特集 脳血管障害
総説 脳卒中治療の新たな展開と患者支援
急性期脳梗塞における抗血小板薬2剤併用療法の現状と課題,プラスグレルの新たな可能性
阿南 悠平
1
,
藤本 茂
1
1自治医科大学内科学講座神経内科学部門
キーワード:
▶急性期脳梗塞においては,DAPTは短期的再発抑制に有効であることが複数の臨床試験により示されてきた.
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▶「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕」は,非心原性脳梗塞/TIAに対して発症24時間以内の開始を前提とした短期間DAPT(1ヵ月以内を目安)を推奨している.
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▶DAPTは出血リスクの増大や,クロピドグレルの薬物動態に関わるCYP2C19遺伝子多型の影響など,臨床上の問題点も指摘されている.
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▶プラスグレルやクロピドグレルの血小板凝集抑制効果はPRU値が指標となる.
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▶プラスグレルはCYP2C19遺伝子多型の影響を受けにくいことが,日本人のようにCYP2C19 Intermediate/Poor Metabolizer が多い集団においては臨床上重要である.
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▶PRASTRO Ⅰ~Ⅲの3つの臨床試験の統合解析から,プラスグレルはアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞患者における二次予防の選択肢となる.
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▶ACUTE-PRAS試験の結果から,急性期においてもプラスグレルによる安定した抗血小板効果が証明された.
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▶プラスグレルの使用が既存のDAPTに代わる新たな標準治療となる可能性が期待される.
Keyword:
▶急性期脳梗塞においては,DAPTは短期的再発抑制に有効であることが複数の臨床試験により示されてきた.
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▶「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕」は,非心原性脳梗塞/TIAに対して発症24時間以内の開始を前提とした短期間DAPT(1ヵ月以内を目安)を推奨している.
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▶DAPTは出血リスクの増大や,クロピドグレルの薬物動態に関わるCYP2C19遺伝子多型の影響など,臨床上の問題点も指摘されている.
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▶プラスグレルやクロピドグレルの血小板凝集抑制効果はPRU値が指標となる.
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▶プラスグレルはCYP2C19遺伝子多型の影響を受けにくいことが,日本人のようにCYP2C19 Intermediate/Poor Metabolizer が多い集団においては臨床上重要である.
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▶PRASTRO Ⅰ~Ⅲの3つの臨床試験の統合解析から,プラスグレルはアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞患者における二次予防の選択肢となる.
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▶ACUTE-PRAS試験の結果から,急性期においてもプラスグレルによる安定した抗血小板効果が証明された.
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▶プラスグレルの使用が既存のDAPTに代わる新たな標準治療となる可能性が期待される.
pp.21-27
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.01_006
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はじめに
日本における虚血性脳卒中は依然として主要な死亡・要介護状態に至る原因であり,再発予防は医療・社会の両面で大きな課題である.Shiga Stroke and Heart Attack Registryの報告では,アテローム血栓性脳梗塞の再発率は1年で4.4%,2年で9.4%,ラクナ梗塞では1年で3.2%,2年で6.1%とされ,病型によらず決して低くない.急性期脳梗塞の再発予防における抗血小板療法は,古くから研究が積み重ねられてきた分野である.特に脳小血管病変やアテローム血栓性脳梗塞においては,アスピリン単剤療法に加えてクロピドグレルとの併用,いわゆる抗血小板薬2剤併用療法dual antiplatelet therapy(DAPT)は短期的再発抑制に有効であることが複数の臨床試験により示されてきた1,2).さらにCHANCE/POINT試験の統合解析は,再発の多くが発症7日以内に集中することを明確にし,急性期にいかに虚血イベントを抑え込むかが鍵であることを示した3).しかしDAPTは出血リスクの増大や,クロピドグレルの薬物動態に関わるCYP2C19遺伝子多型の影響など,臨床上の問題点も指摘されている.そのような背景の下,抗血小板薬としてプラスグレルが脳梗塞の再発抑制に適応されるようになり,その効果と安全性に注目が集まっている.

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