特集 虚血性心疾患
セミナー 臨床医が知るべき虚血性心疾患の病態と診断
画像検査で虚血性心疾患を診断する ─CT/MRI/核医学検査─
千村 美里
1
1グラスゴー大学
キーワード:
▶VSAの診断においては,CCTAによりCADを除外することが重要であり,高い陰性適中率を有するCCTAは実臨床で有用とされるが,冠攣縮の直接評価には限界がある.
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▶123I-BMIPP心筋シンチグラフィは,VSA診断において比較的高い感度と特異度を有し,虚血メモリー効果により発作後でも代謝異常を検出可能であるが,CADとの鑑別には注意が必要である.
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▶CMDの評価において,13N-アンモニアPETはMBFおよびMFRの定量評価が可能で,CMDの診断および予後予測に有用である.
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▶負荷心筋パーフュージョンMRIは高い感度・特異度を持ち,PETに匹敵する診断能を示し,CMDの存在を示唆する所見も得られるが,技術的・制度的な制約がある.
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▶VSA,CMDの非侵襲的評価には複数の有用な画像法が存在するが,それぞれ適応・限界・施設の体制による制約を考慮し,適切な選択と運用が求められる.
Keyword:
▶VSAの診断においては,CCTAによりCADを除外することが重要であり,高い陰性適中率を有するCCTAは実臨床で有用とされるが,冠攣縮の直接評価には限界がある.
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▶123I-BMIPP心筋シンチグラフィは,VSA診断において比較的高い感度と特異度を有し,虚血メモリー効果により発作後でも代謝異常を検出可能であるが,CADとの鑑別には注意が必要である.
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▶CMDの評価において,13N-アンモニアPETはMBFおよびMFRの定量評価が可能で,CMDの診断および予後予測に有用である.
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▶負荷心筋パーフュージョンMRIは高い感度・特異度を持ち,PETに匹敵する診断能を示し,CMDの存在を示唆する所見も得られるが,技術的・制度的な制約がある.
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▶VSA,CMDの非侵襲的評価には複数の有用な画像法が存在するが,それぞれ適応・限界・施設の体制による制約を考慮し,適切な選択と運用が求められる.
pp.1529-1531
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.10_013
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冠攣縮性狭心症(VSA)の診断における非侵襲的画像診断の意義
1. 冠動脈CT(CCTA)による評価
冠攣縮性狭心症vasospastic angina(VSA)における安静時胸痛発作は,器質的な高度狭窄による心筋虚血においても出現しうるため,器質的冠動脈疾患coronary artery disease(CAD)の除外は診断上極めて重要である.冠動脈CTアンジオグラフィcoronary computed tomography angiography(CCTA)は,高い陰性適中率を有し,閉塞性CADの除外を目的とした検査として有用である.一方で,CCTAは冠攣縮発作時にその動的変化を直接的に描出することは困難であり,通常,撮像前にニトログリセリンが投与されて冠動脈が拡張されることから,冠攣縮の存在を評価するうえでは限界がある.また,CCTAで器質的狭窄が認められた場合でも,冠攣縮の併存の可能性を否定できない点には注意が必要である.さらに,CCTA施行時にβ遮断薬は,冠攣縮の増悪を引き起こす懸念があるため,VSAが強く疑われる症例では慎重な対応が求められる.なお,カルシウム拮抗薬(例:ベラパミル,ジルチアゼム)は心拍数抑制作用を有しており,これらの薬剤を用いることでβ遮断薬の使用を回避することも一つの選択肢となる.

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