臨床検査のピットフォール
尿沈渣検査における細菌判定のピットフォール
松村 隆弘
1
1北陸大学医療保健学部医療技術学科
pp.715-718
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207603
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はじめに
細菌尿は尿路感染症(urinary tract infection:UTI)において極めて重要な所見であり,UTIのスクリーニング検査として有用なのが尿定性試験と尿沈渣の鏡検である.
尿定性試験では白血球エステラーゼ試験と亜硝酸塩試験の結果がUTIの指標として用いられている.白血球エステラーゼ試験の感度は75〜96%,特異度は80〜90%であるため,陽性であれば膿尿と判断できる.一方,亜硝酸塩試験の感度は25%程度と高くはないが,特異度は>90%と高く,陽性であれば有意な細菌尿と判断可能である.しかし,偽陰性要因を考えると,一方またはどちらも陰性の場合でもUTIを否定することはできず,最終的に尿沈渣所見が重要となる.尿沈渣の結果で,膿尿〔>5WBC/HPF(white blood cell/high power field)〕,細菌(1+)を確認できれば,症状および所見と合わせUTI診断を確定することが可能となる1).
本稿では尿沈渣検査における細菌判定を中心に,注意点とその対策事項などを挙げる.
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