特集 わが国の司法精神療法の展望
医療観察法入院処遇における心理社会的療法
賀古 勇輝
1
1北海道大学病院附属司法精神医療センター
pp.542-547
発行日 2026年8月5日
Published Date 2026/8/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52040542
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はじめに
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下,医療観察法)は,平成17年に施行され,令和7年に20年を迎えた。重大な他害行為とは,殺人や放火,強盗,不同意性交等,不同意わいせつ,傷害(傷害以外は未遂も含む)を指し,心神喪失もしくは心神耗弱と判断されて,不起訴もしくは無罪,執行猶予付き判決となった場合に,地方裁判所での審判を経て処遇が決定される。約7割の対象者が入院処遇となり,全国に35カ所(令和8年現在)ある指定入院医療機関(医療観察法病棟)に入院となる。
筆者が所属する北海道大学病院附属司法精神医療センター(以下,当センター)は,全国34番目の指定入院医療機関として令和4年に北海道に初めて設置された。開設後約3年間は心理士の人員が不足していたため,筆者は医師として勤務すると同時に,臨床心理士と公認心理師資格を有していたことから心理士として多職種チーム(Multi-Disciplinary Team : MDT)に入り,患者の心理療法を担っていた。このことから,医師と心理士両方の視点で司法精神療法を紹介すると同時に,医療観察法病棟で広く行われている各種の心理社会的療法について解説したい。

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