Japanese
English
- 有料閲覧
PPV購入案内
2,200円 (2,000円+税10%) こちらは、531ページから535ページの文献です。購入には医書.jp本会員登録が必要です。
会員登録完了後に改めて上記「購入サイトへ」を選択してください。
または「購入サイトへ」選択後に「購入ログイン」、「新規会員登録」の順に進んでください。
会員登録について詳しくはをご確認ください。
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
I 消えたアカウント
私がこの特集を着想したきっかけは,Xで見ていたアカウントが突然閉鎖されたことでした。そのアカウントは20代のセックスワーカーであると名乗っていて,Xを通じてつらい境遇にある若い女性の相談に真摯に乗っているように見えました。その職業ならではの赤裸々な回答に交じって,自傷やオーバードーズ,摂食障害,家族やパートナーからの暴力,性暴力被害によるPTSD症状などメンタルヘルスに関するあらゆる相談も寄せられていました。同世代ならではの共感を示しつつ,知っていることは具体的に教え,わからないことは自分にはわからない,知っている人はいないかと呼びかけており,20年以上対人援助の仕事をしている自分からみても非常に適切に見えました。その後も時折アカウントの持ち主と相談者のやりとりを眺めていたある日,突然このアカウントの「中の人」が相談に乗る傍ら,邪な目的で別のサイトなどに相談者を誘導していると告発され,アカウントが閉鎖されてしまったのです。
これは私にとって大変衝撃的な出来事でした。若い女性が同世代の女性を対象にして「親身に相談に乗る」という行為をいわば餌にして,自分の利益のために相手にとっては望ましくない方向に誘導することがSNS上で横行しているという認識に乏しかったためです。もちろん古くから歓楽街のような場所や異性間といった関係性によってはこうしたやりとりが生じることもあり,時にはワイドショーを賑わしてきたことは知っているつもりです。ただこのアカウントに関していえば,アカウントの持ち主が「20代の風俗嬢」であると信じさせるような力がありました(X上のこの「界隈」の事情については本特集の佐々木チワワさんの論考内でも取り上げられていますので,ぜひ読んでいただければと思います)。アカウントの持ち主と相談する人とのやりとりを「専門職にはできない仲間同士の支え合い」だと思い,感心して眺めていた自分を非常に恥ずかしく思いました。そして,私からみるとたくさんの公的で安全な相談先があるのに,どうして若い女性たちがこのアカウントに相談をしていたのか真剣に考えるようになりました。同じような感想を持った専門職の方もいたようで,同世代で,自分と同じつらさを分かち合えて,ちょっとした愚痴でもお金や性の悩みでも内容を問わず,いつでも気軽に相談ができる相手が若い世代に選ばれている,こうした条件を備えた仕組みを専門職が作らないといけない,というコメントを後日X上で見かけました。

Copyright© 2026 Kongo Shuppan All rights reserved.

