Review of Books Abroad
Edit by Mark Solms :The Revised Standard Edition of the Complete Psychological Works of Sigmund Freud
岸本 寛史
1
1静岡県立総合病院
pp.957-958
発行日 2024年12月5日
Published Date 2024/12/5
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2024年6月に,Mark Solms編集によるジークムント・フロイト心理学著作全集改訂標準版全24巻が出版された。Stracheyによる標準版を改訂すると公式に発表されたのが1991年なので,刊行まで実に33年を要したことになる。多くの協力を得たとはいえ,基本的にはSolmsが編集者として全集の全文を原著(ドイツ語)と照らし合わせて確認し,多くの困難を乗り越えてこの膨大な仕事を成し遂げたことに畏敬の念を覚えずにはいられない。さらに,Solmsはこの間,一流の神経科学者と共同研究を行い,神経精神分析学会を立ち上げ,いわば,精神分析そのものも改訂してきた。最近出版された『意識はどこから生まれてきたのか』(Solms, 2023)は「意識の謎」の核心に迫って多方面に大きな反響を呼んでいる。
James Stracheyがフロイトの心理学に関する全著作を英訳し,「標準版」として刊行したのは1953年から1966年にかけてであった。「標準版」は広く賞賛をもって迎えられたが,刊行当初から批判もあり,1980年代になると批判が噴出した。批判の内容については後述するが,これを受けて,標準版の監督権を有し共同出版者でもあったロンドン精神分析研究所が1989年にこのテーマに関してシンポジウムを開催し,雑誌でも特集を組んで議論を行った。そして1991年,標準版を改訂することが公式に表明されたというわけである。
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