関節外科　基礎と臨床 42巻12号 (2023年12月発行)

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特集　骨粗鬆症のUp to date

introduction 斎藤　充 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1327-1327

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骨粗鬆症診療のパラダイムシフト－一次，二次骨折予防の重要性－中藤　真一 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1328-1339

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高齢化が進む日本において，医療・介護負担を増加させる脆弱性骨折の予防は喫緊の課題である。そのようななか一次骨折予防では，「健康日本21（第三次）」で骨粗鬆症検診受診率向上の目標値が設定された。また，二次骨折予防では2022年の診療報酬改定で二次性骨折予防継続管理料が算定できるようになるなど，骨粗鬆症診療に追い風となるパラダイムシフトが起きている。

骨粗鬆症の画像診断の進歩千葉　恒 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1340-1345

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骨粗鬆症の画像評価は，臨床ではdual-energy x-ray absorptiometry（DXA）が中心であるが，近年，trabecular bone score（TBS）やDXA-based 3D modelingといったDXAのオプション機能が開発され，研究や臨床に応用されている。一方，CTを用いた骨粗鬆症の評価法には，以前よりquantitative computed tomography（QCT）法が存在するが，現在，high-resolution peripheral QCT（HR-pQCT）の開発により，骨微細構造の評価も可能となっている。

骨代謝マーカーのUp to date 永井　隆士 , 石川　紘司 , 土谷　弘樹 , 百々　悠介 , 阪本　桂造 , 工藤　理史 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1346-1352

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破骨細胞と骨芽細胞は密接に連携して骨代謝を行う。骨代謝の繰り返しの速さを骨代謝マーカーで調べることができる。骨代謝マーカーを有効利用することで，治療戦略を計画することができ，患者のコンプライアンスを高めることが可能となる。診療に利用するにあたり，それぞれの骨代謝マーカーの特徴を理解して，データの結果を正しく判断する必要がある。

『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021改訂第3版』の要点澤口　毅 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1353-1360

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『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021改訂第3版』が2021年に発刊され，早期手術が強く推奨された。大腿骨近位部骨折の予防に有効な経口薬2剤と，注射薬4剤が推奨された。頚部骨折に対しては人工骨頭置換術が推奨され，ステムの固定に関してはセメント使用が推奨された。転子部骨折不安定型に対しては髄内釘が有利とされた。多職種連携による周術期管理，リハビリテーションが推奨された。二次骨折予防が強く推奨された。

一次・二次骨折予防のスタートとしての椎体骨折の重要性宮腰　尚久 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1361-1365

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椎体骨折は，骨粗鬆症患者に最も頻発する骨折である。既存椎体骨折の存在は，その数に応じて新規椎体骨折のリスクを増加させる。椎体骨折の多くは保存療法で治癒するが，治癒後に残存する脊柱後弯変形はさまざまな障害を引き起こし，寿命の短縮にも関与する。骨折の連鎖による悪循環を防ぐためにも，一次・二次骨折予防のスタートとしての椎体骨折への対応は非常に重要である。

軽んじてはいけない橈骨遠位端骨折：その先にある重症骨粗鬆症への進展予防の観点から酒井　昭典 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1366-1371

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橈骨遠位端骨折は，70歳前後で初発の骨粗鬆症性骨折として生じることが多い。整形外科医の多くは，骨折の治療には積極的であるが，骨粗鬆症の評価や治療には消極的である。橈骨遠位端骨折が生じた時点で適切に治療介入すれば，将来の骨粗鬆症の重症化や大腿骨近位部骨折を防ぐことができる。橈骨遠位端骨折を生じたことを単なる不幸で片づけず，その後の骨折や寝たきりを防ぐ貴重な機会ととらえて人生に役立てることが大切である。

勢揃いした骨形成促進薬Update 萩野　浩 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1372-1383

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骨形成促進薬には，副甲状腺ホルモン1型受容体作動薬のテリパラチドとアバロパラチド，抗スクレロスチン抗体のロモソズマブがあり，いずれも骨密度増加効果，骨折予防効果に優れる。これらの薬剤は骨折の危険性の高い骨粗鬆症が適応で，このような例では骨形成促進薬の先行投与が推奨され，“アナボリックファースト”とよばれる。骨形成促進薬には投与期間制限があり，ビスホスホネートやデノスマブを逐次投与することが勧められる。

生涯継続すべき骨粗鬆症治療：逐次療法Update 蛯名　耕介 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1384-1388

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骨粗鬆症治療においては，腰椎もしくは大腿骨近位部の骨密度の若年成人比較70％の獲得や，大腿骨近位部の骨密度の約3％の上昇が一定の治療目標となりうる。骨粗鬆症治療が効果不足の際は，①　弱い骨吸収抑制薬からより強い骨吸収抑制薬への変更，②　強い骨吸収抑制薬から骨形成促進薬への変更，③　内服薬から注射薬への変更，などが考慮される。重症骨粗鬆症では“anabolic first”の概念から，まずは骨形成促進薬で治療介入し，骨吸収抑制薬による逐次治療を継続することが長期的な骨折予防に有効と考えられる。

椎体骨折および高齢者脊柱変形に対する手術治療に際しての骨粗鬆症治療の重要性高畑　雅彦 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1389-1394

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骨粗鬆症椎体骨折や高齢者の成人脊柱変形に対する手術後には，骨粗鬆症に起因した合併症が高率に発生する。骨粗鬆症関連合併症を低減するためには，手術後早期からの治療あるいは計画的手術の場合には術前からの薬物治療が推奨される。使用薬剤の選択について明確な基準はないが，骨形成促進剤や強力な骨吸収抑制剤は切り札ではなく最初に行う治療として検討すべきである。

人工膝関節全置換術後のインプラント周囲骨密度・骨粗鬆症治療の重要性箕田　行秀 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1395-1400

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人工膝関節全置換術（total knee arthroplasty；TKA）は患者数増加・対象患者の若年化に伴い，今後より長期のインプラントと骨の固着性が必要になる。TKA後にインプラント周囲骨密度はstress-shieldingによって低下する。インプラント周囲骨密度低下を抑制し長期にわたるインプラントと骨の固着性を保つためには，インプラントデザイン・材質の改良，骨粗鬆症治療薬の適切な投与などの対策が望まれる。

実地整形外科医が取り組む医療連携の在り方沖本　信和 , 寺元　秀文 , 濱崎　貴彦 , 中川　豪 , 白川　泰山 , 國原　崇洋 , 東森　秀年 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1401-1406

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骨粗鬆症の病態や現状を把握すること，さらには適切で安全な治療かを確認するために医療連携は必要である。他疾患や合併症のリスクマネージメントから骨密度，MRI検査などの諸検査，さらには薬剤選択時や継続時の医療連携について解説する。ビスホスホネート，デノスマブを投与する際には医科歯科連携が必要である。まずは簡便でもよいので，その返事までを考慮した紹介状を作成するのがよい。

整形外科医にも知ってほしい骨粗鬆症：フレイル・サルコペニア連関Update 浦野　友彦 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1407-1414

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超高齢社会を迎えたわが国において，フレイル（frailty）という概念が注目されている。高齢者，特に75歳以上の後期高齢者においては，健常な状態からフレイルという中間的な段階を経て，徐々に要介護状態に陥ることが重要視されている。また，筋肉量，筋力の減少症であるサルコペニアも注目されている。フレイル・サルコペニアは骨粗鬆症と合併することが示されてきた。COVID-19感染症の蔓延に伴って，フレイルの有病率が上昇している。今後，整形外科医においてもフレイル・サルコペニアを念頭に置いた診療が重要になると考える。

連載　傷をきれいに治す～外科的治療成功への第一歩～

第3回

「傷をきれいにするための切開と閉鎖」橋川　和信 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1416-1420

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円滑で速やかな創傷治癒によって，きれいな瘢痕（傷あと）を得ることができる。ここでは手術の始まりと終わりである皮膚切開と創閉鎖に焦点を絞り，傷をきれいにするための要点について述べる。なお，真皮縫合・表皮縫合については本連載の他項を参照されたい。

連載　話したくなる　整形外科　人物・用語ものがたり

第17回

「天然痘を撲滅：ジョン・ハンターの愛弟子，エドワード・ジェンナーの試み」小橋　由紋子 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1422-1423

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世の中で人の手によって撲滅されたウイルスって何だろう？　と考えると，1980年にWHO（World Health Organization，世界保健機関）が撲滅宣言した天然痘くらいしかない（日本では1974年を最後に消滅した。世界最後の患者は1977年ソマリアのアリ・マオである）。天然痘は紀元前1万年頃にはすでに存在し，世界中に感染を広げていた猛烈に強いウイルスであった。

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目次 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1324-1325

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バックナンバー・次号予告 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1426-1426

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投稿・執筆規定 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1427-1427

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編集後記 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1428-1428

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総目次（Vol.42） 42巻12号 , 2023年12月 , pp.1429-1437

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基本情報

関節外科　基礎と臨床
42巻12号
(2023年12月発行)

電子版ISSN：2423-9666 印刷版ISSN：0286-5394 メジカルビュー社

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連載 話したくなる 整形外科 人物・用語ものがたり