特集 アディクション支援のフロントライン
更生保護施設における薬物依存者支援における退所後の地域連携について
森田 展彰
1
,
山口 玲子
2
1筑波大学医学医療系
2筑波大学附属病院小児科
pp.176-182
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070176
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Ⅰ はじめに
更生保護施設は,矯正施設から出所・出院した人や保護観察中の人で,身寄りがなく,帰るべき住居がないことや,現在住んでいるところでは更生が妨げられるおそれがあるなどの理由で,直ちに自立更生することが困難な人に対して,一定期間,宿泊場所や食事を提供する民間の施設である(法務総合研究所,2020)。宿泊場所や食事の提供を行うだけでなく,保護している期間,必要な支援などを行い,自立を援助することで,その再犯や再非行の防止も行っている。こうした機能をもつ更生保護施設において,薬物事犯についてもその社会復帰と再犯防止に大きな役割を果たすことが期待されている。また,2015年には,法務省保護局と厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部との連名で「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」(法務省HP)が公表されたが,この中で地域連携の中心的な民間機関の1つとして,更生保護施設は位置づけられている。筆者は別の論文(森田他,2019;森田,2023)で更生保護施設内での対応についてまとめたので,本稿では,更生保護施設で行われている施設退所後の地域の薬物依存支援について相談機関へのつなぎやアフターフォローの支援についてその実態や効果を示した。

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