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Ⅰ.はじめに
放射線療法は,がんの局所制御にすぐれ身体の形態機能温存を可能にする治療法であり,その適応はがんの根治から症状緩和まで幅広い.2007年の時点で放射線療法を受けたがん患者は全がん患者の26.1%であった1)が,2017年には50%に達すると予測されている2).
放射線療法のなかでも外照射療法は低侵襲性の治療法であることから,外来で実施される場合が多い.しかし,正常細胞の有害反応抑制目的で分割照射法が用いられる3)ため,期待通りの抗腫瘍効果を得るには長期間にわたる治療の完遂が不可欠となる.このため,外照射療法を受けるがん患者は長期間にわたり日常生活のなかに通院治療を組み込み,治療により引き起こされる有害事象などさまざまな事柄に自力で対処しながら治療の完遂を目指すことになる.
患者自身が自分の生命,健康,安寧を維持するために自分自身で開始し遂行する諸活動はセルフケアと称される4).がん治療における放射線療法の占める割合は今後高くなると予測される2)ことから外照射療法を受けるがん患者も増加し,通院や有害事象出現に伴う日常生活の変化に対するセルフケアの必要性に直面する患者が増加していくと予測される.日常生活行動の支援を職責とする看護師には,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアを促進させ,患者が日々の生活を安寧に過ごせるよう支援することが求められる.そのためには,外照射療法を受けるがん患者に必要となるセルフケアとそれを促進する看護実践についての知見が必要となる.これまで,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアに関する研究はいくつか行われているが,それらを検討し看護実践への示唆を導いたものは現時点で見当たらない.
そこで,本研究は,外照射療法を受けるがん患者のセルフケアに関する先行文献を検討することにより患者のセルフケアの実態を明らかにし,患者のセルフケアを促進する看護実践への示唆を得ることを目的とする.本研究では,セルフケアを「外照射療法の開始前から終了後にかけて,がんの罹患および外照射療法の有害事象,それらに伴う身体的・心理的・社会的状態の変化に対処していくために自発的に開始し遂行する諸活動」と定義する.
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