特集 性暴力―「起きた後/起こる前」に支援者は何ができるか?
学校における子どもの性暴力
櫻井 鼓
1
1追手門学院大学心理学部
pp.230-233
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25020230
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田舎で過ごした私の子ども時代は今から数十年前のことで,放課後になると学校に遅くまで残って校庭で遊んだり,大人に知られていない秘密基地を作ってきょうだいで遊んだりしていた。秘密基地では,きょうだいの間だけで通じる,ごっこ遊びとは表現できない,真剣なドラマみたいなものが繰り広げられていた。ある日,知られていないと思っていた秘密基地でいつものように遊んでいたところ,帰宅時間を心配した母親が迎えに来た時には心底驚いたが,今から思えば,秘密基地があることは知っていて,ある程度の危険があることを承知しながらも,大人の心で見てくれていたのだろう。私は不思議と,その後は秘密基地に行くことはなくなり,成長していった。
相応に「知る」ことの大切さは,性暴力の問題にひとつの理解の軸を示す。

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