活動報告
岡山県勝英地域の発達障害のある子どもの保護者を対象としたペアレントトレーニング事業における10年間の参加者層の変化
岩田 直也
1
,
吉元 映子
2
,
立石 奈緒子
2
,
上野 恵里
2
1社会福祉法人旭川荘
2勝英地域自立支援協議会
pp.56-61
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201802
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.はじめに
目的
発達障害のある人の家族等への支援の重要性が示され,さまざまな支援が各地で展開されている。この家族支援の1つであるペアレントトレーニング(以下,PT)は,家族に対する有効なプログラムとして各地でその実践が広がっている。
岡山県の北東部に位置する勝英地域(美作市,勝央町,奈義町,西粟倉村で構成される人口約4万4000人の山間地域)でも,2009年より勝英地域自立支援協議会(以下,協議会)を実施主体とした勝英地域ペアレントトレーニング(以下,勝英PT)を実施してきた。
この勝英PTは,もともと地域に発達障害児を専門とした医療機関や療育機関がなく,子どもの状態に応じた専門的な療育を受けることが困難な状況に対して,発達障害のある子どもを持つ保護者らのPTを受講したいとの要望を受け,母子保健を担う保健師が中心となり事業が開始されたことがきっかけとなっている。
開始当初は発達障害のある子どもを持つ保護者の家庭療育に関する知識の向上やストレスの軽減を目的としてきた。これが,療育機関のなかった勝英地域にも児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所が開設されるなど,地域の状況が変わったことで勝英PTの対象となる参加者層にも変化が見られるようになってきた。そこで,勝英PTに参加した保護者と子どもの基礎情報を基に,事業開始から10年間の参加者層の変化や特徴についてまとめる。
また,参加者層の変化からニーズの変化を読み取り,この変化に対応するために運営スタッフがどのように取り組んできたかについて報告する。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.