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特集 内科医が診る救急疾患,マイナー疾患
10.精神疾患:カタトニア,悪性症候群,セロトニン症候群—診断に至らずとも,支持療法に徹すれば道は拓ける
久村 正樹
1
Masaki HISAMURA
1
1藤田医科大学 岡崎医療センター 救急科
pp.387-403
発行日 2026年7月1日
Published Date 2026/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090130020387
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カタトニア,悪性症候群,セロトニン症候群の診断には,苦慮する場合が多い。それは,いずれも軽症から重症まで多彩な症状を示し,明確な診断基準が確立していないためである。精神疾患に関連した身体疾患であるため,精神科医であればまだ診断可能な場合もあるのだろうが,救急外来や集中治療室,一般病棟など,精神科医不在の現場で遭遇することもまれではない。
発症率は,カタトニア0.01%1),悪性症候群0.02〜3%2)との報告がある。セロトニン症候群は通常服薬量では1%未満だが,セロトニン作動薬を大量服薬した患者では14〜16%3)と報告されている。少なくない頻度であり,すべての医師が認知できることが望ましい。致死率は,カタトニア10%4),悪性症候群は30日時点で4.7%,90日時点で9.9%,1年時点で最大15.1%5)との報告がある。セロトニン症候群の致死率は不明であるが,死亡例も報告され,致死的になり得る疾患であり,適切な診断と治療が必要であろう。しかし,輸液,栄養投与,感染症対策といった集中治療の支持療法だけで回復することも多く,診断に至らなくとも,常にバイタルサインを安定させるように対応することが重要である。
本稿では,カタトニア,悪性症候群,セロトニン症候群,それぞれの概要・原因・診断と治療について述べる。概要では,歴史的な経緯を知っておくと理解の深まるものについては記載している。診断については診断基準の限界について言及し,その場合の対応法について説明する。また,これらの症候群は鑑別に悩むことも多いため,鑑別の要点も述べる。できるだけ非精神科医としての視点で論を進める*1。

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