Editorial
妖怪のせいなのね
松村 真司
1
1松村医院
pp.1069
発行日 2014年12月15日
Published Date 2014/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414200097
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ポケットモンスター,略してポケモンが不動の地位を占めていた子ども向け人気キャラクターの座を,近年新たに登場した妖怪ものアニメが脅かしていることが話題である.確かに,今年の地元小学校の運動会では,競技の合間にBGMとともに子どもたちが「ようかいたいそう」を踊っていた.デパートに行けば,かつて長蛇の列ができていた赤いボール型ではないほうのマシンに子どもたちの長蛇の列ができている.関連グッズは発売と同時に売り切れ,問い合わせも多いのだろう,売り場には「次回の入荷は未定」と書かれた紙が貼られている.試しに当院の待合室にマンガを置いてみたところ,子どもたちはみな読みかけの本を握りしめて診察室に入って来る.本号が発行されるころには劇場映画も封切られるそうなので,少なくとも当分この人気は続くと思われる.
ヒットの理由は多々あるのだろうが,その一つが,現代の子どもたちの日常を研究し,周囲で起こる出来事をストーリーの中心にしている点である,といわれている.論理では解決しない現象が,人知の及ばない妖怪という実体により引き起こされ,それが,時計,というありふれた道具を用いて可視化され制御可能になる,というストーリーは確かに魅力的である.車内検札に来た時に限ってさっきまであったポケットに切符がない,保存していない時に限ってパソコンがフリーズし作ったファイルが消えてしまう.そんな日常の出来事がすべて妖怪のせいなら,私もお友達になっておきたいものである.
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