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1 慢性疼痛へのアプローチ
慢性疼痛は,通常の治癒に要する期間を越えてもなお持続する痛みで,一般的には3カ月以上続くものである(Merskey & Bogduk, 1994)。慢性疼痛の発症や維持には,怪我や障害といった器質的・生物的要因に加えて,破局的思考や反芻といった認知的要因,うつ・不安・怒りなどの感情的要因,日常生活や余暇活動の制限といった行動的要因,さらには人間関係や経済状況などの社会的要因など,多くの心理的・社会的要因との関連が認められている(慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ,2021)。
このような慢性疼痛を抱える人への支援では,痛みそのものの完全な除去を目指すよりも,痛みとうまくつきあいながら生活の質(Quality of Life : QoL)や日常生活動作(Activities of Daily Living : ADL)の向上を目指すことが第一目標とされる(慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ,2021)。そのための治療体制として多職種による集学的・学際的アプローチが推奨され,心理的アプローチがその一端を担っている。そのなかで,多くの臨床試験から現時点で最も有効とされるのが,認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy : CBT)に基づくアプローチである(Williams et al., 2020)。
慢性疼痛に対するCBT(CBT for Chronic Pain : CBT-CP)にもさまざまなものがあるが,本稿では筆者らが開発した全8回のCBT-CPプログラム(堀越,2016 ; 2022)を用いて,アセスメントから介入に至るまでの一連の流れを紹介する。このプログラムは,使用する技法を可能な限り絞り込んで,介入の流れを構造化したものである(表1)。大枠としては,ClのQoL向上につながる活動を同定し,ペーシングを取り入れてその活動への取り組みを促すとともに,認知再構成によってその継続を支援していくものである。2025年5月現在,本プログラムのテキストおよびマニュアルは,以下の研究用ウェブサイトより無償でダウンロードできる(https://jacc-pain.wixsite.com/sanka/material)。詳細は同サイトを参照してほしい。

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