関節外科 基礎と臨床 39巻8号 (2020年8月)

特集 キャダバー・サージカル・トレーニングの現状と展望

introduction 國吉 一樹

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「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」の公表後,国内での遺体(cadaver)を用いたcadaver surgical training(CST)の実施例が増加している。本稿ではこのガイドラインを紹介し,CSTの現状と今後の普及に向けた課題を示す。

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医療技術の国際化が進んだ現代においても,cadaver surgical training(CST)の実施にあたっては,それぞれの国における死体を取り扱う文化的,法的背景に留意する必要がある。日本では,欧米諸国よりも,近隣のアジア諸国,とりわけ韓国とそうした背景が近いものがある。本稿では,韓国のCSTの実情を調査し,その背景にある要因につき,わが国との異同を分析した。

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Cadaver labはすべての医学部に設置されるべき組織である。本稿では,cadaver labをゼロから立ち上げる際に必要な情報を詳述する。

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医師ならびに歯科医師の医療行為に関する技術向上のため,長崎大学ではカダバーサージカルトレーニングセンターを設置し,献体遺体を用いた手術手技訓練を推進している。センター設立から現在までの状況と今後の展望について,解剖学教室の立場から述べる。

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東京医科大学における献体手術研修(cadaver surgical training)は,「サージカル担当者委員会」が中心・調整役となって,救急・災害医学分野が主催する「献体による外傷手術臨床解剖学的研究会」をはじめとして,複数分野(科)でその開催回数・領域が拡大している。

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近年,手術治療の低侵襲化が進むなかで,より専門的で高度な技術が必要とされる一方,安全で正確な知識や技術の伝達が難しい課題がある。Cadaver trainingは手術手技教育や新規医療技術開発の観点から非常に有効な手段であり,近代医療において必要不可欠なシステムである。本稿では,全内視鏡脊椎手術に関する手術手技セミナーを中心にその現状や今後の課題について記述する。

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サージカルトレーニング(cadaver surgical training;CST)は,若手医師への適切な手術手技の教育,シニア医師による実践に則した手術方法の改良や医療機器の開発と同時に,臨床解剖を通じて手術中の問題点や疑問点を解き明かす研究手法として有用であり,基礎と臨床の橋渡し研究として萌芽的な生体工学的研究に結びつく大きな役割を果たす。

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上肢の機能は精密で複雑である。上肢疾患の診断・治療にはこれらの機能解剖を理解することが非常に重要である。筆者らはさまざまなレベルに合わせてcadaver workshopを開催し,医療水準を引き上げることによって社会に貢献してきた。本稿では上肢におけるCadaver Workshopの実際を述べることで,参考になれば幸いである。

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安価な3D CADソフトと家庭用3Dプリンターを用いて,非常に軽量で固定性が強く,水仕事での使用にも対応可能な関節固定装具を作製できる。ハニカムパターンのフラットなデザインを採用することで簡単にプリントすることが可能となり,サイズバリエーションをあらかじめ準備しておくことによって,外来でもthermoforming techniqueで個人にフィットさせた装具を提供できる。

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表面加工の異なる同一社製同一形状のカップを用いて人工股関節全置換術(total hip arthroplasty;THA)を施行した症例について,術後骨反応を比較検討した。術後2年以上の経過観察において,ハイドロキシアパタイト(hydoroxyapatite;HA)コーティングカップのほうが3Dポーラスカップよりもradiolucent lineの出現が少なく,また早期にgap fillingの完成を認め,骨伝導能に優れていた。両者の臨床成績に差はなかった。

連載 スポーツドクターの現場

第9回

パラスポーツ 伊藤 倫之
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パラスポーツといっても,健常者のスポーツ同様に多数の競技が行われており,各競技によってスポーツドクターの役割は変わってくる。2021年に行われる予定の東京パラリンピックだけでも22種目のパラスポーツが行われ,各競技団体にスポーツドクターが所属している。オリンピック競技を中心に,健常者競技では各競技団体がかなり独立して活動しているが,パラリンピック競技の場合,日本障がい者スポーツ協会や日本パラリンピック委員会を中心に協力しているといった状況である。それは,パラスポーツが元来厚生労働省の管轄下であったことや,障害ごとの個別の団体から年数を経て統一されてきているという背景によるものと考えられる。特にパラスポーツでは,障がいをもっている人が参加するために医療の役割は大きく,大会前から大会後のメディカルサポートだけではなくそのほか多方向からのサポートも重要となる。さらに,視覚障がい者から身体障がい者(肢体不自由)に関しては,脳性麻痺や脊髄損傷,切断など,多岐にわたっての障害に対する知識が必要である。そのため,パラスポーツにおいてチームドクターを務めたり、大会に帯同したりするには,日本障がい者スポーツ協会公認の障がい者スポーツ医の資格が必要となってくる。

連載 私の整形外科診療のコツ

第9回

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脛腓靱帯損傷は,主に前下脛腓靱帯(anterior inferior tibiofibular ligament;AITFL)に生じやすい。骨折を伴う場合は,骨折の観血的手術の際に靱帯損傷の程度と不安定性を評価して治療を行うが,骨折を伴わない場合はしばしば治療選択に苦慮する。保存治療では遷延治癒しやすく,疼痛や不安定感が長期にわたることがあるため,重度損傷の場合は手術が必要となる。近年は,suture-button固定が広まっているが,脛腓間の安定性が十分に得られないという報告もある。suture tapeによる前下脛腓靱帯補強術は脛腓間の生理的安定性を獲得し,良好な治療成績が期待される。

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基本情報

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関節外科 基礎と臨床
39巻8号 (2020年8月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0286-5394 メジカルビュー社

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