特集 学派論――公認心理師時代に学派を再考する
家族療法のすすめ
藪垣 将
1
1藪垣心理療法研究室
pp.706-711
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25060706
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I はじめに
家族療法の強みや気に入っている点などについて語るように,とご依頼をいただいた。興味深いテーマだと思いお引き受けしたものの,さまざまな難しさを感じた。この難しさの正体は何なのか,思索の末に私が見出したのは次の3点だった。
1点目は,精神分析や認知行動療法などと並列し,家族療法を単一の学派として見做すことへの戸惑い。2点目は,個人は単一の学派を信奉する,というア・プリオリな前提への違和感。3点目は,「学派」と「統合」というおよそ対極に位置付けられる概念(中釜,2010)への理解。これらはいずれも,学派という概念を論じる上で,家族療法に固有の難しさである。
さて,本誌の読者,とりわけ家族療法に馴染みのない方々と,これらについて共有させていただいた上で本題に入りたい。そこで,本稿は次のような構成とする。まず「家族療法とは何か」について簡潔に整理して示す。続いて,私の家族療法について紹介する。最後に,家族療法の優れている点について論じる。

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