連載 リレーエッセイ 医療の現場から
ソーシャルアクションに挑む
田澤 貴至
1
1医療法人春秋会城山病院地域医療連携室
pp.247
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102233
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1982年,当時4歳だった私はⅠ型糖尿病を発症して意識不明に陥り,緊急入院となった.以来,Ⅰ型糖尿病を抱えながら,現在は医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)として働いている.
Ⅰ型糖尿病患者(以下,Ⅰ型患者)の多くは私のように小児の頃に発症し,1日4回(多い人では8~10回)の血糖測定とインスリン注射が欠かせない.加えて,長年の闘病に伴い合併症が出てくるケースも多く,こうした治療にかかる高額な医療費は患者にとって重い負担となる.経済的な理由から,受診抑制に陥るケースも少なくない.さらに社会的問題として,就学,就職,結婚などの際に偏見の目で見られることが未だにある.特に,健康な人と同じように働けるにもかかわらず健康診断で不採用とされることは,治療費の問題をいっそう深刻にしている.
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