特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
トピックス
血液や尿検査による早期発見の可能性 ─腫瘍マーカー検査とMCED検査の現状でのエビデンス─
中山 富雄
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1国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部
キーワード:
▶がん患者の経過観察用に用いられるCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを,がんの早期発見用に用いた感度は20%に満たない.
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▶血液や尿で,全身のがんの早期発見を試みる検査法をMCED検査と呼ぶ.
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▶リキッドバイオプシーによるMCED検査が期待されているものの,前向き研究では期待される精度に到達していない.
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▶研究手法により感度・特異度は大きく変動することが知られており,検診への導入にはリアルワールド・セッティングでの前向き研究での感度・特異度の評価が必須である.
Keyword:
▶がん患者の経過観察用に用いられるCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを,がんの早期発見用に用いた感度は20%に満たない.
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▶血液や尿で,全身のがんの早期発見を試みる検査法をMCED検査と呼ぶ.
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▶リキッドバイオプシーによるMCED検査が期待されているものの,前向き研究では期待される精度に到達していない.
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▶研究手法により感度・特異度は大きく変動することが知られており,検診への導入にはリアルワールド・セッティングでの前向き研究での感度・特異度の評価が必須である.
pp.1396-1398
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_018
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はじめに
これまでのがん検診は,臓器ごとに行うべき検査が異なることから,検査する臓器数を増やすためには,多くの検査を必要としていた.これは受検者にとっては苦痛であることもあり,血液や尿で複数の臓器のがんの有無を調べる検査が期待されてきた.この先駆けとして,腫瘍マーカーと呼ばれる一連の検査が1960年代から開発され,臨床現場に導入されてきた.また最近,リキッドバイオプシーやmRNAなどの手法を用いた少量の血液や尿で複数の臓器のがんの早期発見を試みるMCED(Multi-Cancer Early Detection)testの研究が盛んに行われてきている.ここでは,これらの検査の現状でのエビデンスを要約する.

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