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特集 ソーシャルジャスティス――誰のための/何のための正義か?
心理職はすでに社会を変えている――門の中に入っていると思えない人のソーシャルアクション「入門」
富永 京子
1
1立命館大学産業社会学部現代社会学科
pp.416-419
発行日 2026年7月10日
Published Date 2026/7/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26040416
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社会運動の最も重要な機能・役割は何かと問われたとき,多くの人は「制度を変える」ことだと考えるだろう。また近年では「福祉につなぐ」という機能も,困窮者支援や社会的弱者包摂といった社会運動の重要な役割として見られるようになった。これらの活動は,組織的あるいは個人的なレベルで制度を活用し,政治を変革するという点において最も典型的な「ソーシャル・ジャスティス」の実現だと捉えられてきたが,必ずしも社会運動はそうした行動に限るものではない。
今回,「ソーシャル・ジャスティス入門」という主題で寄稿依頼を受けたが,社会運動研究者である筆者の答えとしては,心理職はすでに日々の労働を通じて社会運動をしており,ソーシャル・ジャスティスを実現している,というものになる。さらに言えば,心理職は,むしろ社会運動に携わる人々が放棄しがちな「目の前の人の心」にアプローチするという点で,社会運動と相互補完的な役割をなすのではないかと考えている。
特集編者による特集趣旨で「目の前のクライエントの心を考えることも大切な仕事でありますが,社会や制度に関わる仕事や組織に働きかけていく仕事,つまり構造的不公正に働きかけることも,葛藤がぶつかる中で人の心を尊重することも,心理職の大切な仕事」といった一文が見られるが,私はこの主張に同意しつつ,以下のように提示し直したい。社会や制度に関わる仕事や組織に働きかけていく仕事,つまり構造的不公正に働きかけることも社会運動だが,目の前のクライエントの心を考えることも社会運動なのである,と。

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