近年,内視鏡的膵胆管造影手技の習熟につれて胆石の内視鏡的除去が試みられ,生検鉗子での乳頭部嵌頓結石の除去1)2)や採石具による傍乳頭痩孔を介しての結石除去3などが報告された.しかし,通常の乳頭を介しての結石の機械的除去は極めて困難であり,われわれの経験3)からも方法論の展開が必要であろうと思われた.一方,内視鏡下に高周波電気メスを用いて乳頭括約筋を切開する方法,すなわち内視鏡的乳頭括約筋切開術が1973年Kawai, K. et al4)~6),Classen, M. et al7)の,相馬ら9)により胆管結石の除去を主目的に開発されるや,急速に報告例10)~18)が増加し,現在では西独,ベルギー,フランスおよび本邦などで各施設の集計報告19)20)がなされるまでに至っている.
われわれは1974年まずサルを用いて本法の基礎実験21)を行い安全性を確認した上で,同年11月臨床応用に踏み切った.本稿ではわれわれの方法と現在までの成績を中心に報告し本法の問題点と臨床的意義につき述べたい.