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New Englandのなかでも,とりわけ汚れない大自然を誇るNew Hampshire,その広大なWhite MountainNational Forest北東端に位置するBretton-Woods,この美しい田舎町が第二次大戦後,Nixonドル・ショックにいたる27年間の世界通貨機構(IMF)発展に繋がるBretton-Woods協定の舞台であつた。IMF一方的破約により米国が半ば強制した世界の変動為替相場は,まさに生体の防禦・経済機構を彷ふつさせるものがあつた。我々の住む科学の世界でも,人物交流や情報交換のスピード・アップ,地球上の距離感の脅威的短縮によつて,流動通貨としてのtechnical termsのおどろくべき細分化が奔流の如く我々を取囲みつつあり,とりわけ,過去10年間のneuroscienceにおける著しい分野の拡延は目を瞠るものがある。このような情勢のもとで,特に神経科学の基盤であり,発祥点である胎生学用語の国際通貨に万国共通の流通裏付を持とうとしたのがThe BoulderCommitteeであり,これまた閑寂な中西部コロラド州,River Platteに臨む小都市Boulderが選ばれその名を冠して広く世界に呼びかけられたのである(Sidman:Anat.Rec.166:257,1970)。
新事実の急速な積上げ作業の中で,世界のexpertの持つ言葉とその概念が厳密に同一であることの重要性は多く言葉を要しない処である。筆者らは最近同リポートの普遍性が我々の期待よりも低い現実にかんがみ,ここに日本のNeuroにおける代表格である本誌上をかりて,その概要をのべ,筆者ら自ら体験しつつある2,3の現実の問題について小文をお送りする所以である。
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