論評
必要不可欠な医薬品を国民に届けるために―国民が必要とする医薬品をなぜ企業は生産できないのか
奥田 智彦
1
,
多賀 沙代子
2
1薬価流通政策研究会・くすり未来塾事務局協力メンバー/Meiji Seikaファルマ株式会社経営戦略本部広報・渉外部
2薬価流通政策研究会・くすり未来塾事務局協力メンバー/Meiji Seikaファルマ株式会社経営戦略本部広報・渉外部
pp.14-23
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2951005
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はじめに 巨大地震や大型ハリケーン、大規模森林火災などをはじめとした自然災害、生物・化学・核兵器を使用したテロや戦争の勃発、そして新興・再興感染症によるパンデミックなど、世界は様々な脅威にさらされている。これら不測の事態に備え、平時より必要な措置を講じることが肝要である。このうちパンデミックに関しては、2020年初頭から爆発的な感染拡大を見せたCOVID-19が世界を震撼させた。マスクや医療用ガウン、消毒液や医薬品、人工呼吸器など、COVID-19の診断や治療に必要なありとあらゆる資材が不足し、社会を大きく混乱させる事態となった。現在、COVID-19が収まりを見せつつある一方、COVID-19の蔓延期に「なりを潜めていた」各種ウイルスや細菌感染症がじわじわと増加し、感染症治療で汎用される対症療法薬(鎮咳・去痰薬、解熱鎮痛薬等)が手に入らない状況が続き、加えて細菌感染症の治療に不可欠な抗菌薬も軒並み品不足となり、大きな社会問題となっている。
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