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どんな薬?
ブレオマイシンは1960年代初期に日本で発見・開発された殺細胞性抗がん薬です.細菌学者で抗生物質開発者であった梅澤濱夫先生が,結核に有効な抗生物質を探索している際に抗腫瘍効果がある抗生物質として発見しました.現在でも多くのがん種で使用されている抗がん薬ですが,併用療法として使用することがほとんどです.とくにホジキンリンパ腫のABVD療法(ドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,ダカルバジン),精巣がん(胚細胞腫瘍)のBEP療法(ブレオマイシン,エトポシド,シスプラチン)ではキードラッグになっています.
ブレオマイシンはドキソルビシンなどほかの抗腫瘍性抗生物質で高頻度に出現する汎血球減少は少ないのですが,皮膚や肺に比較的高濃度に分布されるため,脱毛や皮膚硬化,爪の変化,口内炎などの皮膚障害と間質性肺炎・肺線維症などの肺障害が出現することが報告されています.とくに肺障害については致命的な経過をたどることがあるため,使用前のアセスメントと治療中・治療後の呼吸器症状のモニタリングが重要です1,2).
ブレオマイシンによる肺障害は古くから知られていましたが,分子標的治療薬(EGFR-TKIなど)や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって,薬剤性肺障害の認知が強まり,要注意な副作用の一つとなりました.ブレオマイシンの肺障害(間質性肺炎・肺線維症)出現頻度は約10%と報告されています.とくに,肺に基礎疾患を有する患者や60歳以上の高齢者,胸部およびその周辺部への放射線照射を受けているあるいは受けた患者,総投与量300mg(力価)以上の場合に,発現頻度が増すことがわかっています.年齢別の発生頻度は,50歳未満で5.9%,60代で10.9%,70代で15.5%と上昇するため,高齢者に投与する場合は慎重な支援体制が必要になります.また,ブレオマイシン総投与量との関係では,150mg(力価)以下6.5%,151~300mg(力価)10.2%,301mg(力価)以上18.8%と総投与量の増加に伴って発現率が上昇していることもわかっているため,総投与量300mg(力価)以下とすることが大切です2,3).
薬剤性肺障害の出現リスクからブレオマイシン使用が適切であるかを判断するために,事前の既往症や治療歴などの情報を十分にとり治療決定をするとともに,患者に対して十分な説明をする必要があります.治療開始後は,自覚症状のモニタリングと身体所見,検査所見,画像検査(胸部CT)所見を十分に観察し,可能な限り早期対応(薬剤の投与中止,ステロイドの投与など)を行うことが重要です.

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