特集 若者を救えるか?
「助けて」の向こう側――スクールカウンセラーの立場から
上田 勝久
1
1兵庫教育大学
pp.536-540
発行日 2026年9月10日
Published Date 2026/9/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26050536
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I はじめに
何度書き直したかわからない。
「若者を救えるか?」。この問いは私にとって相当難しいもので,最終的に行きついたのが本稿である。
企画趣旨には「学校では拾いきれないニーズや若者側から積極的には発信されない潜在的なニーズを取りこぼさないために」と記されており,このテーマに取り組むうえでさまざまな先行研究を読みこんだ。なかでも松本編の『「助けて」が言えない』シリーズ(松本,2019,2023)は白眉の論考集であり,「拾いきれないニーズ」や「言えない“助けて”」がいかなる状況や構造にて生じ,それをどう受けとめ,支援につなげていくのかが十二分に記されていた。これらの論をふまえ,スクールカウンセラーの立場から論じるならば,「地域におけるさまざまな支援機関や支援者との連携,および児童生徒への啓蒙」「心理教育や講話を通じての援助要請の意義の伝達」「子どもたちが安心してSOSを出せる大人側の姿勢や環境づくり」「要対協(要保護児童対策協議会)の充実」などが鍵となりそうである。
だが,本稿が描こうとするのは,問いに対する「解」ではなく,さらなる「問い」である。
これから私はひとつの事例を提示するが,それはいまほどに多機関連携が強調されていなかった時代の自験例であり,そして,支援に失敗した事例である。
なお,以下の事例記述に誇張はないが,一定の変更は加えていることをあらかじめおことわりしておきたい。

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