関節外科　基礎と臨床 41巻8号 (2022年8月発行)

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特集　手の変形性関節症に対する手術療法　－DIP関節から手関節まで－

introduction 國吉　一樹 41巻8号 , 2022年8月 , pp.801-801

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Heberden結節に対する関節固定術牛尾　茂子 , 平瀬　雄一 , 菅野　百合 41巻8号 , 2022年8月 , pp.802-809

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人口の高齢化に伴い手指DIP（distal interphalangeal）関節症，いわゆるHeberden結節の患者数は増加の一途を辿り，手術治療の需要も増えつつある。一般的には，変形した関節面を形成し海綿骨同士を接触させてから関節を固定するが，筆者らは関節を強直させればよいと考えている。また，固定性だけでなく整容面にも配慮し，関節軟骨の切除は可能な限り最小限にとどめ，headless compression screw（HCS）を用いて関節固定術を行い良好な成績が得られている。本稿では，筆者らが行っている手術方法を紹介する。

Heberden結節の手術治療：側屈変形に対する矯正関節形成術，粘液囊腫に対する滑膜切除術沢辺　一馬 41巻8号 , 2022年8月 , pp.810-818

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Heberden結節に伴う側屈変形と粘液囊腫に対する外科的治療を述べる。治療要点は，側屈変形は変形方向に働く深指屈筋腱の部分切離を行うことであり，粘液囊腫はDIP（distal interphalangeal）関節の滑膜切除を行うことである。

Heberden結節に対する人工関節置換術櫛田　学 41巻8号 , 2022年8月 , pp.819-828

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Heberden結節〔DIP（distal interphalangeal）関節変形性関節症〕に対する外科的治療は関節固定術が広く行われている。しかし，関節固定術は決して容易ではなく，関節可動性の改善や温存を望む患者も存在する。そのような症例に対し，伸筋腱の縫合に工夫を加えたDIP人工関節置換術を行った。本術式のコツと注意点，ならびに今後の展望について述べる。

手指PIP関節変形性関節症に対する表面置換型人工関節手術−拡大背側伸筋腱縦割アプローチによる広範囲骨棘切除手技を中心に− 浜田　佳孝 , 南川　義隆 , 外山　雄康 , 大平　健二 , 木下　有紀子 , 澤田　允宏 , 中島　沙弥 , 堀井　恵美子 , 斎藤　貴徳 41巻8号 , 2022年8月 , pp.829-838

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手指PIP（proximal interphalangeal）関節変形性関節症（osteoarthritis；OA）に対する人工PIP関節置換術は，現状では除痛が目的で，シリコン型を用いた掌側進入法が主流となっている。筆者らは表面置換型を用いて掌側進入で行ってきたが，人工関節周囲の骨棘の遺残や術後再形成による可動域制限の再悪化，関節周囲の膨隆による整容的不満などの成績不良例があったため，骨関節の強直，高度変形や破壊例に対し，背側伸筋腱縦割アプローチ（dorsal central splitting approach；DCSA）を用い，改良に取り組んできた。手指PIP関節OAにも増骨性変化が優位な例と溶骨性変化が優位な例があり，症例に応じた術式の変更を行い，除痛のみならず，活動性の維持と長期にわたる可動域の改善や外観の改善を目指して取り組んできたので述べる。

Bouchard結節に対する人工関節置換術（シリコン型）林　洸太 41巻8号 , 2022年8月 , pp.839-845

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Bouchard結節に対する人工関節置換術では，伸展機構の再建が不要であるため，掌側アプローチを第一選択としている。筆者らは，表面置換型では合併症が多いこと，およびシリコンインプラントでは再置換が必要になった場合，容易に再置換が行えるという理由から，シリコンインプラントを好んで用いている。本稿ではその手術手技を中心に述べる。

母指CM関節症に対する関節固定術三浦　俊樹 41巻8号 , 2022年8月 , pp.846-850

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母指CM（carpometacarpal）関節症に対しては複数の手術選択肢があり，その選択に迷うことも多い。関節固定術は従来から行われているオーソドックスな手術法である。最近増えてきている関節形成術とも比較して，関節固定術の適応，術式，注意点・合併症について述べる。

母指CM関節症に対する鏡視下大菱形骨部分切除およびsuture button suspensionplasty 露口　和陽 41巻8号 , 2022年8月 , pp.851-860

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関節鏡は，整形外科領域において各分野で広く使用されており，手外科領域においても関節内の診断，治療に非常に有用なツールである。母指CM（carpometacarpal）関節症の術式は数多く存在するなかで，筆者は鏡視下大菱形骨部分切除とsuture button suspensionplastyによる関節形成術を行っている。低侵襲かつ良好な成績を収めており，手術方法について筆者の私見，症例を交え記載する。

母指CM関節症に対する関節形成術（耳介軟骨移植術）宇佐美　聡 41巻8号 , 2022年8月 , pp.861-869

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母指CM関節症に対する手術は多岐にわたるが，著者はEaton stageⅡ，Ⅲの症例に対し耳介軟骨移植によるinterposition arthroplastyを施行してきた。しかし，術後に第1中手骨の橈背側亜脱臼が進行する症例を認めたため，途中よりsuture button suspension（SBS法）を併用している。現在ではEaton stageⅡ～Ⅳまで適応を広げ，安定した成績を残している。これまでの治療の変遷と成績，現行のSBS法を併用した術式の手技などについて述べる。

変形性手関節症に対する関節形成術森谷　浩治 41巻8号 , 2022年8月 , pp.870-879

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Scapholunate advanced collapse／scaphoid nonunion advanced collapse（SLAC／SNAC）に対する手術治療は，手関節痛の解消および関節症性変化の進展を防ぐといった2つの目的が課せられる。代表的な術式である部分手根骨間固定術や近位手根列切除術において可動域の減少や関節症性変化の進行を厳密に防ぐことは不可避であり，手術侵襲も決して小さくない。また，SLAC／SNACが各stageへ順次進んでいくとする理論的背景は乏しく，骨切り術や関節形成術といったより低侵襲な術式を選択する報告も近年は増えている。

変形性手関節症に対する人工関節置換術松井　雄一郎 41巻8号 , 2022年8月 , pp.880-883

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当科と帝人ナカシマメディカル社とで共同開発した「DARTS人工手関節」は，関節リウマチによる手関節の高度な破壊症例に，2017年より臨床使用が可能となった。さらに最近では，高度に進行した変形性手関節症例にも適応が拡大され，高い関心が寄せられている。本稿では，この人工手関節置換術について，手術に関する最新の知識を提示する。

原著論文

3Dプリンターを使用したTPU製軟性装具の作製とデザイン例−CM関節症装具・de Quervain病装具・手関節装具− 高田　秀夫 41巻8号 , 2022年8月 , pp.884-894

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TPU（thermoplastic polyurethane）は，耐摩耗性・耐水性に優れており，ゴムのような弾性をもちながら機械的強度（引張強度・引裂強度）が高いという特徴がある。TPUを装具に使用することで水仕事が可能となり，軽量・低コスト・カスタマイズ可能というメリットも得られる。今回，3Dプリンターを使用してTPU製の母指CM（carpometacarpal）関節症・de Quervain病・手関節疾患の軟性装具を作製した。

連載　話したくなる　整形外科　人物・用語ものがたり

第1回

「“我包帯す，神，癒し賜う”Ambroise Paré：足の研究のはじまり」小橋　由紋子 41巻8号 , 2022年8月 , pp.896-897

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突然であるが私は放射線科医である。一応なんでも画像診断はできるが足関節・足部が私の専門である。足のエッセイを書くにあたり，足の研究のはじまりはいつからか調べてみることにした。

連載　先生，そのエビデンス教えてください！

第5回

「関節リウマチにおける朝のこわばりとは何ですか?」小沼　賢治 41巻8号 , 2022年8月 , pp.898-899

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「朝のこわばり」とは，起床時の手指，腰など限局した部位や，全身の関節の動かしにくさのことをいいますが，英語では「The subjective complaint of localized or generalized lack easy mobility of the joints upon arising」と定義されています。「朝のこわばり」という用語は，関節リウマチ（rheumatoid arthritis；RA）の疾患活動性の指標として，1950年代初頭から使用されるようになりました。当時はまだ診断基準はなく，評価法も1958年にRAの活動性の指標としてLansbury指数が提唱されたのみでした。1987年にAmerican College of Rheumatology（ACR）分類基準が発表されました。どちらも「朝のこわばり」が含まれており，疾患活動性やRA分類基準に重要な因子として認識されていました。現在広くRAの疾患活動性の指標として使用されているACRコアセット，Disease Activity Score（DAS）28や，2010年に発表されたACR／European alliance of associations for rheumatology（EULAR）分類基準の因子には「朝のこわばり」は含まれておらず，臨床研究における必要性は減少しているのが現状です。しかし，現在でも議論されており，「朝のこわばり」をタイトルに入れた論文は散見されます。2016年に発表された論文では，アジア太平洋の国と地域の8人のエキスパートで構成されたThe Asia Pacific Morning Stiffness in Rheumatoid Arthritis Expert Panelで，「朝のこわばり」について表1のような10個のコンセンサスが提示されています。

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目次 41巻8号 , 2022年8月 , pp.798-799

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学会案内・お知らせ 41巻8号 , 2022年8月 , pp.900-900

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バックナンバー・次号予告 41巻8号 , 2022年8月 , pp.902-902

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投稿・執筆規定 41巻8号 , 2022年8月 , pp.903-903

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編集後記 41巻8号 , 2022年8月 , pp.904-904

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基本情報

関節外科　基礎と臨床
41巻8号
(2022年8月発行)

電子版ISSN：2423-9666 印刷版ISSN：0286-5394 メジカルビュー社

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関節外科 基礎と臨床 41巻8号 (2022年8月発行)

特集 手の変形性関節症に対する手術療法 －DIP関節から手関節まで－