Japanese
English
症例報告
前房内に特異な蛋白質の結晶化を生じた1例
富原 竜次
1
,
松田 順繁
1
,
髙橋 良彰
1
,
朱 さゆり
1
,
平野 隆雄
1
,
玉田 亘
2
,
上原 剛
2
,
村田 敏規
1
1信州大学医学部眼科学教室
2信州大学医学部附属病院臨床検査部
キーワード:
前房内腫瘤
,
虹彩腫瘍
,
蛋白質の結晶化
,
Bence-Jones蛋白
,
高ガンマグロブリン血症
,
リンパ増殖性疾患
Keyword:
前房内腫瘤
,
虹彩腫瘍
,
蛋白質の結晶化
,
Bence-Jones蛋白
,
高ガンマグロブリン血症
,
リンパ増殖性疾患
pp.455-462
発行日 2026年5月5日
Published Date 2026/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004661
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- 参考文献 Reference
虹彩に形成される腫瘍や腫瘤性病変には外観では鑑別困難なものもあり,確定診断には生検が有用である。我々は生検施行後も診断困難であった前房内腫瘤性病変を経験したので報告する。症例は61歳女性。左眼の霧視,眼痛を主訴に近医を受診し,前房内下方に白色透明の米粒状集塊を認めた。左眼の矯正視力は0.15と低下し,レーザーフレア値は453.3pc/msecと上昇していた。既往歴にMALTリンパ腫,多クローン性高ガンマグロブリン血症やリンパ増殖性疾患があったが,頭部造影MRIでは前房内腫瘤性病変に造影効果を認めなかった。ステロイド点眼での消炎とともに病変の若干の縮小が認められ,腫瘍性よりは炎症性由来も疑われたが,確定診断目的に摘出術を施行した。病理組織検査ではヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で赤色均質無構造に染まる蛋白質様の物質が確認され,その周囲に細胞が集簇していた。蛋白質様物質の周囲の細胞は免疫染色においてcytokeratin陰性であったことから上皮性悪性腫瘍は否定的であり,一方でCD163陽性であったことから単球やマクロファージと判明し,蛋白質様物質に対して炎症反応が起こっていたものと考えられた。腫瘤摘出後12か月以上経過する現在,左眼の矯正視力は0.8まで改善し維持されており,病変の再発はみられていない。形質細胞やリンパ球が増殖する疾患を既往にもつ前房内腫瘤の症例に対し,生検を施行したにもかかわらず確定診断は困難であったが,腫瘍性病変の否定とともに,前房内炎症により生じた特異な病変としての蛋白質の結晶化を確認することができた。

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