者の予後を正確に予測する意義として,医師の立場から以下のことが提唱されている3).①過小治療もしくは過大治療を回避して適切な治療を行う,②患者の残された時間に関する情報を患者と家族に提供する,③必要とされる社会資源を組織化する,④最適なケアを計画する,⑤患者に最大限の安楽を提供する,⑥研究をデザインするために似通った予後の患者を同定する.上記の②〜⑤の内容は,看護師が終末期がん患者の予後を予測する判断力を高めていくうえでも重要である.

 近年,看護師の視点から予後予測項目が明らかにされつつある.才木4)は,小児患者に関わる看護師が,脈拍触知不可,呼吸状態の悪化,意識レベルの低下,活気の低下,言動の変化などを予後予測項目として用いていることを報告している.また山田ら5)は,高齢者に関わる訪問看護師が,食事摂取量,チアノーゼ,浮腫,無尿,死前喘鳴などを手がかりにして,最期の数週間,もしくは数日〜24時間以内を判断していると報告している.才木や山田らが報告しているような項目から構成された予後予測指標があれば,看護師は最適なケアを患者や家族に提供できると考える.

 本研究の目的は,文献レビューを通して,これまでに開発された終末期がん患者の予後予測指標の特徴を明らかにし,予後予測指標を開発するための課題を見出すことである.そこで既存の予後予測指標が簡便に使用可能か,全てのがんで使用できるかを明らかにするために,指標の作成場所,予測期間,構成項目,対象としたがんの種類を検討する.また日本において,成人および高齢者における死因の第一位はがんであるため,成人や高齢者を対象とした予後予測指標に焦点をあてる.なお本研究では,終末期を「病状が不可逆的かつ進行性で,その時代に可能な最善の治療により病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり,近い将来の死が不可避となった状態」6)と医師が判断した時期と定義した.また,「がん」という用語は,癌腫・肉腫・非固型悪性腫瘍をさす7)

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Ⅰ.はじめに

 放射線療法は,がんの局所制御にすぐれ身体の形態機能温存を可能にする治療法であり,その適応はがんの根治から症状緩和まで幅広い.2007年の時点で放射線療法を受けたがん患者は全がん患者の26.1%であった1)が,2017年には50%に達すると予測されている2)

 放射線療法のなかでも外照射療法は低侵襲性の治療法であることから,外来で実施される場合が多い.しかし,正常細胞の有害反応抑制目的で分割照射法が用いられる3)ため,期待通りの抗腫瘍効果を得るには長期間にわたる治療の完遂が不可欠となる.このため,外照射療法を受けるがん患者は長期間にわたり日常生活のなかに通院治療を組み込み,治療により引き起こされる有害事象などさまざまな事柄に自力で対処しながら治療の完遂を目指すことになる.

 患者自身が自分の生命,健康,安寧を維持するために自分自身で開始し遂行する諸活動はセルフケアと称される4).がん治療における放射線療法の占める割合は今後高くなると予測される2)ことから外照射療法を受けるがん患者も増加し,通院や有害事象出現に伴う日常生活の変化に対するセルフケアの必要性に直面する患者が増加していくと予測される.日常生活行動の支援を職責とする看護師には,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアを促進させ,患者が日々の生活を安寧に過ごせるよう支援することが求められる.そのためには,外照射療法を受けるがん患者に必要となるセルフケアとそれを促進する看護実践についての知見が必要となる.これまで,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアに関する研究はいくつか行われているが,それらを検討し看護実践への示唆を導いたものは現時点で見当たらない.

 そこで,本研究は,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアに関する先行文献を検討することにより患者のセルフケアの実態を明らかにし,患者のセルフケアを促進する看護実践への示唆を得ることを目的とする.本研究では,セルフケアを「外照射療法の開始前から終了後にかけて,がんの罹患および外照射療法の有害事象,それらに伴う身体的・心理的・社会的状態の変化に対処していくために自発的に開始し遂行する諸活動」と定義する.

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Ⅰ.序論

 再生不良性貧血や白血病・悪性リンパ腫などの血液・造血器疾患の根治を目指した治療方法に,造血幹細胞移植(以下,移植)がある.移植を受けた患者を対象とした国内外の先行研究を概観すると,そのキーワードは「QOL」であると考える.たとえば,藤井ら1)の無菌室管理を必要とする患者のQOL低下に関与する要因について分析したものや,移植後患者のQOLを健康関連QOL尺度を用いて一般の国民基準値と比較検討したもの2)がある.ほかにも,移植患者の疲労と身体活動に関する研究3)など,QOLを移植患者の生活環境や身体的側面から捉えた研究は数多い.また,QOLについて移植患者の病気体験や希望・生き方に対する価値観に着目した研究4)〜7)なども行われている.

 医療技術の進歩により,医療の目的は単に病気を治療することだけではなく,医療を受ける人々のQOLの向上を目指すことに変化してきた.QOLの意味するところは「生活の質」「生命の質」であることは周知の通りであるが,「Life」という言葉には生活や生命だけではなく「人生」「生き方」という意味も含まれる.つまり,単に医療を受ける人々の心理・社会的側面だけでなく,その背後にある個人の人生や生き方に対する価値観といった実存的側面に関する知の蓄積は重要である.森田ら8)は,英語圏での「spiritual」もしくは「existence」をテーマにしたターミナルケア領域の論文を概観している.そして,これらが宗教的要素と実存的要素を含めた概念として扱われており,心理・社会的因子とは異なる次元で患者ニード,QOLや抑うつ,希望や孤独感,疼痛と関連する可能性があると述べている.一方,わが国でspiritualについて着目するようになったのは,1988年のWHOの健康の定義の改正案に,「spiritual wellbeing」を加えることが採り上げられたことにある.しかしながら,その訳語が定まらず概念規定が曖昧であった.窪寺9)によると,spiritualityという言葉は,宗教学では神仏との深い関係を結ぶ中で与えられる聖潔な生き方と理解され,哲学では生を支える根拠として,特に生きる意味などの存在論から捉える傾向にあるという.このように,spiritual,spiritualityという言葉の定義は,研究領域が異なれば,その意味合いも異なっている.Heideggerは,Husserlのものごとをありのままにとらえることを本質とする現象学の考え方に影響を受けながら,独自に人間の存在とその時間性に関する考えを発展させたといわれている10).Heidegger11)はその考えの中で,「実存」とは常に自分の在り方を問題にするような仕方で存在している現存在である人間の,その在り方のことであると述べている.また,実存分析の創始者であるFrankl12)は,どんな困難な状況においても人は人生の意味を見出すことができると考えている.

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日本がん看護学会会則
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日本がん看護学会役員・評議員名簿
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投稿論文チェック表
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編集後記 森本 悦子
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欧文目次

基本情報

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日本がん看護学会誌
26巻1号 (2012年5月)
電子版ISSN:2189-7565 印刷版ISSN:0914-6423 日本がん看護学会

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