連載 ケースの見方・考え方
場面緘黙のある児に対するオンライン介入の可能性――段階的アプローチとペアレントトレーニングを適用した事例とその後
井上 雅彦
1
,
山中 智央
2
,
嘉手苅 瑠輝
3
,
茶原 雅史
4
,
吉川 徹
5
1鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座
2島根大学 教育研究推進学系 障がい学生支援室
3鳥取大学医学部附属病院 新規医療研究推進センター
4鳥取大学大学院医学系研究科医科学専攻 博士後期課程
5愛知県西三河福祉相談センター
pp.229-239
発行日 2026年4月5日
Published Date 2026/4/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52020229
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はじめに
鳥取大学医学系研究科附属臨床心理相談センター(以下センター)は,同研究科臨床心理学専攻で学ぶ学生の公認心理師・臨床心理士取得のための臨床実習機関として位置づけられ,年間延べ628件(2024年度)の相談を地域から受け入れ,教員と学生で幼児期から成人期までを対象とした心理臨床活動を行っている。しかしながら,患者に高い不安があるなど,本人の来談が困難な場合,保護者(多くは親)のみが来談する場合がある。このような場合,親を通じた間接的介入にならざるを得ないが,インターネットを介して本人に対してアプローチすることが可能なケースがある。
本ケース報告は,当初センターへの通所を拒否していた場面緘黙(Selective Mutism : SM)の診断と自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder : ASD)傾向が指摘された9歳女児に対してインターネットを介して段階的に曝露療法を実施し,やがて来談が可能になった事例である。また母親には場面緘黙に特化した行動的親訓練(BPT)を開発し提供した。本事例は,Yamanakaら(2024)として症例報告を行ったケースであるが,来談後の経過も含めて再検討していきたい。

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