特集 はたらく人たちのウェルビーイング―‘はたらき方’というよりも,‘企業風土’の改革を
「空気」を作る―企業外から働きかけるサイコロジストの視座からハラスメントについて
武藤 みやび
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1合同会社liaison aide
pp.69-70
発行日 2025年2月5日
Published Date 2025/2/5
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2022年4月からすべての事業主にパワーハラスメントを防止するための取り組みが義務づけられたが,あなたの職場ではどのような取り組みをしているだろうか。ハラスメント相談窓口の設置や研修だろうか。弊社では企業にメンタルヘルスやハラスメントに関するサポートを提供しており,ハラスメント対策の一つとして研修依頼も受けるが,理解や認識の差は大きくなっていると感じる。
「NOハラスメント」の標語のもとに「ハラスメントをなくす」ことを目的とする従来の研修では,ハラスメントか否かに意識が向き「線引きを教えて」「NG集がほしい」という要望があがる。ハラスメントと訴えられることを恐れ「できるだけ関わらない」選択をする人が増えていく。これではコミュニケーションの断絶を招き,かえって悪循環を生み出してしまう。実際,NOハラスメントを前面に押し出すあまり,ハラスメントに対する拒否感やアレルギー反応が起こり「ハラハラ(ハラスメントハラスメント)」なる言葉まで登場し,ハラスメント被害を訴える人に冷ややかな視線を送る人が現れ,本末転倒な様相を呈している。
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