検査の作業手順を確立しよう 免疫化学(血清)検査・3
腫瘍マーカーの検査
阿部 正樹
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院中央検査部
pp.997-1002
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903634
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はじめに
腫瘍マーカーとは,腫瘍細胞またはその存在に反応した非腫瘍細胞が産生する物質で,それを組織,体液,排泄物中に検出することにより,腫瘍の存在,性状,広がりを知るための目印である1).この腫瘍マーカー研究の歴史は癌特異性が高く,早期診断に役だつ物質の追求であった.このため,腫瘍マーカーの検出には感度の高い測定系が要求され,その測定法も化学反応に始まり,寒天ゲル内沈降反応を経て赤血球凝集反応,ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay;RIA)法へと発展してきた.現在ではRIA法と比較して,施設,廃棄物などの制約が少ない酵素免疫測定(enzyme immunoassay;EIA)法を中心に,蛍光免疫測定法,ラテックスを用いた比濁・比朧法やカウンティングイムノアッセイ(counting immunoassay;CIA)法,ドライケミストリー法および化学発光反応を利用したより高感度な測定法が普及している.また,これらの測定法の進歩とともに,分析装置についても開発,改良が重ねられ,自動化による処理能力と精度の向上が進んでいる.
本稿では,病院の検査室での腫瘍マーカー測定における作業手順と注意事項について考えてみたい.検査の全体的な流れを図1に示した.
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